今回は、大人気シンガー・Adoさんの新曲「行方知れず」の歌詞を考察していきたいと思います。
10月14日後悔の映画『カラダ探し』の主題歌に決定している本楽曲。
作詞曲、編曲を椎名林檎さんが担当していることも話題になりました。
歌詞にはどんな想いが込められているのでしょうか?
映画のストーリー、お二人の楽曲コメントと合わせてみていきましょう!
映画『カラダ探し』
2022年10月14日全国公開のホラー映画。
2011年に小説投稿サイトに投稿された同名小説を実写化した作品で、原作はZ世代からの人気を集めています。
県立逢魔高校で学校の怪談として語られる、50年前の強姦・バラバラ殺人の犠牲者である血まみれの少女の幽霊「赤い人」。
怪談によれば、学校で「赤い人」に遭遇してしまった生徒は身体を8つのパーツに分割されて校舎に隠され、皆に自分のカラダを探すように頼むことになるという。
カラダ探しを「頼まれた側」の生徒は頼みを拒否することはできず、8つに分割された「頼んだ側」の生徒のカラダを全て集めるまでは死ぬこともできない。
カラダ探しを「頼まれた側」の6人の生徒は、「赤い人」の恐怖に怯えながらも、クラスメイトのカラダを探します。
果たして全てのカラダを集めることはできるのか?
映画の公開が楽しみですね!
楽曲コメント
Adoさんと椎名林檎さんの楽曲コメントをご紹介します。
椎名林檎さんから曲を書き下ろしていただけるなんて本当に夢のようで凄く嬉しくて、「うわぁ、私林檎さんに曲を書いていただいたんだ!」という感じの林檎さんの魅力が沢山詰まった楽曲です。
私にとっても椎名林檎さんはスターであり、憧れであり歌い方にも影響を受けているので、尊敬の気持ちと、今回のこのコラボは幻なのかなって、嘘じゃないかと思うくらいとても貴重な経験です。
林檎さんに曲を書き下ろしていただけて、さらに「カラダ探し」の主題歌を担当させていただけるのは、この命が尽きてしまうんじゃないかと思う程、この世の全ての運を使い果たしているくらいに光栄です。
Ado氏の声を初めて拝聴したとき『なんと理想的などら猫声なんだ』と慄きました。
二十五年前、拙作無罪モラトリアムを出してしまう前にこの響きに出会せていたら、ぜんぶ彼女に歌ってもらっただろうとも思います。
そう、私は作り手冥利に尽き続け、いまごろさぞやそっくり返っていたことでしょう。
Adoさんにとって憧れの存在である椎名林檎さん。
対して、林檎さんもAdoさんの歌声を絶賛しています。
この2人のコラボが、どんな楽曲を生み出したのか、曲のリリースが楽しみですね!
行方知れず 歌詞考察
いつか/どこか/何だって欲しい#情報求ム#皆無
出典:行方知れず / 作詞・作曲:椎名林檎
正体を掴みたいあいつはきっと地獄か天国のスパイ
この楽曲では全体を通して、ネット社会に対する不安や批判が歌われており、個々が発信者になったことへ警鐘を鳴らしているように思いました。
冒頭の歌詞では、発信するネタを探している主人公の姿が歌われています。
ハッシュタグが使われていることからも、TwitterやInstagramなどのSNSを指しているのでしょう。
そこで “あいつ” の情報を発信しようと、どんな些細な情報でも見逃さないよう血眼になって探している様子が浮かびますね。
“あいつはきっと地獄か天国のスパイ”
地獄と天国は、それぞれ悪と善を意味しているのではないでしょうか?
“あいつ” が善でも悪でも、主人公には関係ありません。
ただ話題になっている “あいつ” について発信し、自分が称賛を浴びたいのですから。
さあ問題見付かっちゃった果たしてどっちの依頼?
出典:行方知れず / 作詞・作曲:椎名林檎
いや有害か有益かは一旦置いておこうどっこいゝ
あたし リア充ながら バーチュアル?
雨晒し ずぶ濡れの純情み あざとい?
汚れたいの前線で 誰か用立ててくれよ
あぶなっかしくも命懸け まかせて打倒
パブリックエネミー
まるで週刊誌の記者のように常にネタを探し回る主人公。
待ちに待った “問題” が見つかりました。
“果たしてどっちの依頼?” とありますが、続く “有害か有益か” を指していますね。
先程の “地獄か天国” とも繋がっていそうです。
ただただ情報を発信して、フォロワーからの称賛を得たい主人公にとって、そのネタが良いことなのか悪いことなのかは関係ありません。
”あたし リア充ながら バーチュアル?”
