aikoさんの42thシングル「ねがう夜」(2022年4月)の歌詞の意味を考察します。
インストを含む、4曲入りマキシシングルの表題曲。
aikoさんが作詞・作曲、トオミヨウさんが編曲を手がけた「ねがう夜」の歌詞の意味をチェックしましょう。
ねがう夜 歌詞考察!
願いは複雑
長い間一緒にいたから そりゃあ夢にも君はいるよね
出典:ねがう夜 / 作詞・作曲:AIKO
だけどそろそろいなくなってかまわないんだよ
君と逢って別れて何年経った? 毎
日数えている訳じゃないから多分くらいで言える時間は
経ってる気がするんだよ
だから (だから) もう夢に出なくていいんだよ
「何年も前に別れた元カレの夢を見た」という失恋物語が描かれています。
aikoさんは2020年に年下のファンの人と結婚されましたが、切ないラブソングは健在です。
睡眠中の「夢」は見たいと思ったからといって必ずしも見ることができるものではなく、その内容もコントロールできません。
「ねがう夜」の語り手は、「元カレの夢を見たくないのに見てしまう」と困っている様子です。
「別れてから何年も経つのに、まだ元カレが夢に出てくる理由は、付き合いが長かったから」と自己分析しています。
「人はなぜ夢を見るのか?」という根本的な理由は、科学的には解明されていません。
そのため推測になりますが、「久しぶりに夢に出てきて驚いた」わけではなく、「そろそろ夢に出なくなってもいいくらい、繰り返し登場している」のであれば、多少なりとも未練が残っているのではないでしょうか。
またねとか軽い挨拶はゴミ箱に捨てようね
出典:ねがう夜 / 作詞・作曲:AIKO
記憶は風が吹いてもどこにもいかないから
再会を約束するような「またね」といった「軽い挨拶」を、「夢に出てきた君」にはしたくないようです。
別れた後で友だちになるケースもあり、その場合は「軽い挨拶」を交わす間柄になりがちですが、たとえ「夢」でも友だち関係に落ち着くわけではなく、恋人同士だった「記憶」をそのまま風化させたくないという思いが感じられます。
「記憶を風に吹き飛ばされるような軽い関係性ではなかった」と主張しているイメージです。
その結果、いつまで経っても忘れられず、「夢」に出てきてしまうのでしょう。
いつも上の空のようで きっとあたしもそうだったよね
出典:ねがう夜 / 作詞・作曲:AIKO
あぁ君はもうひとりじゃないから
元気でいてね たまに夢でと願う夜
「風が吹く」という表現に呼応するかのように、「上の空」という言葉が出てきました。
しかし、ここでは物理的な「空」ではなく、「心ここにあらず」とか「ぼんやりしている」などの心理状態があらわされています。
交際期間は長かったものの結婚に結びつくほど現実的な関係性ではなく、お互いに「好き」という感情に酔いしれるようなところがあったのかもしれません。
別れた後、元カレに新しい彼女ができたのか、誰かと結婚したのか、いずれにしても「ひとりではない」ことは語り手の耳にも入っている状況なので、復縁する可能性はゼロでしょう。
そこまでわかっていながら、まだ「お幸せに」と祈る気持ちにはならず、「元カレの健康と夢の中での再会を願う夜」が続いているようです。
「もう夢に出なくていい」と思っているはずなのに、「たまには夢に出てきてほしい」と願ってしまう矛盾した内面が表現されています。
心が壊れたのは元カレのせい?
引き返すつもりはないのに
出典:ねがう夜 / 作詞・作曲:AIKO
心が薄くスライスする
何もないって記憶の嘘
涙でバレる
半信半疑の期待はいつも外れてかき氷の雨
癖すら愛しいと思えたのは君に取り憑いていたのだろう
「元カレへの未練がたっぷり残っていて、あわよくばヨリを戻したい時期」はもうとっくに過ぎています。
「復縁する可能性はない」と自覚するところまで落ち着いているはずなのに、それでも思い出すと泣いてしまうようです。
「風が吹く」と「上の空」に続いて、「かき氷の雨」という少々変化球の天気関連の言葉が出てきました。
まるで「かき氷をスライスする」かのように「心が削られている」ということ。
「雨」と「涙」で、天気と心模様が重なる意味合いもあるでしょう。
元カレの夢を見ると「もう出なくていい」と思い、しばらく夢を見ないと「たまには出てきてほしい」と願い、その願いが叶わないと泣いてしまう程度には混乱しています。
食べ飲み干したって変わらないただれた心の中
出典:ねがう夜 / 作詞・作曲:AIKO
勘違いの苺味 あぁ君は知ってた
記憶は風が吹いてもどこにもいかないまま
元カレと一緒に「苺味のかき氷」を食べたのはかつてのデートでしょうか、それとも新たな夢の中のワンシーンでしょうか。
もしかしたら「元カレを思い出すたび心が削られ、まるで血を流すような思いをしているのに、夢の中では楽しそうに苺味のかき氷を食べている」といった「勘違い」が起きているのかもしれませんね。
いずれにしても「現実の悲しみを夢の中で昇華するしかない」ほど、荒れた精神状態が表現されています。
「付き合っていたときにも語り手の精神的な勘違いがあり、そのことに元カレは気づいていたから別れた=君は知ってた」と解釈することもできそうです。
切った髪が刺さり痛い
出典:ねがう夜 / 作詞・作曲:AIKO
嫌な時に浮かんでこないで
壊れた胸のネジは誰にも聞けないけど
君がつけてったものでしょ
失恋後の未練を断ち切るために「髪を切って」みても、かえって「髪先が肌に刺さる」というか、「心が痛む」のでしょう。
「切った髪」と「かき氷の雨」はどこか通じるものがあるような気もします。
「もう夢に出なくていい」→「たまには出てほしい」→「夢で会えず、心が壊れる」という展開を迎えた挙句、また元カレが夢に現れました。
ようやく念願が叶ったはずなのに、最終的には「嫌な時に浮かんでこないで」と拒否しています。
なぜなら「この壊れたネジのような心の烙印は、元カレがつけたものだから」というオチでした。
こうした「癖」も含めて、どうにか元カレを忘れることができるといいですね。
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さいごに
元恋人がいつまでも夢に出てきたり、あるいは出てきてほしいと願ったりすることが現実にあるのかどうかは人それぞれでしょう。
ただ、元恋人のせいで心が壊れたと感じている人が実在するなら、夢でも思い出さなくなるほうが健全ではないでしょうか。