今回は小説を原作に音楽を作り出すユニット「YOASOBI」の『たぶん』について考察します。
この楽曲は、小説『たぶん(しなの著)』をテーマに書かれており、恋を終わらす二人の浮遊した気持ちが”たぶん”という言葉に込められ、別れたけれど何度でもやり直したい気持ちに気付いた主人公が切なく描かれています。
小説『たぶん』はどんな内容?
小説『たぶん』はどのような内容なのでしょうか?
歌詞を考察するうえで土台となっている小説を簡単に説明します。
同棲していた若い男女がいつの間にかすれ違い別れ、数週間後荷物を取りに来た時のやり取りを綴っています。
決定的な理由はなく嫌いになったわけではないけれど、なんとなく別れを選んだ二人の気持ちが秀逸に描かれています。

歌詞考察
では早速歌詞を読み解いていきましょう。
実感する別れ

2人での生活が当たり前となり少しづつ気持ちがすれ違い、お互い別れる予感を察知していたので心の準備ができ、涙を流すことはなかったと読み解けます。
相手からいきなり別れを切り出されたら涙を流してしまいますが、ゆっくりと気持ちが変化していったので寂しさを感じつつも受け止めているのでしょう。
また相手が荷物を取りに来たことを”痕一つも残さずに”と表現し、別れたことを実感している様子です。
ちなみにこの箇所は小説のラストの部分で、次の歌詞から小説の最初に戻ります。

急に一人になると部屋が広く感じたり、こんなに静かだったりと気付くことがおおく、別れたことを実感してしまいます。
物音によって二人の生活を思い返しているのでしょう。

二人が別れたはっきりした原因はなく、またどちらのせいでもなく、最後に”たぶん”と加えることにより曖昧で浮遊した気持ちを表現している歌詞です。
またどちらのせいにもしたくない気持ちも想像でき、まだ愛情が残っていることがわかります。
二人の生活に戻りたい

何回付き合っても何年続いても別れの結末は変えられないし、仕方ないと頭ではわかっていても、恋人が部屋に来た時につい言ってしまったのが「おかえり」というセリフです。
「おかえり」は愛情が溢れている言葉です。その言葉を言ってしまったのは愛情がまだ残っていて、できれば二人の生活に戻りたいと希望も垣間見えます。
別れることは必然だと頭では理解できているけど、本音では昔に戻りたいと願っています。

2番の歌詞になります。
別れたからといってすぐ気持ちが切り替わることなく一人でいると二人の思い出が頭をよぎり、「おはよう」「おやすみ」「おかえり」「ただいま」を繰り返す当たり前の日常を思い返しています。
いざ別れてみるとクリスマスなどのイベントではなく日々の生活が思い浮かんでしまうのは何とも切ないですね。
1番ではどちらも悪くないと書いてあるのに対しどちらが悪いか考えてますが、結局答えはでず、どちらかと言えば”たぶん”自分が悪いという曖昧な表現をしています。相手のせいにしないのも愛情が残っている証拠ですね。
虚無感

付き合いが長くなると喧嘩するのも面倒くさくなり、お互いの嫌なところを軌道修正しにくくなることありませんか?
そうすると少しずつ方向が変わっていき最終的には気持ちが別の方向にいき別れてしまいます。
こんな感じで別れるカップルは星の数ほどいて自分たちもその1つにすぎず、圧倒的虚しさを淡々としたメロディーにのせて歌っています。

1番目では「さよならとともに終わる」だったのに対し2番目は「さよならに続く道を歩くんだ」とあり、時間軸が違うことが分かります。1番目は終わった後、2番目は終わる前のことが描かれてますね。

ここが分かり合えないポイントがはっきりしているのであれば話し合うことで改善していけますが、相手が生活自体がしんどいと感じてしまったら改善は難しいです。

ラストのサビになります。
1,2番と似てような歌詞ですがラストのサビはいままでの気持ちをガラッと変えていますね。
いままでは別れるのはしかたないと気持ちでしたが、始まりに戻れたらとやり直したいと願っており、主人公が無意識に「おかえり」と言ってしまったのは確実に恋人に対する愛情があり、それを今さら気付いてしまったという自分に対するやるせない気持ちを「笑った 少し冷えた朝だ」と表しています。

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まとめ
いかがでしたでしょうか?
二人の浮遊した気持ちが淡々としたメロディーと歌詞に落とし込まれています。
”たぶん”という言葉を筆頭にこの楽曲はニュアンスを上手く伝えており、断定的な表現はしていないので共感するポイントが多いのではないでしょうか。
どちらのせいでもなく別れてしまったけれど、本当は何度でもやり直したいと主人公の願いが”たぶん”に裏に隠されている切ない楽曲でした。