東京事変「入水願い」(読み:じゅすいねがい)の歌詞の意味を考察します。
2004年11月にリリースされた1stアルバム「教育」の収録曲。
椎名林檎さんが作詞・作曲した「入水願い」の歌詞を紐解きましょう。
入水願い 歌詞考察!
2人は相互依存状態
「入水願い」の語り手は「あたし」、語りかけている相手は「あなた」です。
英題は「the suicide」、「入水」は水に入る亡くなる方のことで、男女2人が心中しようとする物語が描かれています。
念のためのお断りですが、歌詞は創作(フィクション)なので現実と混同することなく、くれぐれもすべての命を大切にするようにしてください。
それでは考察に入ります。
2人の関係性など、詳細は曖昧です。
「自分の~持てた」は既婚者の「あたし」が離婚して「あなた」と一緒になるという意味かもしれませんし、心中を表している可能性もあります。
これまで「嘘」をついていたのは「あたし」なのか、「あなた」なのか、どのような「嘘」だったのかもはっきりしません。
心中する決意をしたけれど、疲れすぎて実行するのは無理っぽいという話でしょうか。
「他人の~持てた」も同じく曖昧です。
「入水願い」をしているのは「あなた」で、それを「受け止める」立場が「あたし」なのではないか、というイメージがわいてきます。
心中したいという「あなたの期待」に応えたら、これまでの本気ではないという「あたしの嘘」や不倫関係を本当の愛だと「認めてくださる?」という話でしょうか。
ともあれ2人はこうした心中話を何度も「繰り返している」のではないかと考えられます。
東京・港区の2号目黒線「天現寺」入口から首都高速道路に乗って、千葉の「房総半島」を目指しているようです。
ここで「心中したい」と言い出したのが「あなた」で、「あたし」はそれに応えようとしていたことがはっきりします。
「あたし」が車を運転し、「あなた」が助手席に座っているため、「あたし」が「あなたの生命」のハンドル(進行方向)を握っているとも受け取れるでしょう。
「あなた」が「あたし」に命を預け、「あたし」は「あなた」のために「何でもしてあげたい」と考えるほど相互依存状態であることもわかります。
しかも「あたし」は「あなた」の心中相手にふさわしいかどうか自信がもてない様子です。
「あなた」だけでなく、「あたし」にも「命を粗末にするものではない」とビシッと叱ることができない弱さが見受けられます。
アルバム「教育」は2曲目が1stシングル「群青日和」(2004年9月)、3曲目が「入水願い」、4曲目が2ndシングル「遭難」(2004年10月)です。
「演技をしているんだ」「教育して叱ってくれ」という「群青日和」、「下品な芝居」という「遭難」に挟まれている点を踏まえると、過剰なドラマ性が腑に落ちるのではないでしょうか。
命のありがたさを学ぼう!
椎名林檎さんの2ndアルバム「勝訴ストリップ」(2000年3月)の2曲目「浴室」から1曲目「虚言症」へという逆の流れを彷彿とさせるような展開です。
「あたし」は「あなた」に対して「心中なんか考えるな!」と「教育して叱る」のではなく、「本当に心中を決行できるのか?」という点を心配しています。
「あなた」は「あたし」の質問を受け流すほど、大人らしい理性を失っているのでしょう。
そこでようやく「あたし」は心中をやめて「生きる」道を選ぶことを提案します。
ただ、心中に失敗するくらいならあきらめて渋々「生きる」選択肢もあるのではないかといったニュアンス。
「何があっても、とにかく生きる!」という強い意志がほしいところです。
1番の流れで、千葉ポートパークの「海浜公園」に行ったという話でしょうか。
あるいは後日また心中を企て、東京・港区の「お台場海浜公園」へ出かけたのかもしれません。
もしくは「天現寺」を出発して「房総半島」を目指しつつ、心中を決行できずに「お台場海浜公園」に戻ってくるのが一連のコースになっている可能性もあります。
運転席に座りながらも、「あなた」の心中相手にふさわしくないかもしれないと心配したり、「人違い」ではないかと疑ったりしている「あたし」。
もしかしたら「あなた」は本命の誰かに振られて失意のどん底に沈み、誰でもいいから一緒に心中してくれる人ということで「あたし」にすがっただけなのではないかという疑惑も生まれます。
「大嫌い~厭です」というのが「あなたの嘘」だったことが判明しました。
「あなた」には虚言癖があるというか、「心中したい」と口にするものの、本当は「愛されたい、生きたい」の裏返しなのでしょう。
そんな「心中したい」という「あなたの嘘」を褒めたがっている「あたし」には生きる資格がないので、心中を決行しましょうという結末です。
ただし「あたし」にも虚言壁があるかもしれないので、本当に決行したとは限りません。
この「入水願い」を延々と繰り返している可能性のほうが高いのではないでしょうか。
さらにアルバム「教育」の収録曲だという点を踏まえ、「入水願い」を反面教師にして命のありがたさを再確認したいですね。
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さいごに
「入水願い」は実演映像集「Dynamite out」(2005年8月)、「Just can’t help it.」(2006年9月)にも収録されています。