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ヤングアダルト【マカロニえんぴつ】歌詞の意味を考察!挫折した若者に「無償の愛」を届ける青春応援歌

マカロニえんぴつ(マカえん)の「ヤングアダルト」は、5thミニアルバム「season」(2019年9月リリース)のリード曲。

2020年4月にリリースされた2ndアルバム「hope」でも聴くことができます。

黄色いフードを被ったボーカル&ギターのはっとりさんが、絶望した若者たちの写真を撮る役で出演しているMVも印象的です。

このMVをディレクションした横田光亮監督は、短編映画「ヴィニルと烏」(2018年製作)が代表作。

こちらにはKing Gnuのボーカル&キーボード井口理さんがいじめっ子役で出演しています。

さて、はっとりさんが作詞・作曲した王道の青春ソング「ヤングアダルト」。

その歌詞の意味を考察していきましょう。

ヤングアダルト 歌詞考察

「ヤングアダルト」とは?

夢を見失った若者たちは
希望を求めて文学を
はたまた汗まみれのスマートフォンを
握り締めて詩を書き溜める

タイトルの「ヤングアダルト」は「若い大人」という意味です。

心理学では20~40歳の世代、海外文学では16~25歳、日本文学では13~19歳の読者層のこと。

YAと略し、ヤングアダルト図書、ヤングアダルト文学、ヤングアダルト小説などといいます。

代表的なのはサリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」あたり。

青春小説に限らなくても、目標が定まらず、読書が救いという10代20代は多いでしょう。

作詞するバンドマンっぽい若者も登場するので、はっとりさん自身が重なります。

ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもね、そんなもんなのかもしれない
僕らに足りないのはいつだって
アルコールじゃなくて愛情なんだけどな

ほとんど挫折を経験せず、すんなり夢が叶い、何もかも人生思いどおり。

そんな人も稀にいますが、大概の人はなかなか思いどおりにならないものです。

若い頃はたった一つの失敗でも、どん底まで落ち込みがち

でも上手くいかない経験を重ねると、そのうち妥協点が見えてきて、あまり悩まなくて済むようになります。

時間が経つと笑い話になるような出来事でも、真っ最中のときはお酒に溺れないとやりきれない。

そこまで沈んだ若者に、を注いでくれる優しい歌詞になっています。

愛を探す日々

全てを捧げた大事な恋は
時間をかけて砂になった
いつかは、もしかしたらって
そのインターフォンに
シッポ振ることもなくなった

片思いが実らなかったり、付き合っても上手くいかず破局したり…。

恋愛が人生のすべてのように感じられるときもありますね。

遠くの誰かの話だと「そこまでのめり込まなくてもいいのに」と冷静になれますが、実際に失恋するとボロボロになってしまうものです。

何かに期待し、誰かを信じ、その果てに夢も希望もない結末を迎えると、無気力な諦めだけが残ります。

そんな恋に破れた状態が描かれているので、とくに真っ最中の人は共感しやすいはず。

ハロー、絶望
こんなはずじゃなかったかい?
でもさ、そんなもんなんだよきっと
誰も知らない優しい言葉で
あの子の孤独を殺せてたらな

そもそも「ヤングアダルト」というタイトルは、心理学や文学の用語だと知らなかったらドキッとする言葉かもしれません。

このパートでは「殺す」という怖い表現が出てきて驚かされますが、その対象が「孤独」であれば実は「優しい言葉」だとわかります。

「ライ麦畑でつかまえて」などのヤングアダルト小説のように、絶望の淵に沈む若者だからこそ優しいと気づく強烈な言葉たち

これらを紡いでいるのは、冒頭に登場した「作詞するバンドマンっぽい若者」、おそらくはっとりさん自身でしょう。

夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が流れないように
無駄な話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探してる

宣言どおり「露骨な表現を避けた、強烈で優しい言葉」だらけのサビです。

無粋を承知で解釈すると、今日の失敗を乗り越えて生きよう、これ以上自分を傷つけないためならお酒に溺れても構わない。

命は尊い、ただの人間、それだけで大丈夫、とにかく生きるためには愛が必要だよね、と寄り添ってくれています。

イメージはバンドマンの飲み会ですが、年齢や性別、お酒を飲む・飲まないに関わらず、仲間同士のくだらない会話によって救われる命もあるものです。

しかも、この歌詞こそが「死ぬほど大切な無駄話」になっているところが泣けますね。

愛を集める人間になろう

ハロー、絶望
その足でちゃんと立ってるかい?
無理にデタラメにしなくてもいいんだぜ
僕らに足りないのはいつだって
才能じゃなくって愛情なんだけどな

どん底まで落ち込んでも、地に足のついた暮らしや生き方さえしていれば何とかなります。

人生が思いどおりにいかないからといって、自分を痛めつけるほどの無茶はしなくて大丈夫

はっとりさんにそう指摘されると、確かに冷静さを失っていたかもしれないと気づく人もいるでしょう。

どうせ自分には何もできないと卑屈になっていた人も、この愛にあふれた人生賛歌を受け取り、穏やかな気持ちになってきたところではないでしょうか。

夜を埋めるための唄が死なないように
欠伸ひとつで悲しみが流せるように
夢の話をしよう 飽きるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を探す

確かに夜寝ることさえできたら、自動的に朝を迎えることになります。

悩みすぎて眠れないという問題を解決するために、眠気をもよおす「欠伸」や「」といったキーワードを持ち出してくれたのでしょう。

まるでバンドマンの飲み会みたいな調子で「この曲を聴くリスナーに向けた、はっとりさんの語りかけ」が続きます。

世田谷ヤングルーザー
憂いの晩杯や、写真機の記憶

マカロニえんぴつ自体、バンドマンの聖地・下北沢がある世田谷で、ルーザー(敗者)と感じるような苦い経験をしたことがあるそうです。

はっとりさん自身、大衆酒場「晩杯屋」下北沢店が好きで、よく通っていたというエピソードも明かしています。

この店名を入れた歌詞が、バンパイヤ(吸血鬼)と空耳できるところも意味深ですね。

MVではっとりさんが写真を撮る役を演じているのは、当時の自分たちを俯瞰しているからでしょう。

夜を越えるための唄が死なないように
手首からもう涙が溢れないように
無駄な話をしよう 果てるまで呑もう
僕らは美しい
明日もヒトでいれるために愛を集めてる

「ヤングアダルト」のテーマは「無償の愛」。

愛に飢えたバンパイヤたちに「無償の愛」を届ける役割を果たしています。

それでも「愛を与える」といった上から目線ではありません。

なぜならはっとりさんやマカロニえんぴつのメンバーたちも、愛に飢えて飲み明かす夜の経験者だから。

ただし「愛を探す」だけでなく、「愛を集める」人間と化しています。

この「無償の愛」があなたにも届きますように。

さいごに

映画好きのはっとりさんのことですから、もしかしたら映画「ヤング≒アダルト」(2011~2012年公開)へのオマージュなのかもしれません。

こちらは37歳のヤングアダルト小説家が主人公です。

ともあれ「ヤングアダルト」は20代を中心に、お酒の飲めない10代にも、かつてヤングアダルトだった30代や40代以上にも、幅広く響く人間応援歌ですね。