目次
今回はadieu(上白石萌歌)の『灯台より』の歌詞について考察していきます!
本楽曲『灯台より』はシンガーソングライターの柴田聡子さんが作詞作曲を行いました。
独特な世界観と絶妙な心情描写が秀逸な柴田聡子さん。『灯台より』についてこのようにコメントをしています。
「adieuさんの柔らかく穏やかに感じられる歌声や人柄の内に光る、ばちばちっと火花の散るような瞬間、びくともしない意思や考えのようなもの、たしかにある若さ、そして『海』の景色をふと感じたので、それを私なりの道筋で束ねていってみたのが『灯台より』という曲です。」
実はこの曲はちょっと不思議な歌詞。
恋愛、生死…。さまざまな解釈ができる柴田聡子ワールド全開の歌詞なのです。
まるで小説のような『灯台より』。いったいどのような歌詞なのか考察していきます。

『灯台より』歌詞考察
場面は「隣同士」にいる恋人?

「肩ごし」との歌詞から、二人の人間が隣あっている様子がわかります。
ここでは恋人同士の楽曲として考察していきます。
恋人は隣で本を読んでいて、主人公「わたし」は眠気に任せてうとうとしている。
MVは夜。ということは、夜更け頃のベッドの上でそれぞれの時間を過ごしているのでしょうか。
次に進んでいきます。
あなたとの関係=「死」?

「くちびるにあたるボタンのでこぼこ」
本を読む「あなた」に重なっているのでしょうか。本はそろそろ終盤を迎えそうな勢い。
しかし「あなた」がこちらに気を向けるような気配は一切なし。
「わたし」は振り向きもされないことに落胆し、自分が「あなた」のもとで生きていることを「馬鹿らしい」と感じ始めます。
好きな人に相手にされないことほど切ないことはないですよね。それが「わたし」の中で「死」へ直結していくのです。
わたしからあなたへ「後悔しても知らない」

ここは「わたし」から「あなた」への拗ねのメッセージが隠されています。
「もしわたしここで息絶えていたらさすがにあなたも反応してくれるでしょう?」
そんなイメージでしょうか。
つまり二人はマンネリ気味で最近は会話すらない状態なのでしょう。その状態に憂いている「わたし」の些細な怒りと悲しみが描かれているのです。
あの頃に思いを寄せて

「わたし」は回想します。
かつておみやげ話だけでも十分に楽しかったあの時のことを。
二人だけが滞在できる場所を「灯台」と表現し、二人の間に生じた愛をそこに灯る「明かり」という比喩にしているのです。
話すことに飽きたなら

ここも回想シーン。
顔を突き合わせて話すだけで楽しかった夜。話すだけで足りずに体を重ねた夜。
「バカップル」と言われてもしょうがない二人。それを「神様も呆れて祝福の柏手」と表現されています。生々しさをコミカルに描くのは柴田聡子のなせる技!
「歯の跡」とは?

窓を閉めるのも忘れるほどに高まった二人の情熱的な夜を思い出す「わたし」。
「やわらかく残った歯の跡」。少し生々しい表現ですが、二人で柔らかな肌を噛み合うのがかつての二人の愛情表現だったのでしょう。
今はもうないその光景を思い出し、切なさに浸っているのです。
あなたを好きでいるから世界が美しいのに

「蕾」「流れ星」「つばめの青さ」。並ぶこれらは、世界の美しさの象徴だといえるでしょう。
恋をしてきた「わたし」にとって、目に見えるものはすべて美しく、その中に存在する「あなた」も美しく、ただひたすらに釘付けでした。
しかし二人の間の愛が薄れていっている今、「わたし」は息を止めようとすることで「あなた」を振り向かそうとしている。
そこまでしないといけなくなってしまった恋を思い、「わたし」は自分の死をもって「あなた」が後悔するのを願っているのです。
わたしが死んでも気づかないあなたへ

「わたし」は「あなた」の近くで、 我慢できなくなるまでずっと息を止めています。
しかしそんな行為が馬鹿馬鹿しく思え、生きている意味も分からなくなってしまう様子。
「耳をすましてもさわがしい予感が聴こえないね」とは、このまま「あなた」が振り向くのを待っていても、前のように「体を噛み合う」ようなボディタッチもないのだろうと、悲しくなっているのがわかります。
結局、「わたし」が死んでしまっても、「あなた」は後悔しないままずっと本を読んでいるのだろうと絶望的な気持ちに陥っていくのです。

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おわりに
いかがでしたか?
恋人の間に漂う切ない雰囲気。しかしadieuの歌声と柴田聡子の世界観によって、美しさを伴った小説のような楽曲に仕上がっています。
ぜひ一度聴いてほしいラブソングです。