SNSというネット世界で充実している主人公の姿が表現されています。
“汚れたいの前線で 誰か用立ててくれよ あぶなっかしくも命懸け” という歌詞からは、炎上している話題に真っ先に切り込んでいく様子が浮かびますね。
名誉毀損などで訴えられる危険もあるなかで、ギリギリを攻めるからこそ、より多くの注目を浴びることが出来ます。
“まかせて打倒 パブリックエネミー”
「パブリックエネミー」=みんなの敵。
ネット社会で吊るし上げられた対象を指しています。
“まかせて” や “エネミー” という歌詞からも、主人公がある種の使命感、正義感を持って発信していることが分かります。
みんなのために、私が発信してあげる、暴露してあげるといった思考でしょうか?
まあみんなバグやエラーは隠すし部外秘扱いしかし
出典:行方知れず / 作詞・作曲:椎名林檎
一方でどうして暴露したいなんて思えるんだ?厄介
おぬし ネト充ながら センシュアル?
目眩し 酔いどれの宗教み きわどい?
壊れたいの全霊で 素面の侭ぶっ飛ぶぞ
ときめいて振り返り様に めしませ魔性
サイキックレメディ
ここからは、別の人物の目線で描かれているようです。
暴露をする前半の主人公に対し、疑問や不信感を抱いているようですね。
バグやエラー、不祥事やスキャンダルは、どれも隠されているものです。
人が隠したいと思っているものに、わざわざ切り込んでいって暴露する人々。
SNSが普及し、誰でも簡単に情報を発信できるようになったからこそ、こうしたエセ記者や暴露ばかりする人々も生まれてきました。
“おぬし ネト充ながら センシュアル?”
センシュアルとは、官能的、色気、肉感的という意味。
ネト充(ネット世界で充実している)のに、センシュアル=現実世界の話題、生々しい話題も発信している “おぬし” 。
他人の情報を暴露することで認知を獲得し、ファンを囲い込む宗教じみた世界。
そんな世界に疑問を投げかけ、”レメディ(治療)” したいという想いが描かれているように感じました。
ひょっとして真相より優に自己解釈信じていないか
出典:行方知れず / 作詞・作曲:椎名林檎
一億総ノイローゼ互いにはなし聞いてディスカバー
曖昧な情報でも、すぐに発信してしまう、出来てしまうネット社会。
“ひょっとして真相より優に自己解釈信じていないか”
メディアと違い、自分の解釈・考えを自由に発信できるSNSでは、自分の都合の良いように物事を切り取り、発信してしまう人も多くいます。
そんな不正確な情報に溺れ、全員がノイローゼ状態になっている現代社会。
“互いにはなし聞いてディスカバー(発見)”
正確な情報源ではなく、誰々が言っていた、〇〇さんがそうツイートしていたなど、他人発信の情報を更に広めることも簡単に出来てしまいます。
その発信が役に立つの?本当に良いことなの?と問いかけているように思いました。
じゃこうして向かい合う相手を評してどんな存在?
出典:行方知れず / 作詞・作曲:椎名林檎
気配を消したあたしこそきっと地獄と天国のスパイ
この楽曲は、前半と後半で、暴露する側と暴露に否定的な意見を持つ2人の目線で描かれていました。
ラストで向き合っている相手とは、その暴露側と否定側の人物でしょう。
しかし、2人存在するのであれば “気配を消したあたしこそきっと地獄と天国のスパイ” という歌詞の “あたし” がどちらを指しているのか曖昧です。
前半と後半の主人公は、実は同一人物だったのではないでしょうか?
二重人格とまではいかないですが、暴露しながらも、本当にこれで良いのか?と疑問を持っている私も同時に存在している。
自分が今どこにいるのか、どう進めば良いのか分からない「行方知れず」な状態を指していると考えました。
同一人物ゆえに、向き合った時、どちらか一方は気配を消して消えていく。
どっちつかずな “あたし” こそ “地獄と天国のスパイ” だと歌っているような気がしました。
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さいごに
いかがでしたか?
林檎さんらしい難解な歌詞ですが、一つの考察として楽しんでいただければ幸いです。
映画の内容も気になりますね。