今回は、RADWIMPSの新曲「うるうびと」の歌詞を考察していきたいと思います。
3月4日に公開される映画『余命10年』の主題歌として書き下ろされた本楽曲には、どんなメッセージが込められているのでしょうか?
映画の内容、楽曲コメントも合わせて見ていきましょう!
映画『余命10年』
映画『余命10年』は、小坂流加先生の同名小説を原作とした作品です。
余命10年と診断された主人公・茉莉を小松菜奈さんが、茉莉が禁断の恋をしてしまう同級生・和人を坂口健太郎さんが演じます。
原作となった小説は2017年に発売されましたが、著者の小坂流加先生は編集が終わった直後に病状が悪化し、残念なことに発売3ヶ月前の2017年2月に逝去されました。
文字通り、命をかけて書き上げた『余命10年』、フィクションでありながら小坂さんの想いが投影された茉莉の心情が伝わってくる作品でした。
今回の映画化では、どのように描かれているのか、映画の公開が楽しみです。
楽曲コメント
RADWIMPSは、主題歌「うるうびと」だけでなく、映画全編の音楽を手掛けています。
ここでは、RADWIMPSの野田洋次郎さんのコメントをご紹介します。
はじめて実写映画での劇伴作業は新鮮で挑戦に満ちたものでした。
シーンを観ながら、茉莉や和人やその周りでたしかに生きる登場人物たちにどんな音で寄り添うべきなのか、背中を押すべきなのか、幾度もの苦悩もありました。
総合計時間にするとおそらくすでにこの映画を100回近く観ていることになります。
ですが、編曲もすべて終わり最終のオーケストラの本番レコーディングでやはり、画面を観ながら涙がポロポロと出てきました。
この映画には、茉莉の人生には、きっとご覧になるあなたが明日からも生きていく意味が詰まっていると思います。
大ヒットアニメーション映画『君の名は。』『天気の子』に続き、三作目の劇伴音楽担当。
曲を制作する上でも様々な葛藤があったようですね。
どんな名曲が詰め込まれているのか楽しみです!

うるうびと 歌詞考察
ホントと嘘とホント

この歌詞で注目したいのは「ホントみたいな嘘」と「嘘みたいなホント」の対比です。
これは一体何を意味しているのでしょうか?
健康なからだで日本に住んでいる人にとっては「死」はあまり実感がわかないことです。自分が死ぬかもしれないなんて思いながら生活していませんよね?笑
その割に、「死ぬほど」とか「心臓止まりそう」とか死をイメージする言葉はよく使いますよね。これはまさに「ホントみたいな嘘」と言えるでしょう
一方、そんな死とは縁遠いような世界で、映画の主人公、茉莉は「余命十年」という明確な「死=嘘みたいなホント」を抱えています。
つまり、これは野田洋次郎さんが私たち日本人と茉莉の「死」の捉え方の違いを巧みに表現しているのではないでしょうか

二つの魂とは、主人公の茉莉と和人のことでしょう。
例えば自分の大好きな人が家事に追われていたとしたら、「半分手伝うよ」ということができます。
はたまた、高熱にうなされているときには、看病することができます。
しかし、どうあがいても、死ぬことだけは半分もらうことも、肩代わりすることもできないのです。
「あといくつ心臓があれば」という歌詞がありますが、これは自分の心臓がいくつあっても恋人のことをすくってあげることができないという無力な事実を暗示しているようです。
宇宙のどんな星よりも

先日、ZOZOTOWNの前澤社長が宇宙旅行に行ったのが話題になりましたね。
もはや私たち人類にとって宇宙はそれほど遠くない存在になってきています。
火星と地球の距離はおよそ7,528キロメートル。そんな途方もなく遠く感じるような星に行くことすらもはや不可能ではない現代。
しかし、和人にとっては7,528キロメートルよりも目の前にいるはずの茉莉のほうが遠く感じてしまっているようです

自分が余命宣告をされたときのことを想像してみましょう。
一体どんな気持ちになって、死ぬまでに何をしたいと思うでしょうか?
想像もできませんよね。茉莉はその小さな背中で「死」という大きすぎる運命を背負っています。
和人がどう足掻こうとも、その運命を変えることはできません。
「いびきをかきはじめる」とは、自分がいつか死ぬということを意識せず、グータラ過ごすことでしょう。
大半の人はそうですが、茉莉という余命宣告を受けた人が近くにいることで、和人の細胞は叩き起こされたようです。
お別れの時は近づく

日頃から、大切な人に感謝の気持ちを伝えていますか?
面と向かって感謝することは少し恥ずかしくて、あまり気が進まないですよね笑
しかし、明日もその大切な人が生きているという保証なんてどこにもありません。
和人は残された時間で自分の気持を伝えたいと思いますが、そんなに自信がないようですね

全人類から10分時間を集めたら、一体何時間になるのでしょうか?計算してみましょう!
今、世界の人口はおよそ80億人と言われています。つまり10分集めたら800億分。時間に直すと13億時間。これは約15万年くらいの計算です。
流石に長過ぎましたね笑
ですが、和人にとって茉莉はそれほどに大切な人。せめて自分の寿命の半分だけでも分け与えたいと願っています。
悲しみを背負わないためには

命が尽きる彼女に自分の寿命を半分分け与えることができたら、二人は数十年後、どちらが悲しむこともなく一緒に死を迎えることができます。
大切な人に旅立たれ、現世に残されたものは深い悲しみを味わいます。
大好きな人と一緒なら死んでも構わない。「せーの」で来世に乗れるというすこし子供じみた表現から二人の関係性の柔らかな様子感じることができます

最後の「あなたは私がこの世界生きた意味でした」という言葉。これは和人と茉莉のどちらが言ったんだとおもいますか?
これはどちらとも取ることができそうですね
人間、生まれたいと思って生まれてくる人なんて一人もいません。気づいたときにはもう生きていて、そして自分の生きる意味を探しながら年をとっていくのです。
生きる意味を見失いながらただ生きていた和人、そして、生きたいと願い、その意味を探したいと思いながらもそれが叶わないことが決定している茉莉。
そんな二人が出会い、惹かれ合い、最後の瞬間にはお互いがお互いの生きる意味になっている。
私は野田洋次郎さんがそういった意味をこの言葉に込めたのではないかと感じます。

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さいごに
いかがでしたか?
坂口健太郎さんと小松菜奈さんという、今最も人気の俳優、女優といっても過言ではない二人。
そんな彼らが主演を務める映画「余命十年」は必見です!
劇場で流れるRADWIMPSの「うるうびと」も家で聴くときとは違う音色を感じ取れるかもしれませんね
死ぬ前って、もっとワガママできると思ってた。
二十歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。
笑顔でいなければ周りが追いつめられる。
何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。
未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。
そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。
衝撃の結末、涙よりせつないラブストーリー。
「死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯生きてみるよ」