東京事変「スーパースター」の歌詞の意味を考察します。
プロ野球のイチロー選手(当時)をイメージしたという、2ndアルバム「大人(アダルト)」(2006年1月)収録曲。
椎名林檎さんが作詞、亀田誠治さんが作曲した「スーパースター」の歌詞をチェックしましょう。

スーパースター 歌詞考察!
憧れの存在をテレビで見て思うこと

「スーパースター」は椎名林檎さんがイチロー元プロ野球選手(外野手)をイメージして作った楽曲です。
イチローさんは、日本のプロ野球(NPB)で1992年7月から2000年10月、アメリカのメジャーリーグ(MLB)で2001年4月から2019年3月まで活躍し、45歳で引退しました。
「スーパースター」の収録アルバム「大人(アダルト)」がリリースされた2006年1月当時は32歳。
シアトル・マリナーズでシーズン最多安打記録を更新したり、MLB通算1000安打を達成したり、さまざまな苦労と向き合いながら世界で羽ばたいていた時期でした。
そんなイチローさんの輝く姿をテレビで見て、椎名林檎さんは触発されたのでしょう。
事変のリスナーにしてみれば、椎名林檎さんもイチローさんのようにテレビで輝くスターですが、そんな椎名林檎さんも「イチローさんならこう言うだろう」と想像したようです。
将来に対して何か不安に思うことがあったとき、「先のことは誰にもわからないから、自分自身で切り拓くだけ」と言わんばかりに挑戦し続けるイチローさんの姿が目に留まったのでしょう。
そこで自分自身を振り返ると、「落ち込んでいる場合ではないとわかっているけれど…」と言葉を失うような気分に陥ったようです。

イチローさんといえば、打席に立ったときや出塁して盗塁を狙うときなどのキリッとした目つきが印象に残っている人も多いでしょう。
椎名林檎さんの4thシングル「本能」(1999年10月)には「鋭い其の目線が好き」という歌詞もありました。
自分自身があれこれ思い悩んでいるときに、挑戦者の眼差しにハッとさせられることもあるもの。
むしろ椎名林檎さんの「強く光る眼」を思い出すリスナーも多いと思われますが、「スーパースター」の語り手「私」は現時点では「か弱い」と感じています。
「憧れの存在に会えるとしても、それなりに自信がもてる状態でなければ素直に喜べない」というところが謙虚ですね。
心の炎を燃やしながら生きよう!

「答えは~」の部分は、やはりイチローさんが言いそうだと椎名林檎さんが想像した言葉でしょう。
人生さまざまな場面で、どのような「答え」が正解だろうかと思い悩むこともあるものです。
「どの道を選べば幸せになるのか、わかるものなら誰かに教えてほしい」と弱音を吐きたくなったり、「これほど行き詰まった状況では答えが見つからない」と投げやりになったりするときもあるはず。
しかし華やかなメジャーリーグで戦ったイチローさんこそ、前人未到の道を突き進んだとも考えられます。
落ち込んで下を向くと、枯葉におおわれた地面が目につき、年齢を重ねるごとに守りに入って消極的に生きている自分に気づいたのかもしれません。
「イチローさんのように、自分で答えを見出していこう」と前向きに歩き始めた様子が感じ取れます。

どうやら椎名林檎さんはイチローさんの「孤独に立ち向かう姿」に心を打たれたようです。
そもそも人間は「孤独」な生き物ではあるものの、華やかな世界で活躍すればするほど「孤独」を感じやすくなるでしょう。
たくさんの人に注目されるほど期待が高まり、人知れず努力を重ねても、必ずしも思うように結果を出せないときもあるはずです。
それでも「孤独」に押しつぶされることなく、「未来や答えを自ら創造する」という「強い意思」をもったイチローさん。
その姿に涙が出そうになるほど感銘を受け、勇気づけられている椎名林檎さんの様子が伝わってきます。

結局、椎名林檎さんとイチローさんはフジテレビ系音楽番組「僕らの音楽」(2007年2月)で対談しました。
その際イチローさんは「スーパースターという言葉は大嫌いだったけれど、『私の』とついていたところに感動した」といった趣旨の発言をしています。
「皆のスーパースター」と呼ばれて浮かれるタイプではないところが、イチローさんらしいのではないでしょうか。
椎名林檎さんのことを「私のスーパースター」だと感じている人も多いはずなので、「テレビのなかの人」に勇気づけられているすべての人に寄り添った歌詞だと言えるでしょう。

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さいごに
実際に憧れのスターに会えることはなかなかないかもしれませんが、それでも万が一のときは自信をもって対面できるくらいに心の炎を燃やしながら生きたいものですね。
「スーパースター」はライブベストアルバム「東京コレクション」(2012年2月)、オールタイムベストアルバム「総合」(2021年12月22日)のほか、ライブ映像集の「Dynamite out」(2005年8月)、「Just can’t help it.」(2006年9月)、「ウルトラC」(2010年8・9月)、「2O2O.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ」(2021年4月)にも収録されているので、これらで心の準備をしてみてはいかがでしょうか。