2013年6月26日にリリースされたback numberのシングル「高嶺の花子さん」は、キャッチーなメロディに共感させられる歌詞で多くファンを魅了するback numberの8枚目のシングル。
今回はそんなback numberの注目すべき作詞作曲を手掛けるのはギター&ボーカルの清水依与吏さん。
深くて切ない、自虐的でありながらどこか共感をしてしまう歌詞が面白い「高嶺の花子さん」について詳しく考察してきたいと思います。

高嶺の花子さん 歌詞考察
高嶺の花子さんの登場

「君からみた僕」という歌詞から始まるこの曲。
さっそく「君」という高嶺の花子さんが登場します。
その高嶺の花子さんは、友達の友達という少し距離のある関係性のようです。
しかし、その知人Bと称した自分に対する距離感からしても、あの笑顔を見せられる女性は、「恐ろしい人だ」という表現からもかなり魅力の女性である事が読み取れます。
「僕」の事を惚れさせたいという思いがありますが、黒魔術も知らなければ勇気も車もないと、自分の無力さに気付かされます。
それでもとなりで目覚めておはようと笑う君を見たいと、頭の中で妄想し「僕」はその女性を高嶺の花に仕立て上げます。

すでに高嶺の花の彼女を好きになっている僕は今すぐ飛び出してきてほしいと、非現実的な事を言いだします。
メロディアスでキャッチーな曲に乗せて「夏の魔物」や「夏の魔法」などの力を信じ、とにかく「僕」のもとへ、「僕」のものにと妄想を加速させる部分が曲のサビとなります。
生まれた星が違うという歌詞からは、きっと交わることのない、きっと叶わないような夢であると言わんばかりの関係性のようです
しかし最後には冷静に「なるわけないか」と、無理なんだと自分の無力さを痛感し自虐します。
自分じゃない誰かと

どうせ自分なんかと自虐的な考えはエスカレートし、今度は高嶺の花の女性に似合う理想の男性を妄想します。
それは自分とは到底違う人物です。
きっと年上で焼けた肌の洋楽好きだと、そんな理想の男性としか釣り合わないんだと、いわゆる高嶺の花の女性像を確立させ、自分との距離を再確認しているようです。

高嶺の花子さんが恋人に選ぶのは、どうせ背が高いはず。
どうせ自分以外の誰かに頭をなでられて君は笑うはず。
自分の無力さを自虐的に捉え、比較していきます。
しかし、あまりにも自分の自虐に妄想が暴走していることに気付き、「そいつ誰だ」と我に帰るところもどこかリアリティがあります。
何でもいいから僕のもとへ

それでもやっぱり会いたい気持ちは収まりません。
なんでもいいから急に「僕」の前に出てきてほしい。
今度は魔物に連れ去られ、アブラカタブラと不思議な力を要してでも。
「僕」のものにしたくて仕方ない気持ちです。
サビの部分ではやはり不思議な力に頼ってしまっています。

高ぶる思いを馳せて、思うがままに妄想させても、それは「夏の魔法」。
舞い上がっていた「僕」の方が「夏の魔法」にかけられていたみたいと考えます。
きっと到底無理な事ばかり妄想しすぎていて、実際には悲しすぎる結末ばかりが本当なのかと、怖い結末を考えてしまいます。

「真夏の空の下で震えながら」と暑い夏でも熱い思いがあっても、どこか心は寒さを表現しています。
それは実際には到底無理な高嶺の花だからなのか、自分の妄想が哀しいのか。
でも好きなアイスの味は何なのかとどうでも良いことまで君の事を考えてしまいます。

理由なんてなんでも良い、魔物に連れ去られてでも「僕」のもとへ来てほしい。
どんな理由であれ偶然や魔法で何とか「僕」のものにしたい。
サビの部分ではこの事を繰り返し伝えます。
黒魔術に魔物、魔法にアブラカタブラとあらゆる方法を使ってでも「僕」は妄想をし続けます。
でも結局「なるわけないか」と、わかっていた事の様に諦めてしまう言葉で最後を占められます。

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さいごに
キャッチーなメロディに載せられた「僕」という男の、妄想の話のような歌詞である「高嶺の花子さん」
きっと自信がない「僕」だけど、「僕」のものにする妄想が止まりません。
でも時折、ふと我に返ったようなセリフもどこかリアルでどこか切ない感情が共感できます。
最初から最後まで妄想を馳せて、最終的には高嶺の花である女性からのリアクションもなく、結局「なるわけないか」と自分で決着をつけている辺りが、男ならではの妄想の話と言えます。
妄想の中の話をここまでリアリティのある感情をのせて綴られた歌詞は、男性だけでなく女性をも共感させられるのではないでしょうか。
妄想の話をここまで素晴らしい世界観で伝えるback numberの代表作である「高嶺の花子さん」は素晴らしい楽曲である事は間違いないでしょう。