目次
今回は米津玄師の『TEENAGE RIOT』の歌詞について考察します!『Lemon』で一躍有名になった米津玄師。彼が『TEENAGE RIOT』で描きたかったことは何なのでしょうか?
マンダム GATSBY(ギャツビー)のCMソングに起用された『TEENAGE RIOT』。
タイトルを訳すと『10代の暴動』という意味になります。
”思春期”の言葉で一括りにできないほどに良い意味での「激しさ」が伴う10代。
苛立ちや激情、青春や感動。様々な感情に包まれる時代に対して、米津玄師が歌うことは一体どういうことなのでしょうか?
早速歌詞を見ていきましょう。

米津玄師『TEENAGE RIOT』歌詞考察
大人になり切れなかったあの頃

若さを象徴する単語が羅列する冒頭。
背伸びして買った煙草、憧れて手にしたスニーカー。格好つけようとしながらも完全に大人になり切れない10代独特の憂鬱感やモヤモヤ感が伝わってきます。
そんなモヤのかかった感情が主人公を襲っているのは、主人公が何にもなりきれないやり場のなさを抱えているからだと解釈できます。
≪サイコロを振るように日々生きて≫
この歌詞からは、主体性がなく、周囲や流行に流され「自分がない状態」が想像されます。
そんな日々の中で主人公を支えるのが≪そのGコード≫つまり、ギター。
ここでは若き日の米津玄師の影も見えますね。
10代の生と死

胸の中を駆け巡る鬱屈感。
しかしそれもいつか灰=「無くなってしまう」のならば、今この瞬間に火をつけてしまえ、と。
すなわち、若い頃にしか生じない苦しみを精一杯爆発させようといった具合でしょうか。
まさにタイトル通り「10代の暴動」を心の中で起こせ、と言っているのだと思います。
≪バースデイソング≫
この言葉からは、放った日をバースデイケーキのろうそくに灯すイメージと、今までの自分は死んで新しく生まれ変わろうとする決意の二つの意味が込められているように感じます。
自己否定と孤独と

2番の冒頭も主人公の憂鬱感を表現する言葉が並んでいます。
「ダークホース」とは「その能力がよくわからない競走馬」を意味します。
つまりは自分の能力も存在意義も分からずに宙ぶらりんとした自己への懊悩も込められているのではないでしょうか。
≪ニヒリスト気取ってグルーミー≫
これは主人公の心の有り様そのものを表した歌詞でしょう。
周囲に素直になれずあえて孤独を選んでいる。でも心の中はいつも陰鬱で悲しみに満ちている。
そんな孤独な感情がいつかきっと「誰かを励ます音楽」として完成するのだと信じてやまない頑なさも感じられますね。
地獄の底にいるからできること

「よーいどん」とは、皆が知る徒競走のスタート音。
それを聞き逃したということは、スタートダッシュの瞬間を逃し、多くの人と同じような道を歩めない孤独な状況を示唆しています。
その孤独は主人公を「地獄」へと連れて行きました。
しかしここで大きなコペルニクス的転換がなされます。≪誰より独りでいるなら 誰より誰かに届く歌を≫―。つまり、誰より孤独を知っている自分なら、同じような境遇で苦しむ人に手を差し伸べられるだろうという優しい希望への変化です。極めて米津玄師らしい視点が光ります。
もしこれが米津玄師が10代の時に思っていたことならば、その希望は現実になったことになります。
「あなたに会いたい」という自己存在意義

主人公の中を駆け巡る「叫び声」。
孤独や陰鬱感などの黒い感情は一見、邪魔なもの。だから「蚕の市(フリーマーケット)」に出だしてしまおう、と表現されいます。
≪茶化されて汚されて恥辱の果てに辿り着いた場所≫
この言葉からは、主人公が周囲から心無い言葉を何度も浴びせさせられたことが予想できます。
まさに「地獄」にいた主人公。そんな彼が見つけた居場所は「あなたに会いたい」という湧き上がってきた感情の中にありました。
マジョリティにはもう入れない。しかし、孤独を知っている独りぼっちの自分だからこそできることがある。そんな可能性に存在意義を見出せたと解釈できます。
若き憂鬱は深刻だからこそ

ラストは1番と2番と同じ内容になっています。
10代の憂鬱感は後になってしまえば「青春」と表現できますが、渦中にいればひどく深刻なものです。
しかしそれは存在意義や使命を導き出せる可能性も秘めていることを教えてくれます。
ここで確かに一つの「バースデイ」を迎え、新しく誕生する10代の人々の後ろ姿が見えるようなラストです。

1ヶ月無料で音楽聴き放題!
通常880円/月のAmazonMusicUnlimitedが今なら1ヶ月で体験可能!
この機会に聴き放題サービスをお試ししてみよう!
いつでも解約OK!
おわりに
いかがでしたか?
米津玄師らしい旋律と歌詞。聴く人に親しみと共感をもたらしながらも、励ましも与える楽曲になっています。
まさに10代の暴動を心に起こしている人に聴いてほしい一曲です!