Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル)「スターダム」(2020年6月)の歌詞の意味を考察します。
ライブ会場限定発売の1stミニアルバム「Introduction」(2014年7月)収録曲で、ベストアルバム「5」(2020年7月)に新録され、XFLAGスマホゲーム「スタースマッシュ」プロモーションムービーソングに起用されました。
大森元貴さんが作詞・作曲した「スターダム」の歌詞の意味を紐解きましょう。

スターダム 歌詞考察
時間は平等
期待をして 傷ついて
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
無くなるもんとわかってるならさ
最初(はな)からいらない
「スターダム」収録のミニアルバム「Introduction」がライブ会場で発売された当時、大森元貴さんは18歳を目前にひかえた17歳でした。
多感なティーンらしく、大いに「期待」して大いに「傷つく」日々だったのかもしれません。
その結果「いらない」と拒否するようになったものはいったい何なのでしょうか。
「愛情、友情、夢」などかもしれません。
待てど暮らせど平和な世の中は
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
だんだんに僕の身を離れる
やたら周りが笑顔で居るなと
捻くれたこの心で想う
語り手の「僕」が手に入れたいと願いながらも、手に入らないなら「いらない」とへそを曲げたものは「平和な世の中」でした。
そこには「恋愛、人間関係、勉強、将来」など、あらゆることが含まれるでしょう。
とにかく「傷つく」ことばかりが重なり、投げやりな気分になっているので、「笑顔」を浮かべている人が目につく状況のようです。
いわゆる「反抗期あるある」といえるのではないでしょうか。
正直ちょっと諦めたとこさ
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
憎めないのが難点さ
ただ「笑顔」の人が目につくだけで、ムカつくところまでは至っていません。
どうやら「僕」は他人を「憎めない」性分のようで、反抗的な態度にどっぷり浸るのを「諦めた」という意味でしょう。
あるいは「平和な世の中になるように期待することを諦めた」可能性もあります。
たしかに「いらない」とすねているうちは、本心ではまだ欲しがっているはず。
「思春期は傷つきやすい時期」と受け入れることができたのなら、そろそろ反抗期も終わりに近づいているのかもしれません。
心配ないよ わかってるから
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
貴方のその不安もさ
偉大な人にも寄り添ったものだから
時間は刻々と過ぎては去っていくけども
秒針は皆平等らしい
1番のサビです。
曲名の「スターダム」は「人気スターの身分」という意味なので、歌詞の「偉大な人」につながると考えられます。
「スターダムにのし上がった人も、不安を抱えているものだ」と考えると、「憎むべき敵」ではなくなるのではないでしょうか。
他人と比較すると「不平等」と感じることもあるかもしれませんが、誰にとっても「平等」な「時間」をどう過ごすかは自分次第ですね。
するべきことはわかっている
兎にも角にも理想の世の中は
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
人に愛想を良くせず困る
ならばコチラも嫌ってみよう
試みたものの心折れた
夏目漱石さんの小説「草枕」の冒頭「とかくに人の世は住みにくい」のようなイメージでしょうか。
「理想の世の中に好かれないから、自分から嫌おうとしたけれど無理だった」模様です。
着々じゃ無茶苦茶になって
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
どちらとも付かずスカスカスッカラカンね
待ちわびたあの日が来たって
達成をしたって気付くの
「平和」や「理想」を追い求めて一歩ずつ努力しても上手くいかず、あらゆる方法を試した果てに「諦め」の境地にたどり着き、いつのまにか念願を「達成」していたことに「気付いた」ようです。
言葉遊びが多用されているので、その過程にはさまざまな「葛藤」があったことが推察されます。
心配ないよ わかってるから
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
何をするべきなのかは
葛藤しながら 僕らは舵をとる
時には大切なものを忘れるんだろう
その時はちゃんと叱って欲しい
2番のサビです。
「態度は投げやりでも、何もわかっていないわけではない」というのも「思春期あるある」かもしれませんね。
むしろ「わかっている」からこそ、裏腹な行動に出る場合もあるでしょう。
そこまで「わかっている」と大森元貴さんがリスナーの気持ちを受け止めてくれているようです。
ただ、大森元貴さん自身も失敗したり、間違ったりすることはあるはずだと自覚しています。
理不尽に怒るのではなく、「きちんと叱る」行為には愛が伴うので、受け止める側にも伝わるでしょう。
誰もが同じ
失くしたくないから
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
僕はずっとこうやってるの
「大丈夫だよ」
その言葉が欲しくて
失くしたくないから
いつもずっとギュッとしてるの
そうすればするほど
本当は壊れるって知ってるよ
この場合「ギュッとする」というのは「身を固くする、防御の構えをとる、自分の殻に閉じこもる」といった意味でしょう。
まわりに奪われないように、常に緊張状態でいると心身ともに疲れ果ててしまいますね。
閉じこもるのは防御反応だということも「わかっている」はずですが、それでも安心できないようです。
器用になるって
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
大事なものが欠けていく気がするんだ
大人は器用で ずる賢いな
思春期には「大人=器用」と「若者=不器用」の対立構造を描きがちですね。
「器用な若者に太刀打ちできない不器用な大人」や「大事なものを大事にする器用な人」あるいは「不器用なずる賢い人」も存在することを知っているのが「大人」なのかもしれません。
心配ないよ わかってるから
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
貴方のその不安はさ
ちょうど僕も抱いてたものだから
時間は刻々と過ぎては去っていくけども
秒針は皆平等らしい
3番のサビは1番のサビと似ていますが、「不安もさ~寄り添ったものだから」の部分が「不安はさ~抱いてたものだから」に変わりました。
「貴方」も「偉大な人」も「僕」も、同じように「不安」を抱えた思春期を過ごしている(過ごした)という話でしょう。
「時間は平等」なので、誰もが「若者」から「大人」になりますね。
枯れては散ってく花だって
出典:スターダム / 作詞・作曲:大森元貴
吹かれては飛んでく雲だって
生まれては死んでく人だって同じもんさ
自らのその手で人達が
荒れ狂う波に舵をとって
生まれた意味となる 幸せを掴めればな。
「生きる過程」というか「人生そのもの」が「生まれた意味」といったところでしょうか。
ただし「幸せを掴(つか)めれば」という仮定がオチになっています。
「平和」や「理想」だけでなく、「生まれた意味」や「幸せ」についても考えがちなのは10代の特徴かもしれませんね。

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さいごに
「スターダム」つまり「偉大な人」は自分とは別の存在と考え、憧れたり逆にひねくれたりする対象かもしれません。
ところが自分に足りないものを持っている人が必ずしも「幸せ」とは限りません。
他人と比較して悩むより、自分が思う「幸せ」を追求する「時間」を優先する人、「やるべきことをわかっている人」が「偉大な人」なのかもしれませんね。