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今回は2021年1月に公開された藤井風さんの配信限定シングル7作目「旅路」の歌詞考察をしていきます!
「旅路」はテレビ朝日系木曜ドラマ『にじいろカルテ』の主題歌になっており、2021年3月にはビルボード・ジャパンチャートにおいてダウンロード1位を獲得するなど人気曲になっています!
また2021年3月1日に『報道ステーション』に出演し、テレビ初出演となった藤井風さんがこの「旅路」を弾き語りで披露しています。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

旅路 歌詞考察!
過去への後悔を持ちながら前に進む

よく人生を道に例える藤井風さん。今回も「旅路」は人生のことを指しているようです。
曲冒頭では若かった日の後悔が綴られていますが、決してこの時点でネガティブな感情を持っているわけではありません。
むしろあの頃よりも大人になり、若かった自分への後悔を持ちながらも前へ進んで行く様子が描かれています。
若かったが故に何か過去に恥ずかしい失敗をしたようですが、時間が経った今では「もう大丈夫」と割り切り、これから続いていく人生に目を向けています。

続く歌詞でも過去への後悔に対して「忘れるね」と言っています。
ここでは過去の自分に対して「赦(ゆる)し」が綴られており、「みんな同じなんだから」と言い聞かせています。
また「この宇宙が教室なら 隣同士 学びは続く」という歌詞は、「宇宙」という大きな主語を使っていますが意味合いとしては「社会」を示していると思われます。
学校の教室なら隣の人やクラスメートと切磋琢磨し、お互いを見て成長していくもの。
それは大人になって多少広い世界に出ても変わらないことである、と励ましのような温かい言葉が綴られています。
どんな辛いことでもいつかは終わっていく

若かった頃は時間が長く感じ、永遠に今生きている時間が続くように感じるもの。
例えば学校で勉強をしたり、部活で辛い思いをしているときは時間が長く感じますよね。
これは大人になって社会に出ても同じこと。最初のうちは仕事が辛く感じ、辞めたいと思うこともあります。
実際にここ数年で新卒社会人の3年以内の離職率は上昇傾向にあり、若い人がすぐに諦める傾向が強まっているようです。
しかしそれはそんな辛い日々が永遠に続くように思っているからこそ。
実際に辛い日々は長く続くようで長い目で見ると終わりが来るのはそう遠い未来ではありません。
そう思っていれば少しは気持ちが穏やかになるもの。そんな悟りとも言える心情をこの部分の歌詞では歌っています。
どんなことでも時間が経てば思い出になる

これからの人生では誰かを愛したり、別れて忘れてしまったり、たくさんのことが起きます。
そのようなことは思い出になりますが、同じように辛かったこともいつかは思い出として語れるようになります。
辛かった思い出でも思い出は思い出。辛いことも含めて自分が生きてきた人生です。
時間が経てばどんな思い出でも誰かと話し、ひとりで懐かしんで笑い、愛することができるようになります。
この部分は藤井風さんの楽曲「帰ろう」と通ずるものがあります。
「帰ろう」では死別がテーマとして設定されており、「人間はどうせいつか死ぬのだから、憎んだ相手でも許して愛だけ持っていこう」というようなメッセージが込められています。
この「旅路」のサビでも同じように「辛い日々でもいつかは愛せるようになる」と悟りのようなことが書かれており、藤井風さんの人生観がそのまま表れているように感じます。
実際に「帰ろう」は藤井風さんが「これをリリースしないと死ねない」とまで言っていた楽曲で、「帰ろう」やこの「旅路」で謳われている悟りのような心情は、藤井風さんの根底にある人生観そのものなのではないでしょうか。
手紙のように綴られる2番

