記事の中に、原作小説の内容を含みます。ネタバレにご注意ください。
原作「大正ロマンス」はこちら
今回は、大人気音楽ユニット・YOASOBIの新曲「大正浪漫」について、歌詞の意味を考えてみようと思います。
「小説を音楽にするユニット」として活動しているYOASOBI。
今回は、昨年7月に開催された原作募集コンテスト「夜遊びコンテストvol.2」にて、2086作の投稿の中から大賞を受賞したNATSUMIによる小説「大正ロマンス」を原作として制作された楽曲です。
曲の発売にあたり、原作「大正ロマンス」を大幅に加筆修正を行い、題名を変更した小説「大正浪漫」が、曲のリリースの翌日、9月16日に発売されます。
書籍の限定版には、“大正浪漫風”に衣装替えをしたYOASOBIのキービジュアルポストカードとオリジナルのしおりが封入されています。
小説「大正浪漫」は、現代に生きる主人公・時翔と100年前の大正時代を生きる千代子の時代を越えた“文通”から繰り広げられる、切なくも美しい恋模様を描いた作品だそうで、小説の内容も気になりますね。

大正浪漫 歌詞考察

ある日主人公・時翔(ときと)のもとに届いた不思議な手紙。
手紙は100年前の大正時代を生きる女の子・千代子が書いたものでした。
手紙の始まりは、千代子が想像して書いた100年後の未来のことを箇条書きにした一枚の紙で、「勝手にお洋服を洗ってくれる機械ができている」など、実現したものも書かれていました。
令和の時代に存在するもの、しないものを答え合わせをするように書いていく時翔。
書き終えた手紙はいつの間にか時空を超えて、再び大正時代の千代子の元へ届けられました。

何度も交わす手紙の中で、100年後の世界のことを伝えるうちに深まってゆく二人の絆。
10日ごとに相手に届く不思議な手紙を書きあっているうちに、二人の間に特別な思いが生まれます。
100年の時を超えたラブストーリーはとてもロマンチックですね。

手紙のやり取りは出来ても、直接会うことは出来ません。
どんな姿なのか、どんな声なのか、手紙に綴られた文字から想像することしか出来ないのです。
文通を続けるうちに募っていくお互いへの想い。
届くのに10日かかる手紙がスマホだったらいいのにと願います。

この歌詞は千代子が時翔に送った手紙の内容を表していますね。
生きている時代は違っても胸の中の想いは同じです。
時翔から届く手紙を待ち焦がれている千代子。
一目でいいから会いたいと願うのは誰しも同じだと思います。
不意に思い出したのは
君が生きる時代の明日
起こること
悲しいこと
伝えなくちゃ
どうか奇跡よ起きて
原作小説では8月31日のニュースで知ることですが、千代子の生きる大正時代(1923年)の9月1日に起こることとは、関東大震災を指しています。
マグニチュード7.9の大地震による大規模震災で、地震によって生じた火災などで被害が拡大し、死者・行方不明者は10万人以上、被災者数は190万人を超すと言われています。
大正時代に届くのに10日かかる不便な手紙。
「すぐに逃げて」と書いた手紙が早く届くように願う時翔でしたが、その願いは届きませんでした。

時が過ぎ、冬になった現代。
あの日から返ってこない手紙を待ち続ける時翔は、もっと早く気づいていれば、と自責の念にかられています。
千代子がどうなったのか、もう知る方法はありません。

千代子が見てみたいと願った100年先の未来を生きている時翔。
あの日の後悔は胸に残ったまま、時だけは過ぎていき時翔は高校生になりました。
高校で仲良くなった友達の家で、おじいちゃんから渡された一枚の手紙。
そこには、あの日から待ち望んだ懐かしい文字が書かれていました。
火災が鎮まった10日後、焼け落ちた千代子の家跡に届いた手紙は、震災を生き延びた千代子の手に渡っていたのでした。
その後長生きした千代子は、いつか逢えるかもしれないという望みを子供に託し、天寿を全うしたのでした。
時翔は、自分の人生を精一杯生きて、いつか天国で待っている千代子に伝えに行こうと決意します。
手紙のやり取りをしていた千代子の子孫と巡り合うのは、神様が起こしてくれた奇跡なのかもしれませんね。
後半の歌詞には、赤字で示した二人の名前が使われています。
千代(長い年月)の時を翔けた運命的な恋物語でしたね。
原作小説と合わせて聴くと、よりその世界に入り込めることでしょう。

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さいごに
いかがでしたか?
歌詞の中にも遊びが隠された素晴らしい楽曲でした!
合わせて発売される小説も必見です!