King Gnu(キングヌー)「Tokyo Rendez-Vous」の歌詞の意味を考察します。

Tokyo Rendez-Vous 歌詞考察
山手線に乗ってぐるぐる回る?
走り出す山手に飛び乗って
出典:Tokyo Rendez-Vous / 作詞・作曲:Daiki Tsuneta
ぐるぐる回ってりゃ目は回る
隣のあんた顔も知らねえ
溢れかえる人で前も見えねえんだぜ
トーキョー
アークティック・モンキーズ(アクモン)やゴリラズなどのUKロックを好む常田大希さんは、フライング・ロータス(フライロ)やケンドリック・ラマーといった、アメリカ西海岸のヒップホップ「LAビート」にも影響を受けています。
そのため「Tokyo Rendez-Vous」では「いかついサウンド(ヒップホップ的)」に、「ラップ寄りの常田大希さんのボーカル(ヒップホップ的)」と「メロディアスな井口理さんのボーカル(J-POP的)」を乗せる手法が試みられているようです。
常田大希さんがボーカルを務める冒頭のパートで吐露されているのは「(東京の都心部で環状運転している)山手線に乗ると目が回る。東京は人が多く、知らない人ばかりで、前も見えない」といった心情でしょう。
この身一つを投げ出して
出典:Tokyo Rendez-Vous / 作詞・作曲:Daiki Tsuneta
キザなセリフを投げ売って
触れてみたいの
見てみたいの
トーキョー
井口理さんがボーカルを務めるパートです。
King Gnuの音楽性はとくに初期に「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」と称されました。
これはロック、ヒップホップ、ジャズ、ファンク、クラシックなどにJ-POPをミックス(ジャンルをクロスオーバー)するという「音楽の多様性」を「東京の街の多様性」になぞらえた表現です。
東京で暮らす人は出身地もさまざまで、建物などの街並みも古いものと新しいものが混在しているといったニュアンスが込められています。
また、たとえばアメリカにはニューヨークだけでなく、ロサンゼルス、シカゴ、デトロイト、ニューオーリンズ、メンフィス、ナッシュビルなど、さまざまな「音楽の街」がありますが、日本にはそうした歴史がないので、まずは東京を「音楽の街」にしたいという願いもあるようです。
長野県伊那市(常田大希さん、井口理さん)、徳島県阿南市(勢喜遊さん)、東京都福生市(新井和輝さん)出身で都心に集ったKing Gnuのメンバー4人が「音楽で東京に触れたい、前を見たい」という話でしょう。
混沌的東京とは?
皆どこかを目指してひた走る
出典:Tokyo Rendez-Vous / 作詞・作曲:Daiki Tsuneta
この身守るためにゃツバを飲め
ってな具合だよ
そんな状況
繰り返される日常の狭間で
常田大希さんのボーカルパートです。
「東京では誰もが忙しく動き回っていて、自分を守るために口を閉ざすような状況」とのこと。
夢や目標を叶えるためにそれぞれの目的地に向かって奮闘している人が多く、激しい競争社会では自己保身のために余計なことを言わないのがセオリーになっているのかもしれません。
勝った、負けた、
出典:Tokyo Rendez-Vous / 作詞・作曲:Daiki Tsuneta
離れて、くっついた。
すったもんだ
ラチはあかねえな
耳塞いで、目を瞑ったなら
突っ走れよ、混沌的東京
引き続き、常田大希さんのボーカルパートです。
「キザなセリフを投げ売る」という前フリを回収するかのような「キザな歌詞」といえるかもしれません。
誰もが保身のために肝心なことは言わない忙しい日々のなかで、「勝ち負けに一喜一憂したり、恋愛話に花を咲かせたりしても切りがない」といったニュアンスでしょう。
こうした「切りがない話はうまくかわして、混沌とした東京を突っ走ろう」と呼びかけています。
この「混沌的東京」は「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」、前身バンドSrv.Vinci(サーバ・ヴィンチ)時代のミニアルバム『トーキョー・カオティック』、アメリカのフェスSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)出演時のみ改名したバンド名「Tokyo Chaotic!!!」にもつながっています。
夜に紛れて
出典:Tokyo Rendez-Vous / 作詞・作曲:Daiki Tsuneta
あなたの元へ遊びに行くよ
眠れない街の
無意味な空騒ぎにはうんざりさ
トーキョー
「この身一つを~見てみたいの」が繰り返された後に続く、井口理さんと常田大希さんのツインボーカルによる1番のサビです。
勝ち負けや色恋沙汰などの「無意味な空騒ぎ」にうんざりしたKing Gnuが、リスナーの元に遊びに来てくれます。
ありきたりなラブソングがヒットチャートをにぎわすような「無意味な空騒ぎ」にうんざりしていた音楽ファンは、King Gnuの登場に大喜びしたのではないでしょうか。
トーキョーランデブーの真意
満員電車に飛び乗って
ぐるぐる回ってりゃ目は回る“君とトーキョーランデブー”
出典:Tokyo Rendez-Vous / 作詞・作曲:Daiki Tsuneta
「君と~」は井口理さん、「満員電車に~」は常田大希さんがボーカルです。
「恋人と東京でデートするラブソング」のスタイルをとりながら、「King Gnuとリスナーが、まるで山手線のようにぐるぐる回るカオティックな(混沌とした)トーキョー・ニュー・ミクスチャー・サウンドを楽しむ」という趣向でしょう。
あなた塗れで
出典:Tokyo Rendez-Vous / 作詞・作曲:Daiki Tsuneta
どこまででも飛んでいけそうさ
彷徨う事で
自分自身を失ってしまっても
「皆どこかを~ツバを飲め」と「この身~見てみたいの」が繰り返された後に続く、ツインボーカルによる2番のサビです。
メインストリームのJ-POPに挑戦するべく、「ヌーのように大きな群れになる」というコンセプトを掲げてKing Gnuに改名したという経緯があるので、「大勢のリスナーと出会うためには本来の自分らしさを失っても突っ走る」といったところでしょうか。
ラストに1番のサビと「君とトーキョーランデブー」が繰り返されます。
一応サビはありましたが、J-POPらしい「Aメロ→Bメロ→サビ」ではなく、まるで山手線みたいに「ぐるぐる回る」構成になっていて、「自分自身を失う」感覚に包まれた人もいるのではないでしょうか。
楽曲そのものが「トーキョーランデブー」になっているという、King Gnuの名刺代わりのような名曲でした。

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さいごに
1stアルバムの表題曲「Tokyo Rendez-Vous」は、(声出しOKの場合)ライブ時にアウトロで「ら~らら~」の大合唱(シンガロング)になる、King Gnu初期の代表曲。
King Gnuとリスナーのランデブーはいつまでもぐるぐる回り続けるのではないでしょうか。