2番では手紙の書き出しのように歌詞が綴られています。
「この町は相変わらず青春です」という歌詞から、誰もが結局等身大でもがき苦しみながら生きていることに変わりはないと思っていることがわかります。
誰もこの先のことはわかりませんが、それぞれが抱える悩みや苦しみに対して精一杯向き合いながら、挫折しながら生きているのです。
それは若かった頃に学校単位でしていたこととスケールは違えど同じことであり、それを「青春」と表現しているのです。

続く歌詞でも手紙の書き出しのような歌詞が続いています。
「僕たちはいつになれど少年です」というのは少し客観的に町を見ていた前の歌詞と違い、自分も当事者としての目線で語っているように感じます。
また注目したいのは「僕たち」という主語です。「僕」ではなく「僕たち」なのは、1番の歌詞にあった「隣同士」という言葉と繋がっているようです。
これもまたみんな同じようにもがきながら成長しており、お互いの姿を見ながら前に進んでいる様子を表現しています。
そして「心の奥底ではいつも 永遠を求めています」という歌詞も注目したい部分です。
1番では「いつか終わりが来るから」と悟ったような思いを持っていましたが、2番では対照的に「永遠」を願っています。
学校に通っていた頃は「卒業」がちらつくと「まだこの学校にいたい」と思う人も多いのではないでしょうか?
主人公は「いつか終わりが来る」とわかっているからこそ、壁にぶつかって全力で生きている「青春」が続くことを願っており、そんな姿を「少年」と表現しているのです。
青春は永遠ではなくても、過ごしてきた日々に価値がある

「果てしないと思ってた」のは、今まで数々経験してきた「青春」のことと考えて良いでしょう。
そのときそのときを全力で生きる「青春」は永遠ではありません。
しかしそうして生きてきた日々は決して無意味ではなく、現在の自分に繋がっています。
全力で生きてきた「青春」で「目にしてきた」もの、「手に触れてきた」もの全てに意味があるからこそ、今の自分があるのです。
これからの人生で受ける愛と返す愛

ラストサビでも1番と同じようにこれから先の人生について歌っています。
1番と違うのは歌詞の後半部分。
1番ではどんな辛いことでもいつかは思い出になる、と自分への励ましのような言葉が使われていました。
しかしこのラストサビではこの対象が自分ではなく周囲の誰かになっています。
この先の人生で自分が受け取った愛は、全部「あなた」に返す。これは愛というものが相手から受け取るだけで成立するものではなく、自分も相手を愛することで成立するものであることを歌っています。
これもまた「帰ろう」の歌詞とピッタリ重なる考え方で、藤井風さんの根底にある人生観そのものなのでしょう。
この部分はより「帰ろう」に近く、最後の「永遠なる光のなか 全てを愛すだろう」というのは恐らく自分が死ぬ瞬間のことを言っています。
死ぬ瞬間には今までの人生で受けてきた愛も憎しみも全てを愛し、穏やかに次の人生に向かっていく。これは「帰ろう」の歌詞と全く同じです。
ドラマの主題歌でありながら、藤井風さんの人生観が強く出た楽曲でしたね。

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さいごに
この曲は藤井風さんの人生観を歌ったもので、「帰ろう」と共通する部分が多く見られる曲でした。
「帰ろう」と違うのは、「旅路」というタイトル通り、若い頃から死の瞬間まで長い人生全てに思いを巡らせているという点です。
「帰ろう」は死の瞬間を切り取って歌ったものでしたが、この「旅路」は人生全てについて歌ったもの。つまり、「帰ろう」よりも藤井風さんの人生観がモロに出た曲と言って良いでしょう。
この「旅路」がリリースされたのは2021年の1月。藤井風さんは6月が誕生日ですので、まだ彼が23歳のときです。
この若さで人生について自分の考えを曲にできる藤井風さん。曲中で歌っている通り、この先のことはまだどうなるかわかりません。
もしかするとこの曲とはまた違った人生観を見つけるかもしれません。これからまだまだたくさんの曲を世に出していくであろう藤井風さん。
曲そのものだけでなく、彼の人生観にも注目してみると良いかもしれませんね。