ヒゲダンことOfficial髭男dism「SWEET TWEET」の歌詞の意味を考察します。
1stミニアルバム「ラブとピースは君の中」(2015年4月)の収録曲。
藤原聡さんが作詞・作曲した「SWEET TWEET」の歌詞を紐解きましょう。
SWEET TWEET 歌詞考察!
君の声を聴きたい!
「SWEET TWEET」の語り手は「僕」です。
タイトルは「甘いさえずり(つぶやき)」という意味なので、「愛する君の声」を表しているでしょう。
「僕」は藤原聡さん自身を彷彿とさせる、音楽好きの青年。
大好きな音楽より「君の声を聴きたくなった」というのが「SWEET TWEET」のテーマになっていて、冒頭の歌詞にあるとおり、内容としては本当に「それだけ」です。
2人が付き合っているのかどうかははっきりしませんが、友だち関係のまま仲良くしている状態か、付き合い始めたばかり、あるいは訳あり、いずれにしても恋愛初期でしょう。
とある「夜」、「君」に電話をかけようとするだけで、時間がゆっくり進むみたいに感じられるほど緊張してドキドキしている様子が伝わってきます。
「どんな歌より」という表現だけでなく、例えば45回転のEPレコードを、LPレコード用の33回転で「スロー再生」するような音楽用語が用いられているところからも、音楽好きなことがわかります。
「君の声」の高さ・低さ(トーン)が気になり、詳しく描写しているところにも音楽好きの特性が表れています。
あまりにも音楽が好きすぎて、「君の声」すら音楽のように聴いているイメージです。
話し声は「普通」の高さで、笑い声は話し声の「二音半」高くなるというように、細かく音程を聴き分けています。
ミュージシャンや絶対音感の持ち主にはこうした習性があるのかもしれませんね。
ただ、この「君の声」は「僕」の「記憶」のなかで鳴り響いています。
実際にはまだ電話をかけておらず、「君の声を聴きたくなった」状態のまま、歌詞の時間経過も「スロー再生」になっているところがおもしろいですね。
大好きな音楽より「君の声」を聴きたいのに、なかなか電話をかけられない理由が明かされています。
その理由とは「気の利いた話をしたいのに、難しくて言えず、上の空状態になるから」でした。
「愛する君と話す」だけで「心が浮ついて」しまい、頭の回転が遅くなるのでしょう。
冷静さを欠いた「上の空」状態の気分と、「秋の星空を見上げる」という実際の行動をリンクさせて表現しているところが詩的です。
いつもより「夜」が長く感じられる「秋の夜長」という慣用句も連想できるのではないでしょうか。
遠距離恋愛は心が踊る素敵な恋
「僕」が「君」に電話をかけようかどうしようか迷っているうちに、「君」のほうから電話がかかってきたような展開です。
しかも「切ない」遠距離恋愛という訳ありだったことが判明します。
ヒゲダンのメンバー4人は2016年2月に上京し、藤原聡さんは2019年11月22日、一般女性との結婚を発表されました。
実話に基づいているのか、「SWEET TWEET」独自のフィクションなのかはわかりませんが、簡単には会えないからこそ電話で話すことが貴重に思えるのでしょう。
話すまではあれこれ悩んでなかなか時間が経たなかったのに、実際の電話では「3時間におよぶ会話」が弾み、「一瞬」で時間が過ぎたところが恋愛初期や遠距離恋愛らしい「あるある話」と言えそうです。
「星空」が「白んだ空」に変わり、夜が明け薄明るくなるまで楽しく話し込んだことがわかります。
「スロー再生」で鬱々と悩んでいたことがまるで嘘みたいに、「3時間もの一瞬の電話」で楽しい時間を過ごした果てに「眠りについた僕」。
夢のなかでも「君の声」を反芻し、上の空状態で恋愛に浮かれている自分についていろいろ考えているのかもしれません。
主語に続く部分が省略されることで、夢見るような「恋するだけ」のフワフワした感覚が見事に表現されていますね。
実際にはなかなか会えず、電話で話すことしかできない遠距離恋愛は「切ない」ものです。
しかし大好きな音楽より「君の声が素敵」と感じられるので「ステキな恋」だとポジティブに捉えています。
そんな「君の声」を「メロディ」(主旋律)になぞらえ、「メモリー」(記憶)と韻を踏んでいるところが音楽好き、ヒップホップ好きのヒゲダンらしいですね。
この「メロディ→メモリー」という大団円に結びつくように、「記憶」を反芻する「スロー再生」の時間がたっぷり取ってあったことがわかる結末です。
「君の声を聴きたくなった」というテーマ「それだけ」でここまで広げられるのも、ヒゲダンならではの力量ではないでしょうか。
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さいごに
大人になると恋愛でフワフワ舞い上がっている場合ではない日常が待ち受けています。
ただ、J-POPを聴く10代、20代にとって大きな関心事といえば恋愛。
切ないラブソングがヒットしやすいこともあり、ヒゲダンも直球勝負したのではないでしょうか。
それでも音楽用語を交えているところにヒゲダンらしさを感じます。