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月に吠える【ヨルシカ】歌詞の意味を考察!萩原朔太郎の詩集とのつながりに迫る

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ヨルシカの「月に吠える」は、文学オマージュ第3弾のデジタルシングル(2021年10月)。

n-bunaさんが作詞・作曲した「月に吠える」の歌詞の意味を考察します。

月に吠える 歌詞考察

月は魂のメタファー

路傍の月に吠える
影一つ町を行く
満ちることも知らないで
夜はすっと深くまで

出典:月に吠える / 作詞・作曲:ヨルシカ

今回の文学オマージュ作品でモチーフとして取り上げられたのは、萩原朔太郎さんの詩集「月に吠える(1917年)。

複数の短詩と長詩からなる詩集ですが、なかでも「悲しい月夜」と「見知らぬ犬」という短詩の影響が大きいように感じられます。

冒頭の歌詞には、「月に吠える」という詩集名および曲名の前に「路傍の」(読み:ろぼう、意味:道端)という修飾語がついているので、山本有三さんの小説「路傍の石」(1937年)を連想することもできるかもしれません。

さて、この歌物語の主人公の「おれ」は、「空の月」ではなく「道端の月」に「吠えている」ようです。

詩集「月に吠える」の短詩「悲しい月夜」では「犬が波止場の月に吠える」様子、短詩「見知らぬ犬」では「私の後をついてくる犬(の影)が空の月に吠える」様子が描かれています。

その「犬は自分の影に怯えて、月に吠える」のですが、「私の後をついてくる」ことによって「私の影」とも重なり、「私、犬、影、月」が同化し、「魂」や「衝動」のメタファー(隠喩)として機能します。

こうした背景を踏まえると「歌物語の主人公のおれも、自分の影に怯えて、月に吠えている」というか、「自分を月や影になぞらえ、満足することなく、夜じゅう自分に吠えながら町を歩いている」情景が目に浮かぶのではないでしょうか。

気が付けば人溜まり
この顔を眺めている
おれの何がわかるかと
獣の振りをする

出典:月に吠える / 作詞・作曲:ヨルシカ

夜中に大声を上げながら町を歩き回っていれば、「たくさんの人が集まり、顔を眺める」のも無理はありません。

そうしたところで「誰にもおれのことはわからない」ので「獣の振りをした」という流れです。

この「獣」は詩集の「犬」と重なり、「月に吠える」のが人間なら奇妙な行動、「獣」なら自然な成り行きと受け止められがちなことに改めて気づかされます。

一切合切放り出したいの
生きているって教えてほしいの
月に吠えるように歌えば嗚呼 鮮やかに
アイスピックで地球を砕いてこの悪意で満たしてみたいの
月に吠えるように歌えば
嗚呼 我が儘にお前の想うが儘に

出典:月に吠える / 作詞・作曲:ヨルシカ

人間は社会のルールを守りながら理性的に生きる動物ですが、そのため本能や感情が抑圧されることもあり、「生きている」実感がわきにくい状況にもなりかねません。

閉塞感が極まると、「魂」や「衝動」に忠実な「月に吠える」行為に走りたくなるという話でしょう。

その方法が「歌」であれば、「魂レベルの解放感」や「生の喜び」と共に「悪意に満ちた衝動」さえも表現できるかもしれません。

萩原朔太郎が吠える

青白い路傍の月
何処だろう と人は言う
誰にも見えていないのか
この醜い獣

出典:月に吠える / 作詞・作曲:ヨルシカ

「おれ」は自分自身というか「自分の魂や衝動」を「青白い路傍の月」と「醜い獣」になぞらえていますが、「誰にも見えていない」状況です。

もしかしたら「おれ」は肉体から解放され、「魂」そのものになったのかもしれません。

指を差した方へ向く
顔の無いまま動く
何かがおれを見ている
波止場のあの影で

出典:月に吠える / 作詞・作曲:ヨルシカ

「指はあるけれど、顔はない」とはどのような状態なのか、具体的にははっきりしません。

ただ「一切合切を放り出した」結果、肉体から解放されたような感覚になり、それこそ「魂」そのものと解釈できそうです。

「犬が波止場の月に吠える」様子が描かれた短詩「悲しい月夜」を参照すると、「魂」のみになった場合「人間には見えない」けれど「犬には見える」とも考えられます。

一切合切信じていないの
誰もお前に期待していないの
月に吠えるように歌えば嗚呼 鮮やかに
硬いペンを湖月に浸して波に線を描いてみたいの
月に吠えるように歌えば嗚呼 艶やかに
時間の赴くままに

出典:月に吠える / 作詞・作曲:ヨルシカ

「満ちることを知らない月」つまり「三日月」などの「細い月」から「アイスピック」を連想し、「破壊衝動」が表現されていたようですが、今度は「硬いペン」になり、さらに「湖月」(読み:こげつ、意味:湖に映った月)に「浸す」欲望が語られました。

詩人の萩原朔太郎さんと作詞家・作曲家のn-bunaさんも同化した(魂が響き合った)のかもしれません。

ヨルシカの場合、「歌う」のはsuisさんですが、その「歌を書く」のはn-bunaさんです。

一般的には「書く人」も「歌う人」も「誰かに期待されることで成り立つ職業」ではないでしょうか。

しかし「誰にも期待されない」状況では「何も信じられなくなる」のかもしれませんし、逆に「何も信じていない」から「誰かに期待されることも望んでいない」可能性もあります。

あるいは「期待される重圧感」から解放されたほうが自由になれるとも受け取れるでしょう。

「絶望と希望」という矛盾した感情が混在しているような雰囲気も漂います。

嗚呼 皆おれをかわいそうな病人と そう思っている!

一切合切放り出したいの
ま まだ世界を犯し足りないの
月に吠えるように歌えば 嗚呼鮮やかに
アイスピックで頭蓋を砕いて温いスープで満たしてほしいの
月に吠えるように歌えよ
嗚呼 喉笛の奥に住まう獣よ
この世界はお前の想うが儘に

路傍の月に吠える

出典:月に吠える / 作詞・作曲:ヨルシカ

詩集「月に吠える」には短詩「地面の底の病気の顔」や短詩「笛」などもあり、「病人」や「喉笛」といった表現とも重なります。

何より、短詩「猫」には「ここの家の主人は病気です」という一節があるので、「猫にも病気だと思われていると感じていた萩原朔太郎さん(幼少期から病弱、死因は肺炎)」の「魂」が「皆おれを~思っている!」というかたちで表出したのではないでしょうか。

時代が移り変わっても、ヨルシカの楽曲として萩原朔太郎さんの「魂」が「吠える」のはかなりの衝撃と思われますが、それでもヨルシカにとっては「世界を犯し足りない」のかもしれませんね。

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さいごに

「月に吠える」という詩集名や曲名から連想されるボーカルやサウンドは、デスボイスのような叫び声やノイズ、ドローンなどかもしれませんが、むしろ穏やかなささやき声とリズムになっているところがおもしろいですね。

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