今回は、人気バンド・back numberの新曲「ベルベットの詩」の歌詞を考察していきたいと思います。
映画『アキラとあきら』の主題歌として書き下ろされた楽曲で、映画への主題歌提供は2015年公開の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の「ハッピーエンド」以来となります。
映画の内容、楽曲コメントと合わせて見ていきましょう!
映画『アキラとあきら』
8月26日に公開される、池井戸潤さんによる同名小説を映画化した作品。
竹内涼真さんと横浜流星さんのW主演作品で、監督は『陽だまりの彼女』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』などで有名な三木孝浩さんが務めます。
「半沢直樹」や「陸王」など、多くのベストセラー作品を生み出してきた池井戸潤さんの傑作小説として知られている『アキラとあきら』の実写化とあって、注目が集まっています。
どんな作品になっているのか、公開が楽しみですね。
楽曲コメント
back number・清水依与吏さんのコメントをご紹介します。
どの角度からも後押しできる力強さを持った作品なので、『音』の部分は早々に心が決まりましたが『言葉』の部分では盛大に苦戦しました。
書き込んで、歌い、直して、歌い、ぐしゃぐしゃに丸めて、また真っ白い紙に向き合う。この作業を何度も何度も繰り返す事が、『アキラとあきら』の中で、苦悩や葛藤に晒されながら生きる登場人物の1人として『ベルベットの詩』を招き入れて頂く為にとても重要だったように思います。
傷も癒えないまま歩み続け剥き出しになった『中身』のような自分を、本能のままに叫ぶのではなく、美しいものだと願って歌う。
もしかしたら自分達にとっても、いま必要な楽曲として生まれて来てくれたのかもしれません。
何度も書き直し、考え抜いたという歌詞。
清水さん自身、映画のアキラとあきらのように苦悩・葛藤しながら完成させた作品ですね。
どんな曲になっているのか、公開が楽しみです!

ベルベットの詩 歌詞考察
心が擦り切れて
ギシギシと軋む音が
聞こえないように
大きな声で歌おう理不尽が多すぎて
出典:ベルベットの詩 / 作詞・作曲:清水依与吏
いつの間にかそれに慣れて
僕は自由だと
もう忘れてしまいそう
コメントで、何度も歌詞を書き直して完成したと明かしていた依与吏さん。
苦悩や葛藤を抱えながら生み出されたこの楽曲には、依与吏さん自身の考え、思いが強く反映されていると思いました。
冒頭では、騒がしい日々に忙殺され、心がすり減っている主人公の様子が描かれています。
自分の心が擦り切れていく現実から目を背けるように、大きな声で歌っている様子が浮かんできますね。
ただ自分の人生を生きようとしているだけなのに、理不尽なことが多すぎる人生。
物語に登場するアキラ/あきらも、散々不合理な目にあっています。
あまりの理不尽さに、人生ってそういうものだ、と諦めて受け入れている人も多いのではないでしょうか?
依与吏さんは、そんな理不尽な人生を送る人々にメッセージを送っています。
ああ うるさく つたなく
産声のように遠く響けあるがままの姿で
出典:ベルベットの詩 / 作詞・作曲:清水依与吏
自分のままで生きさせて
決して楽ではないが
きっと人生は素晴らしい
理不尽なことが多すぎて、それが当たり前だと感じてしまうかもしれないけれど、もっと自分の気持ちに正直に生きても良い。
生まれた瞬間は、誰の目も気にすることなく、大声で泣き叫んでいたじゃないか。
簡単にできるわけじゃないけど、あの頃を思い出して、あるがままの自分の姿を受け入れることができれば、”きっと人生は素晴らしい”。
しがらみに囚われた現実から抜け出し、もっと自由に生きても良いんだと呼びかけているように思います。
今を生きる多くの人が共感できる歌詞なのではないでしょうか?
