ワンオクことONE OK ROCKのデジタルシングル「Broken Heart of Gold」(2021年5月)の歌詞と和訳の意味を考察します。
佐藤健さん主演の映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」(2021年6月)の主題歌として書き下ろされました。
Takaさん、Toruさん、ニック・ロング、ダン・ランキャスター、coldrainのMasatoさんが作詞・作曲した「Broken Heart of Gold」の歌詞と和訳を見ていきましょう。
映画の概要
和月伸宏さんの漫画を原作とした実写映画の第5作、最終章の後編です。
「るろうに剣心」の主人公は、幕末に「人斬り抜刀斎(ばっとうさい)」の異名をとどろかせた伝説の暗殺者でしたが、明治維新後「不殺(ころさず)の誓い」を掲げ、人を守る流浪人(るろうに)に転じた緋村剣心(佐藤健さん)。
「最終章 The Beginning」では、剣心が「なぜ人斬りをやめたのか?」という真実が明かされます。

Broken Heart of Gold 歌詞考察!
タイトルの意味

もう行くよ
何かがおかしい
僕の一部がなくなったみたいだ
空は灰色
霞み始めた
僕がすべてを投げ捨てたんだ
「Broken Heart of Gold」のテーマは、優しさと寂しさを兼ね備えた剣心の孤独な人間性。
映画を観た人は、冒頭の歌詞でどの場面が描かれているのかがすぐにわかるでしょう。
これまで人を守る「るろうに剣心」としての物語が紡がれてきましたが、実写映画シリーズの最後で、「人斬り抜刀斎」からどのように転身したのかという始まりの物語が展開されます。
実は抜刀斎時代に剣心は結婚していたことがあり、しかも妻の雪代巴(有村架純さん)を惨殺していました。
「僕の一部がなくなった」というのは巴が命を落としたことをあらわしていると考えられます。
「何かがおかしい」という表現から、剣心は意識が朦朧とした状態であることが読み取れます。
剣心の目には「空が霞んで見える」のですが、その理由を思いやると、「Broken Heart of Gold」を聴くリスナーの目にも涙があふれ、視界がぼやけるのではないでしょうか。

辛すぎるときは
僕の人生は終わったと言って
投げ出したくなることもある
辛すぎるときは
自分を愛してるけど今日は違うと
言いたくなることもある
こうして傷ついた優しい心を打ち砕くんだ
サビです。
タイトルの「Broken Heart of Gold」に含まれる「heart of gold」は、「金の心」から転じて「優しい心、思いやりのある心」といった意味で用いられます。
映画の物語になぞらえると、「heart of gold=優しい心の持ち主=巴」と考えられるでしょう。
しかも巴は優しい心の持ち主でありながら、ある理由から心に深い傷を負っていました。
つまり「Broken Heart of Gold=傷ついた優しい心の持ち主=巴」であり、その巴を惨殺するに至った剣心の葛藤が描かれているのが「辛すぎるとき」につながる部分です。
巴と出会って結婚し、本当の幸せを見つけたはずの剣心。
それでも幕末時代の暗殺者にとっては、人を斬ることが正義でした。
剣心自身も本来は優しい心の持ち主で、人を斬ることにより自分の心を傷つけてきたので「Broken Heart of Gold=剣心」とも考えられるでしょう。
巴を惨殺したことで、剣心自身の心も打ち砕かれたのではないでしょうか。
地獄から始まった

疲れた魂
死にゆく希望
僕は道を外れたらしい
もうどうにもならない
「疲れた魂」は戦いに明け暮れ、人を斬り続けてきた剣心の虚しさが表現されているでしょう。
「死にゆく希望」には人斬りが正義だという考え方に「希望」を見出せなくなった剣心の心情と、剣心自身の手によって「命を失いつつある巴」の姿が重なります。
幕末時代は暗殺者として人を斬ることこそが正義であり、進むべき「道」でした。
ところが巴と出会い、何気ない結婚生活を送ることで本当の幸せに気づいた剣心。
そこから進むべき「道」は人を斬るのではなく、人を守ることに変わったはずでした。
その「人を守る道から外れた」という意味でしょう。
失った命は元に戻らないためどうすることもできず、行き場を失った剣心のやるせなさが伝わってきます。
さまざまな事情が重なり、時代の流れに翻弄された果ての孤独が身に染みますね。

でも 地獄にいるみたいだ
ここは地獄だ
このパートの前後でサビが繰り返されます。
「消えそう」になり、「弱り切った声」を発しているのも巴でしょう。
映画を観た人は「あの人が振り払った結果、アレがああなったのか」と思い当たるシーンがあるはずです。
歴史的な時代背景や物語の流れを踏まえると仕方がないことではありますが、剣心にとって「地獄」でしかあり得ない状況になってしまいました。
これが「Broken Heart of Gold」の結末ですが、「るろうに剣心」の物語としては始まりに相当します。
このラストでどん底ぶりが強調されるほど、今後の剣心が「地獄」から這い上がって生き続けるすごみが浮き彫りになるのではないでしょうか。
生き地獄を体験しても、そこで終わりではなくむしろ始まりという考え方は、もしかしたらワンオクというバンドの方向性にもつながるのかもしれませんね。

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さいごに
「るろうに剣心」の映画主題歌は5作ともワンオクが担当していて、第1作の主題歌「The Beginning」(2012年8月)のタイトルが第5作の映画タイトルにもなりました。
地獄としか思えないような現状を目の当たりにしている人も、ここが始まりととらえて生き抜くパワーをもらえたのではないでしょうか。