ミスチルことMr.Childrenのデジタルシングル「turn over?」(2020年9月)の歌詞の意味を考察します。
松岡茉優さん主演のドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」(カネ恋、2020年9月~10月)の主題歌として書き下ろされました。
ボーカル&ギターの桜井和寿さんが作詞・作曲した「turn over?」の歌詞をチェックしましょう。
ドラマ「カネ恋」の概要
脚本家の大島里美さんによるオリジナルのラブコメディです。
主人公は、おもちゃメーカーの経理社員で、お金の使い方にこだわる「清貧女子」の九鬼玲子(松岡茉優さん)。
同じおもちゃメーカーの御曹司で、お金にルーズな「浪費男子」の猿渡慶太(三浦春馬さん)と出会い、価値観が真逆の2人による恋とお金の物語が展開されます。
turn over? 歌詞考察!
ボクとキミのすれ違い
歌物語の主人公「ボク」はドラマに登場する「浪費男子」慶太のようでもあり、独自のキャラクターとも考えられそうです。
詳細までは具体的に描かれていませんが、徹夜明けのまま出勤して、オフィスビルを見上げているような想像が膨らみます。
思い悩むことがあっても日常的な現実は容赦なく押し寄せてくるので、うんざりしながらも対応しなければいけない状況でしょうか。
「東京という街を擬人化して見下ろされる」感覚は、社会の重圧に押しつぶされるとか、常識外れだと呆れられるなど、いずれにしても気分のいいものではありません。
十分な睡眠をとり、目覚めのいい朝を迎えていれば、1日の始まりはスッキリしていたはず。
そうならなかった原因は「ボク」が眠れなかったことにあります。
どうやら「ボク」は「誰か」のことを考えあぐねたせいで徹夜する羽目になったようです。
「ボク」が眠れなかった原因は「キミ」でした。
ドラマに照らし合わせると、「清貧女子」玲子でしょうか。
2人は働く部署や住む家が同じになるものの、お金の使い方も恋愛の仕方も真逆なので、最初は「すれ違い」ばかりです。
楽曲独自の物語が展開されているとすると、交際中の「ボク」と「キミ」のあいだで何らかの問題が起き、上手くいっていない状況なのでしょう。
例えば「ボク」は一晩中「キミ」の帰りを待っていたけれど、事情があって「キミ」は帰ってこなかったといった展開も想像できます。
「turn over?」はドラマの主題歌なので、「カネ恋」と混同しないように、一般的なフィクションという意味で「映画」を引き合いに出したのでしょう。
ただ「カネ恋」に重ね合わせてみても、玲子と慶太にとっては成長物語ですが、玲子の初恋相手・早乙女健(三浦翔平さん)や慶太の後輩・板垣純(北村匠海さん)など、「裏で泣いている」登場人物も思い浮かびます。
さらにフィクションから離れた「現実」を直視した場合、常に「光と影」や「表と裏」が存在するものなので、考え方が違っても仲良くしようといったところでしょうか。
ターンオーバーが起きた?
ドラマでは「清貧女子」と「浪費男子」という真逆の対比が描かれているので、歌詞でも「現実とフィクション、光と影、表と裏」などの対比をテーマとして取り上げているようです。
ところが歌詞の場合は実話ベースでも創作物となり、「現実」でも「妄想」だと作り話にもなるという境界が曖昧なケースも出てきます。
「頭の中」で「妄想」を膨らませているのは慶太なのか、歌物語独自の「ボク」なのか、桜井さん自身なのか、リスナー自身を想定しているのか、はっきりしません。
いずれにしてもこのパートが「立ち直っていくストーリー」のどん底です。
ここで一気に「turn over」(反転)しました。
夜も眠れないほど悩み抜いたら、後は現実的に前を向くしかありません。
考え方が真逆だとしても、「キミ」のことを理解するように努めるという宣言です。
どん底まで落ち込んだ結果、清らかな「究極の愛」に達しました。
ドラマの物語になぞらえると、「ボク」は玲子、「キミ」は慶太のほうがしっくりくるようです。
玲子の実家の旅館に慶太が居候するという同居生活のなか、「眠れない夜」や相手が不在の「すれ違いの夜」を過ごしたのは玲子でした。
人称の「turn over」(反転)を盛り込むために、「僕と君」という漢字表記ではなく、「ボクとキミ」というカタカナ表記になっていたと考えられます。
タイトルの「turn over」は「回る、引っ繰り返す、反転する」といった意味なので、「地球は回る」が最も直接的な表現です。
漢字表記の「僕ら」は桜井さんやリスナーを含めた「現実を生きる僕ら」といったニュアンスでしょう。
「ボクとキミ」のフィクションから、「地球」規模の現実まで思いを巡らせ、俯瞰的に「愛」を捉えているところがミスチル節ですね。
最終的に「愛」は筋書き通りにはいかない「不条理」なものであると前置きしたうえで、「立ち直っていくストーリー」として「究極の愛」に至るという結末でした。
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さいごに
「turn over?」には、「現実とフィクション、光と闇、表と裏、ボクとキミ、ボクと僕」という「面倒臭くて手に負えない、懲り懲りだと思う」ほどの「turn over」(反転)が仕かけられていました。
「眠れず、涙を流す」どん底から「究極の愛」へと達しながらも、「愛=不条理」の前置きがあることにより、本当に反転したのかどうかは謎のまま。
タイトルの「?」にも深い意味がありそうですね。