青くさい
なんて青くさい
綺麗事だって言われても
いいんだ 夢見る空は
いつだって青一色でいい恐れない 人はいない
追いかけて来る震えを
振り解くように
誰もが走っている人がさ 繊細で
出典:ベルベットの詩 / 作詞・作曲:清水依与吏
でもとても残酷だって事
僕もそうだと
実はもう知っている
「理不尽な社会なんて抜け出して、もっと自由に生きよう」という呼びかけは、他の人から見れば “青くさい綺麗事” でしょう。
一人で必死に叫んでいる主人公を嘲笑する人もいるかも知れません。
でも、どんなに綺麗事でも、どんなに青くさくても、”夢見る空は いつだって青一色でいい”。
集団から抜け出し、一人別方向に踏み出すのは勇気のいることです。
「これで良いんだろうか?」「もし間違っていたら?」
そんな不安に苛まれながら、それでも自分の道を突き進み続けることこそ、生きるってことじゃないだろうか、と呼びかけている用ように感じました。
理不尽な人生に心をすり減らしながら生きている繊細な人間ですが、その裏には、自由をつかもうとする人を、寄ってたかって潰そうとする残酷な一面も持ち合わせています。
ドリームキラーとも言われますね。
依与吏さん自身も、音楽活動を続けていく中で、たくさんの理不尽やドリームキラーと出会ったことでしょう。
自分の経験を元に、夢を追いかける人を応援する気持ちが伝わります。
ああ 嫌だ 悲しいね
痛みを抱き締めて進めあるがままの姿で
出典:ベルベットの詩 / 作詞・作曲:清水依与吏
自分のままで生きさせて
正直者は馬鹿をみるが
きっと人生は素晴らしい
ただ、自由に生きようとしただけなのに、夢を追いかけようとしただけなのに、攻撃されてしまう社会。
“ああ 嫌だ 悲しいね”。
傷つきながらも、その痛みを受け入れながら進んでいくしかない。
「正直者が馬鹿をみる」 ということわざがあるように、真面目に正しいことを行っていても、上手く行かないこともあります。
そうした経験を経てきた依与吏さんだからこそ、”正直者は馬鹿をみるが きっと人生は素晴らしい” と歌えるのでしょう。
今後の人生で、理不尽な目にあった時、納得いかない時に、そっと語りかけて背中を押してくれる素敵な歌詞ですね。
下らない
出典:ベルベットの詩 / 作詞・作曲:清水依与吏
なんて下らない
無駄な事だって言われても
いいんだ 下を見ないで
ひたすら登って行けたらいい
ドリームキラーから浴びせられる “下らない” こそが、”下らない”。
どれだけ否定されようとも、諦めること無く、上を向いて歩いて行こうと呼びかけています。
聴く人の想いに寄り添い、応援してくれるback numberだからこそ響く楽曲です。
心が擦り切れて
ギシギシと軋む音が
聞こえないように
大きな声で歌おうあるがままの姿で
出典:ベルベットの詩 / 作詞・作曲:清水依与吏
自分のままで生きさせて
努力は実りづらいが
きっと人生は素晴らしい
ここで、タイトルの「ベルベットの詩」について考察してみましょう。
ベルベットとは、生地の表面が起毛したなめらかな肌触りが特徴的なパイル織物の一種で、ビードロとも呼ばれています。
なぜ、この応援歌にベルベットが登場するのでしょうか?
個人の考えですが、このベルベットは赤ちゃんのおくるみを指しているのではないかと感じました。
肌触りの良いベルベット生地は、赤ちゃんのおくるみにも使われることがあるそうです。
“ああ うるさく つたなく 産声のように遠く響け”
“あるがままの姿で 自分のままで生きさせて”
赤ちゃんのときの純粋な心を持って、理不尽だけどきっと素晴らしい人生を生き抜いて欲しいという依与吏さんの想いが込められているのではないでしょうか?
泥くさい
なんて泥くさい
だからこそ綺麗な綺麗な虹を
見つける権利がある音がさ 外れても
たとえ口塞がれても
僕は僕だと
自分の声で歌おう代わりはいないと
出典:ベルベットの詩 / 作詞・作曲:清水依与吏
自分の声で歌おう
泥くさく、一歩一歩不器用に進んでいく主人公。
地道な一歩を積み重ねた先に、夢や目標という “綺麗な綺麗な虹” を見つけることが出来ます。
「傷も癒えないまま歩み続け剥き出しになった『中身』のような自分を、本能のままに叫ぶのではなく、美しいものだと願って歌う。」とコメントしていた依与吏さん。
赤ん坊のように真っ直ぐな心を持ちつつも、ただ叫ぶのではなく、きっと素晴らしい人生を願って歌を届ける。
音が外れても、口を塞がれても、自分の声で、自分の音楽を届けたい。
そんあback numberとしての決意、想いが込められているように感じました。
曲を聴く人への応援歌として、back number自身の決意表明としての意味も込められた素敵な楽曲でした!
映画と合わせて聴くとより、感情移入できそうですね!

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さいごに
いかがでしたか?
忙しい日々を生きる人へ向けたback numberからの応援が込められた素敵な楽曲でした。
これからの人生でどんなことがあっても、きっとこの曲が支えてくれることでしょう。
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