RADWIMPS(ラッド)「tazuna」の歌詞の意味を考察します。
メジャー7th(通算9th)アルバム「ANTI ANTI GENERATION」(2018年12月)の収録曲で、NHKスペシャル「恐竜超世界」(2019年7月)の挿入歌にも起用されました。
野田洋次郎さんが作詞・作曲した「tazuna」の歌詞をチェックしましょう。

tazuna 歌詞考察!
「君の名は。」用に作られた?

もともと「tazuna」は、新海誠さん監督・原作・脚本、神木隆之介さん&上白石萌音さん主演のアニメ映画「君の名は。」(2016年8月)のために作られた楽曲だったそうです。
結局「夢灯籠」「前前前世」「スパークル」「なんでもないや」の4曲が主題歌に採用され、「tazuna」は採用されませんでした。
そしてアルバム「ANTI ANTI GENERATION」の収録曲としてリリースされた後、上白石萌音さんがナレーターを務めるNHKスペシャル「恐竜超世界」の挿入歌に起用されました。
こうした経緯を踏まえると、いきなり「人間はどこから来たのか?」と自問自答するような壮大な頭サビから始まっているのも腑に落ちるのではないでしょうか。

「細い穴」から「零れ落ちる」のは「僕のすべて」です。
「君の名は。」の地球に接近する彗星も連想されますが、冒頭に「人間はどこから来たのか?」といった問いかけがあったので、「人間の誕生」あるいは「死」が描かれているのではないかと考えることもできそうです。
「tazuna」には語り手の「僕」のほかに、「君」と「あなた」が登場します。
「君」と「あなた」は単なる表記ゆれで同一人物かもしれません。
詩的で抽象的な表現が多いため解釈は無限に広がりますが、今回は「君」をこれから生まれてくる赤ちゃん、「あなた」を「妻=母親」と仮定して考察を進めます。
そうすると「僕」はお腹の中の赤ちゃんに「自分が亡くなったら骨を拾ってくれるかい?恥ずかしい思い出も笑ってくれるかい?」と語りかけていることになるでしょう。
その裏で「君が生まれてきたら、何もかも受け止めるよ」といった父親としての自覚が芽生えているようにも受け取れます。

このパートでは、「君」はまだ「この世」に生まれていないことが表現されていると考えられます。
赤ちゃんを天使にたとえているため、「君」には「羽根」が生えているのでしょう。
お腹の中ですやすや眠っているので「羽根」は動かず無風状態、「風」も眠っているようです。
「星」が出てくるところも含め、「君の名は。」のSFファンタジー的な世界観が踏襲されているのかもしれません。

「僕=父親」と「あなた=母親」は生きている(こんなとこに来た、ここに居る)ので「息」をしていて、「息」の延長線上ともいえる「風向き」にかかわらず、「昨日」や「明日」という時間の流れを体験しています。
しかし「君=赤ちゃん」はこれから生まれてくるところなので、まだ「息」をしておらず、そのため「風」も起きていません。
タイトルの「tazuna」とは「手綱」(たづな)、つまり「騎乗者が馬を操るために握る綱(つな)」のことでしょう。
慣用句の「手綱を締める」には「勝手なことをしないように見張る」という意味もあります。
誰もが人間の起源や宇宙の仕組みといった根源的なことを「知らぬまま」生きている「この世」に、「君」を迎えてもいいと思えるのは「あなたが居るから」。
要するに「僕」と「あなた」で「手綱」を握り、「君」を見守っていこうという物語ではないでしょうか。
一緒に居るのは奇跡!

「星に名前をつけ、星を育てる」という幻想的な表現ですが、行間を読むと「僕が君(赤ちゃん)の名前を考えるから、僕とあなたの二人で君を育てよう」と解釈できるでしょう。
「人間はどこから来たのか?」という科学的には解明されていない謎に対して、「胎児のときに指差した星からやって来るのではないか?」と想像をふくらませているようです。
あるいは「君」が生まれてから、「僕」と「君」の「二人」で「星に名前をつけ、星を育てる」のかもしれません。
「君」と「あなた」が同一人物だとすると、赤ちゃんの考察を抜きにしたラブソングになります。

「君の名は。」の主人公・瀧と三葉になぞらえているのであれば、「間違い」ともいえるような入れ違いやすれ違いが連想できます。
「君」も「あなた」も三葉のことで、単なる表記ゆれではなく、映画の内容を反映して使い分けているのかもしれません。
現実的には未来を先取りすることは不可能なので、「明日に相談する」ことができるのも「君の名は。」独特の仕掛けがあるためとも考えられます。
いずれにしても「あなたがここに居るから、間違ってここに来たとしても構わない」と思える日常こそが奇跡のようですね。

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さいごに
今回は「tazuna」独自の3人の物語として考察しましたが、楽曲制作の背景やその後の展開まで含めると、さまざまな物語に寄り添うことができる幻想的な歌詞といえるでしょう。
それぞれ想像をふくらませてお楽しみください。