今回は5月30日にリリースされるYOASOBIの新曲「好きだ」の歌詞を考察していきたいと思います。
4名の直木賞作家が “はじめて〇〇したときに読む物語” をテーマに小説を書き下ろすコラボプロジェクト第2弾となる今回の作品は、森絵都さんが書き下ろした「『ヒカリノタネ』――はじめて告白したときに読む物語」を原作として制作されました。
第1弾で制作された楽曲「ミスター」も大人気で今回の楽曲にも注目が集まっています。
コメント紹介
原作者である森絵都さんのコメントをご紹介します。
「好きだ」のタイトル通り、曲全体から告白前のドクドクとした鼓動が伝わってくるようで、「心から誰かを思うこと」のまぶしさに胸が躍りました。
小説から元気よく飛びだしてきたような女の子の惑いや気づき、そして決意に至る道筋が、短い歌詞世界の中に色濃く焼きつけられていることに驚いています。
耳の奥でいつまでも鳴りやまない伸びやかなメロディと歌声は、世界中の片思いへの力強い祝福だと思います。
今回の副題は「はじめて告白したときに読む物語」
どんなお話になっているのか、また、物語の内容をYOASOBIがどう表現しているのか?
曲の公開が楽しみですね。

好きだ 歌詞考察
考察の過程で原作の内容に触れます。原作を読んでいない方はネタバレにご注意ください。

曲の考察を始める前に、原作の登場人物についてご紹介します。
- 由舞
「柿ピー」「ONE PIECE」「バレーボール」が好きな高校2年生の主人公。
幼馴染の椎太に恋をしており、これまで既に3度の告白をしている。 - 椎太
由舞とは幼馴染の男子。能天気な性格に見えるが、思慮深く温かな優しさを持っている。 - ヒグチ
由舞の親友で椎太のことについて相談されている女子。
クールな性格でズバズバと本音を言う。
この楽曲は由舞の目線で描かれています。
では、歌詞を見ていきましょう。
<急に居ても立っても居られず 友達にSOS>
ここにでてきている友達はヒグチのことですね。
幼馴染の椎太にこれまで3度も告白して玉砕してきた由舞。
どれだけ望みが薄くても、やっぱり椎太のことが忘れられない由舞は、親友のヒグチに愚痴を聞いてもらいます。

これまでの告白のことも聴いてきたヒグチ。
何度も同じ話をされ、うんざりしている様子が浮かんできます。
原作では、歯に衣着せぬ物言いのヒグチが「頭を冷やすために当たって砕けろ」とアドバイスするシーンもありました。
恋が成就する可能性はほぼゼロだと言われても、諦めきれない椎太への想い。
4回目の告白に向けて動き出す由舞の姿が表現されています。

これまでずっと片思いをしてきた由舞。
ずっと辛い片思いをするくらいなら、いっそ好きな気持ちなど忘れて幼馴染・友達として居たほうがどんなに楽なことでしょう。
廊下ですれ違うとき、少し声をかける程度の関係のほうが楽だと分かってはいても、椎太への想いを忘れることはできません。
これまでに3度も告白してきた由舞の想いの強さがわかりますね。

4度目の告白を考えている由舞は、「4回目の告白は、さすがに椎太も新鮮味に欠けるのではないか?」と不安になります。
椎太が告白されることに慣れてしまっていては、自分の想いは届きません。

椎太に初めて告白したのは小1のとき、まだ恋愛について何も分かっていないまま想いを伝えました。
その次は小6、最後は中2のとき。
どちらも振られてしまいました。
この失敗した3回の告白をすべてなかったことにして、今回が初めての告白になればうまくいくかもしれない。
過去に戻って自分の告白を阻止したい、と願う由舞に親友のヒグチが、タイムトラベルの手伝い人・蒔野さんを紹介します。
タイムトラベルが実際に存在することを知った由舞は、迷わずかつての自分の告白をなかったことにするため、タイムトラベルを決意します。

タイムトラベル当日。
告白したあの日に戻って、自分の告白を阻止していきます。
<それでいいんだ それでいいんだっけ>
過去の事実を消して今回の告白を初めての告白にする計画は順調に進みますが、その計画が達成したとき、由舞は涙を流していました。
由舞の涙の理由は何なのか?
次の歌詞に続きます。

<何回フラれてがっかりしたって 苦い想い繰り返したって その度触れた君の好きなものが いつしか私の好きものになったんだ>
過去に戻って自分の告白を阻止する中で思い出した記憶。
それは、今の由舞の好きなもの「柿ピー」「ONE PIECE」「バレーボール」は、全て椎太に振られたことがきっかけで、好きになったのだということ。
過去の告白を阻止するということは、失恋という経験もなくなり、宝物のような好きなものもすべて消えてしまいます。
椎太への告白、そして失恋こそが、自分の宝物(ヒカリ)を作り出した【ヒカリノタネ】であったことに気がついた由舞は「取り返しのつかないことをしてしまった」と後悔しながら現代に戻ってきます。
この続きは原作小説でご確認ください。
<失敗してもいい もう一度言うよ 私 君のことが>
過去の失敗が、今の自分を形作る宝物になっていることに気がついた由舞。
未来に続く宝物を作ってくれた過去の自分に感謝し、もう一度椎太に告白します。
曲のラストとタイトルが繋がっている作りも、この曲自体が由舞の心であることを表現しているようで面白いですね。
小説を音楽にするユニット・YOASOBIらしい素敵な楽曲でした。

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さいごに
第1弾がリリースされた際に、書籍「はじめての」を購入された人も多いのではないでしょうか?
小説とコラボした楽曲だからこそ、物語を先に読むか、曲を先に聴くか、他の曲では味わえない楽しみ方をすることができますね。
今回の原作も素敵な物語なので、是非読んでみてください。