目次
「うっせえわ」を筆頭に次々とヒット曲を生み出している天才シンガー・Ado。
彼女が6月14日にリリースした新曲「夜のピエロ」の歌詞を考察したいと思います。
作詞作曲は「フロイトメタ」以来のタッグとなるボカロPのbiz、イラストはマルチに活躍するイラストレーターのケイゴイノウエが担当しました。
「Artist On The Rise」への参加が決定!
6月11日YouTube主催、YouTube で活躍する話題のアーティストを紹介する世界規模のキャンペーン「Artist On The Rise」への参加が発表されました。
日本のアーティストでは、藤井風さん、Reoさんに続いて3人目となる参加で、Adoさんの認知拡大が期待されます。
また、情報解禁に合わせ「夜のピエロ」のサビ部分を使ったティザー映像が公開されました。
ドラマとのタイアップが決定!
公開直前のAdoさんの生放送で7月22日放送開始のドラマ「初情事まであと1時間」の主題歌に起用されたことが発表されました。
恋人たちが初めて男女の関係になるまでの一時間。
可笑しくて切ない 不器用でメンドクサイ、でも愛おしい…十人十色の初情事が描かれる大人のドラマです。
Adoさんはタイアップの決定について以下のようにコメントしています。
ドラマの主題歌に選んでいただき本当にありがとうございます。
ボカロPさんの音楽でこうして活動できることは何よりも嬉しいです。
これからもより多くの方にボカロPさんの音楽を、そしてVOCALOIDの文化を知っていただけるよう精進して参ります。
Adoさんの「夜のピエロ」と合わさるとどうなるのか、今から楽しみですね!

夜のピエロ 歌詞考察!
忙しく過ぎていく日常に疲れ果てた主人公

たった一人歩く都会の夜。
周りの街灯が次々消えていくさまは、まるで夜が暗闇に誘っているかのようです。
ティザー映像でタイトルとともに描かれる街並みは渋谷のスクランブル交差点です。
政府からの要請で8時以降は静まり返る渋谷の街がモチーフになっているのではないでしょうか?
AdoさんはMV公開直前生放送で、「現実とリンクしたものが好き」とコメントしていましたね。

騒がしい東京の街で生きる主人公。
通勤、通学で同じ毎日を繰り返す舞台の上で、自分という役を演じて生きています。
街にあふれる憧れや好奇心のようなキラキラしたものに目が眩み、そうしたものを見ないように、自分でフィルターをかけています。
かつてはこの主人公もキラキラした思いがあったと思われますが、東京という変化の大きい街で忙しい毎日を送っているうちに、そうした思いが消えていってしまったのではないでしょうか?

退屈な毎日を演じる主人公は、街灯の消えた真っ暗な街で日常を忘れ去って踊ります。
タイトル「夜のピエロ」は主人公を指しているのだと思われます。
なんの変化もない退屈な日常をピエロとして演じ、人々が寝静まった夜の街でだけ自分を表現する。
人の前ではなかなか自分を出せない現代人皆に当てはまるのではないでしょうか?
退屈な日常から抜け出し、未知の世界へ飛び込む

荒んだ世界で生きることで、どんな出来事にも驚きや喜びを感じなくなってしまった主人公は、自分の体験したことのない世界へ飛び立つため、街を抜け出そうとします。
しかし、鏡に写った仮面の下の自分がまだあどけないことに気づきます。
知らない世界に飛び込むときに感じる不安が表現されていますね。

あどけなさの残る自分の面影にサヨナラを告げ、終電もなくなった夜の街に繰り出すピエロ。
自分への嘲笑は、『仮面の下のあどけなさを隠すようにピエロを演じる自分』『誰も居ない夜の街でしか本当の自分を表現できないこと』に対してだと思われます。
都会の波に飲み込まれる夢・希望

誰しもが夢を持って上京しますが、最初に抱いていた夢も日常の中に溶けていきます。
東京に限らず、何かを成し遂げたいと希望を持って都会にきて、燻っている人は多いのではないでしょうか?

至るところに電光掲示板や照明があり、明明と照らされている眠らない街・東京。
キラキラとした街の裏には光に当たらない影の部分があります。
そこで生活する主人公は、冷たく厳しい東京の街で孤独を感じています。
ピエロの顔に描かれる涙は、いくら一生懸命に頑張ったとしても、所詮ピエロは場を盛り上げるための脇役に過ぎず、努力を認められないことに対する悲哀を表したものだと言われています。
日常でピエロを演じ、明るく振る舞っても、認められない悲しさ。
仮面の下に隠れた本当の顔に誰も気付いてくれない寂しさ。
冷たく胸を焦がす主人公は夜空に孤独を吐き出します。

煌々とした街とは対照的な自分の部屋。
狭い部屋の中で、電球に照らされている主人公の姿が浮かびます。
「虚ろな光は通り過ぎて 影となった」とは、部屋に吊るされた電球のことを指しているのではないでしょうか?
オレンジの光を放つ電球を通り過ぎると自分の影が目の前に現れます。
影を前に、ベットへ沈んでいく主人公の様子が表現されていると感じました。
漠然とした未来への不安

メランコリーとは、気が塞いで憂鬱なこと。
同じことの繰り返しの中でピエロを演じなければならない憂鬱さは、月曜日の朝に感じるものと同じか、それ以上でしょう。
考えることをやめて、ただ淡々と日常をこなそうとする主人公でしたが、アルコールで忘れようとしても、酔えずに吐いてしまいます。

これから先どうしたら良いのだろう、どうなっていくのだろう、漠然とした大きな不安が主人公を襲います。
世界規模の疫病に襲われている現代の人々が、先の見えない生活で感じる不安と同じですね。
どうすることも出来ず、ただただ足掻くことしか出来ません。
そしてピエロは夜に沈んでいく

毎日が使い捨てのようにただただ消費されていく日常で、エキストラ(通行人や群衆を演じる重要でない演者)として踊る。
自分の人生に意味を感じていない、生きがいのない主人公の気持ちが読み取れます。

人々を楽しませるために笑い、見た人から笑われるピエロ。
誰からも寄り添ってもらえず、仮面の下の顔にも気付いてもらえない。
街灯の消えた夜の街に飲み込まれていくピエロは、自分の辛さや弱さを他人に伝えることが出来ず苦しんでいる我々を表しているのではないでしょうか?
そうした辛い思いや孤独を感じているのは、あなた一人じゃない。
生きにくい世の中も一緒に助け合って生きていこうというメッセージが込められているように感じました。

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さいごに
いかがでしたか?
先の見えない生活に漠然とした不安を抱えながら生きる人々へ向けたメッセージ。
このご時世だからこそ生まれた力強いメッセージソングでしたね!
これからのAdoさんの活躍にも注目です!