藤井風さん「やば。」の歌詞の意味を考察します。
2ndアルバム「LOVE ALL SERVE ALL」(2022年3月)の4曲目。
藤井風さんが作詞・作曲、Yaffleさんが編曲した「やば。」の歌詞の意味を見ていきましょう。

やば。 歌詞考察
何がやばいの?
気づいてほしい 認めてほしい
出典:やば。 / 作詞・作曲:藤井風
それだけの行為だった
返してほしい 愛してほしい
そんなの愛じゃなかった
「やば。」は藤井風さん自身の心にすむ「天使と悪魔の葛藤」が描かれたR&B。
あれこれ「してほしい」と欲望にまみれていたのは「悪魔のような自分」で、それは「愛ではなかった」と俯瞰しているのは「天使のような自分」でしょう。
承認欲求が強かったり、見返りを要求したり、「愛」を受け身で与えられるものだと思い込んだりするのは、自己中心的といえるかもしれません。
ただ、いろいろ悩んでいるときは「悪魔のような自分」になっていることになかなか気づかないのではないでしょうか。
「天使のような自分」の視点をもつだけでも、少し冷静になれるような気がします。
求めて 探して 見つけて 失ったけど
出典:やば。 / 作詞・作曲:藤井風
追いかけ続ける あの絵空事
「絵空事」は「空に絵を描くことができないように、実際にはあり得ないこと。空想、虚偽、誇張が加わっていること」をあらわします。
「気づいてほしい」など、一連の「してほしい欲望の対象」が該当するでしょう。
たとえば「愛されたい」と望んでばかりいるときの「愛」は、本来の「愛ではない」ので「絵空事=でたらめ」にすぎないことになります。
それでも勘違いしたまま「でたらめの愛」に翻弄されることもあるのが人生です。
しかし「天使のような自分」にしてみると、いつまでも「悪魔のような自分」をのさばらせておくわけにはいかないのではないでしょうか。
さっさと行こうか
出典:やば。 / 作詞・作曲:藤井風
もっと遠くへ 高いとこまで
その目を覚まして どこまでも
どこまでも
「天使のような自分」が「悪魔のような自分」に「さっさと目を覚まして、どこまでも行こう」と呼びかけています。
藤井風さんらしいスピリチュアルな表現に置き換えると、「高いとこ」は「ハイヤーセルフ(高次元の自分、神様、魂)」、「目を覚ます」は「気づき、覚醒」になるでしょう。
自分が「愛」だと思っていたことは「愛ではなかった」と気づくことができなければ、いつまで経っても「絵空事を追いかけ続ける」ことになってしまいます。
長いあいだ悩み続けているときは、悪循環に陥っている可能性が高いでしょう。
「もしかしたらどこか間違っているところがあるのかもしれない」と自分を見つめ直すことがポイントになりそうです。
何度も何度も墓まで行って
出典:やば。 / 作詞・作曲:藤井風
何度も何度もその手合わして
やば、やば、やば、やば。
傷付けないでよ
裏切らないでよ
愛した日々は確かだっけ?
1番のサビ前半です。
曲名の「やば。」は藤井風さんの口癖で、藤井風さんのピアノ、小川翔さん(LAGHEADS)のギター、小林修己さんのベース、上原俊亮さん(dawgss)のドラムによる楽器演奏も「やばい」とのこと。
「やば」と繰り返した後、つんのめるように「(ン)傷つけ~、(ン)裏切ら~」とシンコペーションのリズムになっているボーカルも「やばい」ですね。
この「やばい」はもともと「危ない」などネガティブな意味でしたが、「(危ないくらい)最高である、すごくいい」といったポジティブなニュアンスでも使われるようになっています。
「墓まで行って、手を合わす」という表現も、ネガティブな「死を意識するほど落ち込む」、ポジティブな「死者に敬意を払う」など、さまざまに解釈できそうです。
しかし「死を意識するほど落ち込みながらも、命のありがたさを再確認して、死を思いとどまる」ことを繰り返しているとすると、本当に「危ない」ことになります。
誰かに「傷付けられたり、裏切られたり」しても、さらに自分で自分を「傷付けたり、裏切ったり」しないように、という「天使と悪魔の葛藤」が描かれているでしょう。
受け身で「愛される」ことを望むより、まずは自分自身を能動的に「愛する」ことを思い出したいものです。
もうそれ以上何も言わないで
出典:やば。 / 作詞・作曲:藤井風
傷付けないから
裏切らないから
もう、もう、もう、もう
もう、もう、もう、もう
1番のサビ後半です。
「天使のような自分」の忠告を受けて、「悪魔のような自分」も改心したのでしょう。
とにかく「自分を傷付けない、裏切らない」ことによって、本来の「愛」を取り戻せるようになるはずです。
天使の説教は愛に満ちている
今さら何言ったって
出典:やば。 / 作詞・作曲:藤井風
既には手遅れでって
言われないと思ってたでしょ
同じことが何度も
ただ繰り返されるだろうと
安い夢を生きてたでしょ
「天使のような自分」による「悪魔のような自分」に対する説教は、まだ続いています。
たしかに自分であっても「傷付けたり、裏切ったり」、ましてや命を粗末にするようでは怒られても仕方がないのではないでしょうか。
ただし「安い夢を生きていたでしょう」と核心を突く辛辣な言葉も含まれているものの、「手遅れだと諦めないで」という「愛」に満ちた説教になっています。
一緒に行こうか
出典:やば。 / 作詞・作曲:藤井風
誰も見捨てたりしないから
君が望むまで いつまでも
いつまでも ああ
「天使のような自分」は「悪魔のような自分=君」を「見捨てない」ところが「愛」ですね。
「悪魔」のように落ち込んでいたリスナー(=君)は、「天使」のような藤井風さんに救われたのではないでしょうか。
ラストに1番のサビの「もう」が増えたバージョンが繰り返されます。
ただ、やはり誰かに「救われる」ことを求めているようでは「悪魔」のままになってしまうので、「自分で自分を見捨てない」ように心がけたいですね。

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さいごに
「天使と悪魔」は誰の心にも存在している可能性があるでしょう。
2020年代に入り、世界規模でとんでもない出来事ばかりが相次いでいるので、なおさら「天使のような自分」でいるように目を覚ましたいものですね。