東京事変が「再生」して初のアルバム『ニュース』に収録され、紅白歌合戦でも披露された『うるうるうるう』の歌詞を考察していきます!
『ニュース』にはメンバー5人がそれぞれ持ち寄った楽曲5曲が収録。
『うるうるうるう』の作詞は椎名林檎、作曲は伊澤一葉です。
当初、伊澤は椎名に「博多弁で歌詞を書いてほしい」とお願いし、「あまおういちご」とのタイトルで作詞が進行していたとか。しかし椎名曰く「私の中の品質管理長からNGが出」たのだそう。結局ボツとなり『うるうるうるう』が制作されました。
ちょっぴり不思議なタイトル『うるうるうるう』、早速歌詞を考察していきましょう!

『うるうるうるう』歌詞考察
閏年の決意表明

閏年の2020年に「再生」した東京事変。椎名林檎もインタビューで「閏年だから復活した」と述べています。
そうした背景を踏まえると、東京事変は大きな覚悟と挑戦心を持って私たちファンのもとに返ってきてくれたのだと思います。
冒頭はやや抽象的ではありますが”貴方”とはリスナーのことを指していると言えるでしょう。
大事なリスナーを「音楽」を通じてこれから救っていきたいという決意表明が窺われる冒頭です。
情報の渦を回避せよ

東京事変は「再生」前から少しずつ、メディアによる情報の渦に国民が流されていくのを危惧した歌詞を書いてきました。ここでもその危機感が窺えます。
”到頭命題失くす人類よ”とは「生きる意味」や「真実」を追い求めることすらしなくなってしまった人間の衰退を表していると言えるでしょう。
そうした人類に対し、”通信をもう遮断せよ”と警鐘しているのです。
平和に見える日本ですが人々の心は、既に勝手に”開戦前夜”が訪れているといったところでしょう。
「再生」に懸けた美しい願い

生きている実感とはどのようなものでしょうか?
「自分のしたいことを思う存分行っている」
「夢を叶えるために一生懸命頑張っている」
そこには”開戦”の雰囲気はなく、充実感に満ちた表情がリスナーの顔に湛えられているでしょう。
”ずっと拝んでいたいもんです”
これこそが東京事変の本当の「再生」の願いなのではないでしょうか?
「閏年」と「潤い」

1番サビ。軽快なリズムが楽曲全体を包みます。
「閏年」の「閏」の由来は「潤う」。
『うるうるうるう』には「閏年」と「貴方の人生を潤わせたい」という願いの二つが掛けられているのです。
私たちは「音楽」を通じ、思い出を彩り、人生を進ませ、あらゆる喜怒哀楽を受容できるようになります。
東京事変はそんな音楽の力を、みんなに届けたいと祈っているのが窺えます。
感情と知恵

ここでは「感情」と「知恵」が天秤にかけられています。
「堂に入る」とは「学問や技芸がすぐれて、深奥をきわめている」の意味。
今や現代人はあらゆる技術を手にしたにも関わらず、隣人への優しさを忘れてしまって久しい現状がありますよね。
人の感情に注目せずに、知識や技術だけを追いかけている頭でっかちな現代人を揶揄しているのでしょうか。
人生における最重要事項とは?

東京事変は”人生塩っぱい”と綴ります。
前提として、彼らは「生きること」は美しいだけでなく、高い壁を何度も乗り越え、失敗を繰り返し、さまざまな味を味わえる奥深いものなのだと示しています。
椎名林檎の『人生は夢だらけ』にも登場しますが、酸いも甘いも飲み込むのが人生。
それらを堪能することこそが「生きること」なのでしょう。
失敗や苦しい場面を肯定できる歌詞ですね。
音楽を「命」に接続したい

東京事変はいつもリスナーの人生に心を掛けています。
かっこよさや美しさを提供するだけでなく、「音楽」を通して聴く人の人生を揺らがし、そのそばに居たいと願っているのです。自分たちの音楽と、リスナーの命を接続させたいのでしょう。
”未だ誰も見だしていない泉を発掘したい”
この言葉にはそんな真意が隠れているように思わないでしょうか?

”自称美しい人はより美しく そうでない方はそれなりに皆、潤え!”
自己肯定感が高い人もいれば低い人もいます。しかし誰もが美しいのだから、その美しさがより潤って欲しいという願いが描かれています。
サビでずっと東京事変から幸せを祈られ「私なんか…」と思ったとしても、この一節で全員が救われるような魔力を持っています。「ひねくれないでね、あなたも美しいのだから」というメッセージが込められているように思います。
ラストも東京事変の願いが再三にわたり歌われます。
世界の片隅でそっと息をひそめるように生きているような人にまで届くような無条件の愛情に満ちた楽曲だと感じます。

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おわりに
いかがでしたか?
タイトルはもちろん歌詞にも深い意味が込められ、そのセンスに脱帽してしまいますね。
東京事変が届けてくれる今後のメッセージにも注目していきたいですね!