ヒゲダンことOfficial髭男dism「ビンテージ」の歌詞の意味を考察します。
メジャー1st(通算2nd)アルバム「Traveler」(2019年10月)の収録曲で、恋愛バラエティ番組「あいのり:African Journey」(2019年9月~)の主題歌、山本美月さん主演ドラマ「あと3回、君に会える」(2020年3月)の挿入歌にも起用されました。
藤原聡さんが作詞・作曲した「ビンテージ」の歌詞を紐解きましょう。

ビンテージ 歌詞考察!
傷さえ愛しいキセキがビンテージ!

「ビンテージ」では「僕が君と出会って大事なことに気付く物語」が描かれています。
「あいのり」の主題歌という点を踏まえると、ラブソングとして解釈するのが妥当でしょう。
ただ、ヒゲダンというバンドの物語のようでもあり、リスナーそれぞれの出会いを重ねることもできます。
冒頭で描かれているのは、「君と出会う前の僕」。
人間関係のトラブルを嫌い、回避するために気を使い、「自分をけなすほうが楽」と感じながらも「虚しさ」が募っている様子が伝わってきます。

「僕」はこれまで「楽しいことばかりが続く毎日こそ幸せ、無難な人生こそ美しい」という考え方の持ち主だったようです。
たしかに失敗して落ち込むくらいなら、最初から挑戦しないという選択肢もあります。
たとえば自分が発言することで誰かと揉めるくらいなら、何も言わないほうがマシと判断して黙るような消極的な生き方だったのでしょう。
そんな「僕」が「君」と出会ったことによって気付いた「大事なこと」とはいったい何なのでしょうか。

このBメロは藤原聡さん自身、座右の銘にしていた時期もあるキラーフレーズで、「君と出会って気付いた大事なこと」そのものです。
「キレイ=キセキ」とカタカナ表記でそろえられていますが、そのうち「キセキ」のほうは「奇跡」と「軌跡」のダブルミーニング。
これまで傷つくことを恐れていたというか、「傷のある人生は美しくない」と消極的に生きてきた「僕」が「君」と出会い、傷つくことを恐れないどころか「傷(という軌跡)さえ愛しい」という積極的な考え方に変わったところが「奇跡」でしょう。

1番のサビです。
「酸いも甘いも噛み分ける」ということわざは、「経験を積み、世の中の事情や人情をよくわかっている」ことをあらわします。
1stアルバム「エスカパレード」(2018年4月)の収録曲「115万キロのフィルム」にも出てくる言葉なので、ヒゲダンファンにはおなじみですね。
タイトルにもなっている「ビンテージ」は、「年代物、年月を経て価値が高まったもの」といった意味。
家具やジーンズなどのファッション、楽器にも使われる言葉ですが、もともと「ワインの製造工程」や「ブドウの収穫年」をあらわすワイン用語なので、ブドウの甘酸っぱさが口に広がるかもしれません。
「あいのり」の出会い、ヒゲダンの「軌跡」、リスナーそれぞれの人生も含め、「思い出はいつかビンテージになるから、今を大切に生きよう」というメッセージです。
時間の経過は劣化ではない

「人生を絵画にたとえ、時間を重ねることでしか出せない色を好む」ところが素敵ですね。
時間の経過によって、物の色や「記憶」が「褪せる」(薄くなる)こともありますが、「傷」すら認め合える誰かと一緒に過ごすことで、「人生」は彩り豊かになるでしょう。
セピアやモノクロのように「色褪せがちな思い出や人生」も、ワインのように甘味、酸味、渋味など味わい豊かな経験を重ねることで、独特な色合いになるはず。
「きらめく想い」はたくさんの「喜怒哀楽」があってこそ生まれると改めて認識させられます。

「記憶」が「シワくちゃになる、錆びつく、剥がれる」という発想がおもしろいですね。
これは「記憶」や「思い出」を「ビンテージ=傷さえ愛しいキセキ」になぞらえているからでしょう。
たとえば「シワくちゃになる」のはダメージジーンズなどの服やポスターなどの紙類、「錆びつく、剥がれる」のは家具や楽器、車、雑貨、アクセサリー、時計など。
エイジングを劣化ととらえるとネガティブな印象になりますが、「ビンテージ」だとダメージこそ価値があるという考え方に変わるところがポジティブですね。

1番のサビ「大切に日々を重ねよう」までが繰り返された後に続くラストです。
「あいのり」で出会ったカップル、カップルになれなかった出演者、ヒゲダンのメンバーとファン、リスナーそれぞれの人間関係も含め、「ビンテージ」ではまだ「思い出」を積み重ねている段階にすぎません。
その積み重ねた「思い出」がいつか「ビンテージ」という「傷さえ愛しいキセキ」になります。
そうなるように、「例える言葉がまだない今=未来のビンテージ」を「大切」にしたいものですね。

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さいごに
悲しい気分のときは「今この瞬間も実はありがたい奇跡」とは感じにくいかもしれませんが、「ビンテージ」という楽曲と出会ったことで「傷さえ愛しい軌跡」と思えるようになったのではないでしょうか。
世の中が大変なときこそ、ありがたい日常を大切にしていきましょう。