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幽霊東京【Ayase】歌詞の意味を考察!ボカロ曲のセルフカバーに込められた思いとは?

「夜に駆ける」(2019年12月)の大ヒットで知られる2人組ユニット・YOASOBI(ヨアソビ)のコンポーザー(作曲家)Ayase(あやせ)さん。

自身のボカロ曲をセルフカバーした配信シングル「夜撫でるメノウ / 幽霊東京」は2021年9月にリリースされました。

そのうち今回は「幽霊東京」に注目!

東京で幽霊みたいだと感じるのはなぜなのでしょうか。

Ayaseさんが作詞・作曲・編曲・歌唱している「幽霊東京」の歌詞の意味を考察します。

幽霊東京 歌詞考察!

幽霊のように感じる理由とは?

燦然と輝く街の灯り
対照的な僕を見下ろす
あのビルの間を抜けて
色付き出したネオンと混じって
僕の時間とこの世界をトレード
夜に沈む

「幽霊東京」で描かれているのはAyaseさん自身の心情でしょう。

Ayaseさんは山口県宇部市出身で、ロックバンドDavinciのボーカルとして2016年に東京へ進出したものの、2018年10月に自身の病気により活動休止。

2018年12月からボカロPとしての活動を始めたという経緯があります。

2019年10月にYOASOBIを結成しましたが、「幽霊東京」を制作したのは「夜に駆ける」がヒットする前。

華やかな東京でどれほど時間を費やしても地味な暮らしのままなので、暗く落ち込んでいる様子が伝わってきます。

終電で家路を辿る僕の
目に映るガラス窓に居たのは
夢見た自分じゃなくて
今にも泣き出してしまいそうな
暗闇の中独りただ迷っている
哀しい人

電車の窓に映った自分自身を客観的に見つめると、かつて憧れていた存在にはなっておらず、悩みもがいているだけ、といった意味でしょう。

挫折をものともせず、夢に向かって邁進しているものの、なかなか結果が出ずに疲れ果てている状況が目に浮かびます。

大丈夫、いつか大丈夫になる
なんて思う日々を幾つ重ねた
今日だって独り東京の景色に透ける僕は
幽霊みたいだ

結果的にYOASOBI「夜に駆ける」の大ヒットで「大丈夫」になったわけですが、「幽霊東京」時点のAyaseさんにはまだ「大丈夫」な日々は訪れていません。

華やかな東京とは同化せず、街を歩いても騒がれることもないので「幽霊みたい」な気分に陥っているのでしょう。

たくさんの人に音楽を聴いてもらえない地味な状態が、生きている人間からは見えない「幽霊」の姿と重なります。

それほど落ち込んでいるときでも「大丈夫」と自分に言い聞かせているところが、後の大ヒットにつながったとも考えられるでしょう。

失うことに慣れていく中で
忘れてしまったあの願いさえも
思い出した時に
涙が落ちたのは
この街がただ
あまりにも眩しいから

Ayaseさん自身が病気を患ったため、バンド活動を休止せざるを得なかった、という挫折が「失うこと」に相当しそうです。

「あの願い」は「音楽活動を続けること」でしょうか。

音楽活動をするために東京へ進出したのに、東京で音楽活動をしていなければたしかに「幽霊」のように実体がないとも考えられます。

そこでボカロPとして音楽活動を続けることを「思い出した」のでしょう。

まだ先が見えず、「大丈夫」と自分に言い聞かせるだけの日々です。

挫折を経て、新たな活路を見出したことが嬉しいのか、過去と現在の苦労や未来の不安について考えると悲しいのか、さまざまな感情が入り混じって泣いたのでしょう。

泣いた理由は華やかな東京という街やそこで暮らす人々のせい、あるいはおかげと解釈できます。

誰のおかげで音楽を続けられたの?

散々だって笑いながら嘆く
退廃的な日々の中
あの日の想いがフラッシュバック
気付けば朝まで開くロジック
僕の言葉を音に乗せて何度でも

「ロジック」とはAppleのDAWソフト「Logic Pro」のことですね。

バンド活動が休止になり、自暴自棄になりながらも、ボカロPとして音楽制作を始めたときの心情が描かれています。

失うことに慣れていく中で
忘れてしまったあの日々でさえも
それでもまだ先へ
なんて思えるのは
君がいるから

何があっても前に進むことができるのは「音楽を聴いてくれるリスナーがいるから」でしょう。

リスナーの思いを代弁していた?

ねえ
こんな寂しい街で
ねえ

東京は人が多く、華やかな街だからこそ、他人と比較して孤独を感じやすい側面もあります。

燦然と輝く街の灯り
対照的な僕を見下ろす
あのビルの先、手を伸ばして
あの日夢見た景色をなぞって
僕の時間とこの世界をトレード
明日を呼ぶ

「トレード」とは「貿易、取引、交換」という意味です。

自分の時間を費やすことで、「音楽活動を続ける」という夢を叶え、華やかな東京の街と同化するような未来を呼び込もうとしています。

失うことに慣れていく中で
失くさずにいた大事な想いを
抱き締めたら不意に
涙が落ちたのは
この街でまだ
生きていたいと思うから

一般的に「幽霊」は「魂と化した死者の姿」と認識されていて、存在するという科学的根拠はありません。

それでも「幽霊」のように感じたということは、死を意識するほどの病気を患った経験も大きいでしょう。

命は失わずに済んだものの、健康やバンド活動、平穏な日々など、さまざまなものを失ったはずです。

それでも「音楽活動を続けたい。そのために東京で生きたい」という思いは変わりませんでした。

君もそうでしょ

リスナーも「Ayaseさんの音楽を聴き続けたいと思うでしょう?」とか「何があっても前向きに生きたいと思うでしょう?」など、さまざまなニュアンスが感じられます。

最後の一言で、Ayaseさん自身の葛藤を語りながら、ずどんとリスナーの思いを代弁してくれたかのようにも受け取れるところが秀逸ですね。

さいごに

バンド(ボーカル)、ボカロP、ユニットと活動遍歴を重ねているAyaseさん。

ボカロPとしての1st EP「幽霊東京」(8曲入り)は2019年11月17日にCD販売、「幽霊東京(digital edition)」(6曲入り)は同月23日に配信リリースされました。

このEPに収録されている「幽霊東京」は初音ミクによるボカロ曲ですが、Ayaseさんがセルフカバーした「幽霊東京」は2019年12月にMVとしてYouTubeでも公開されています。

ミクバージョン、Ayaseさんバージョン、それぞれの「幽霊東京」をお楽しみください。