今回は2021年4月14日にリリースされた6枚目のアルバム「Walpurgis」の2曲目に収録されている「STAND-ALONE」の歌詞考察をしていきます。
日本テレビドラマ「あなたの番です」の主題歌になった「STAND-ALONE」は、aimerrhythmさんが作詞を、飛内将大さんが作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

STAND-ALONE 歌詞考察
ドラマ「あなたの番です」について
田中圭さんと原田知世さんが新婚夫婦を演じている本作品「あなたの番です」。
この新婚夫婦が引っ越したマンションで、幸せな生活が待っているかと思いきや、動機のない連続殺人が待ち構えています。
その事件の裏側には、住民が「殺したい人」の名前を紙に書きだし、くじ引きのようにその紙を引いていく、という「交換殺人ゲーム」が存在して・・・といった内容のミステリードラマとなっています。
夢と現の狭間

この歌詞の登場人物は主人公と「君」の二人となっています。
冒頭の「重ねた夢の隙間」とは幾つかの夢と現実の間、という意味合いでしょうか。
恐らく複数の夢を見て、目が覚めた「今もまだ」夢と現実の間をぼんやりと「彷徨う」ような感じの主人公。
そして「揺らいだ現実」とあり、主人公にとって「現実」ははっきりとしたものではなく夢との境目が曖昧なもののようです。
「これはまだ夢の中?」と自らに問いかけており、如何に現実が夢を区別がつかない程ぼやけている感じかがわかりますね。

更にここで、主人公の現実の曖昧さが描かれています。
主人公は、「夜風」も「街並み」も「生ぬる」く感じながら通り過ぎ、そのまま「地下鉄」へと降りていきます。
「雑踏」の音が聞こえる中、主人公の目には涙が滲んでおり街のネオンも霞んで見えています。
現実と夢が曖昧に感じ、外出先で涙が出てしまう状態の主人公。主人公に何が起きているのでしょうか?
暗闇からの脱却

ここで「君」が登場します。
「さよなら」の言葉が2回繰り返され強調されています。
主人公と「君」の二人の関係性は不明瞭ですが、仮に恋人同士だとしたら、あまり良い状態ではなさそうです。
次に「間違いだらけ」とありますので、不適切な関係にあるのかも知れません。
そして、「君」に向けてなのか、自身に向けてなのか、「哀しい歌 ずっと歌ってもいいの?」と問いかけています。
「間違いだらけ」「何も変われない」「哀しい歌」とネガティブなフレーズが出てきますが、主人公の心情はかなりダメージを受けているのがわかりますね。

ここでタイトルの「Stand alone」が2回繰り返し出てきます。
ちなみにstandは立つ、立っているという意味の動詞で、aloneはひとりで、孤独で、という意味の形容詞です。
主人公が、ひとり孤独な状態で立っている「世界」とは、「歪ん」でおり、外からの「月明かり」すら「届かない」暗い場所です。
そんな「暗闇」のような「世界」は実際に主人公が住んでいる部屋を表していると同時に、心の中をも明示しているようです。
しかし、ずっとそのような「暗闇」の中で留まることは望んではおらず、「Bye-Bye」「何もかも投げ出して」「星になりたい」とあるように、現在の状態から抜け出したいという願望が垣間見られます。
ラストに「そうでしょ?」とありますので、自分自身だけでなく「君」に対しても同意を求めているのでしょうか。
どうも「暗闇」にいるのは主人公だけでなく「君」も同じなのかもしれませんね。
お互いにこの現状から抜け出したいと思っていると解釈できそうです。
曖昧なスタートとルール

ここでは「ふらついた足元」「本当か嘘かわからない」「わかんない」とあり、更に主人公の危うい状態が見られます。
現実と夢の区別はついてはいるようですが、その現実が「本当」なのか「嘘」なのかが判然としない状態に主人公は置かれているのです。

主人公は二人の不適切な関係の「始まり」や「ルール」が曖昧であったがために、現在の「暗闇」に行き着いてしまったことを嘆いているようです。
そして様々な事が「曖昧」で上手く機能しないならば「失くしてもいいよ」と、恐らく現在の関係性を手放すことを覚悟しているようです。
またここは、ドラマの内容とオーバーラップしているように思われる箇所です。
「始まりとルール」や「刻んだ名前」といったフレーズは、ドラマでの「交換殺人ゲーム」を思い起こさせますね。
ただの思いつきのお遊びにしてはやりすぎ感は否めない「交換殺人ゲーム」自体が曖昧としています。
また、住民たちはそのゲームがきっかけに実際に殺人事件が次々と起こっているのでは?という疑いと、まさかそんな筈はない、という疑問を否定する気持ちで揺れ動き、心情も曖昧なものとなっています。

ここでは主人公が「幸せ」を感じていた「君」の「嘘」を回顧しています。
主人公と「君」との関係は「嘘」で成り立っていたようです。その「嘘」というのは「夜明けは来るよ」というもので、つまりは、いつかは現在の不適切な関係性も解消されると、主人公に希望を持たせるものなのです。
しかし、現実は「星座すら逃げ出して」しまうような「暗闇」で、主人公が孤独に「立ち尽くす」という哀しいもの、というのは明白です。
主人公は、非常につらい現実を生きているようです。
諦めと問いかけ


ラストサビは1番サビのリピートですが、「何も変われないなら」が「何もかわれなくても」に、「ずっと歌ってもいいの?」が「ずっと歌ってもいいと」に変わっています。
一番では「もし~ならば」という仮定の話をしていたのが、ここではもう「かわれない」ということを悟っています。
また一番では疑問を投げかけていたのに対して、ここでは疑問はもう既に無くなっており「歌ってもいいと」と歌う事に対して肯定しています。
一縷の望みも叶わないかも、とわかってしまった主人公の心情の変化がここで垣間見られます。
そして、ラストは一番のリピートとなっていますが、諦めはあるもののやはり「星になりたい」とあり、現状から脱却したいという望みは残っていることが見て取れます。
諦めを感じつつも希望を提示しているラストが印象的ですね。

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さいごに
本楽曲「STAND-ALONE」は、愛する人はいても決して幸せな感情は抱けないという諦めの雰囲気と、それでも何とか現状から脱却したいという願いの相反する心情が混在しています。
タイトルは、一人立ち尽くすという孤独な主人公の姿が目に浮かぶようで、寂しさが感じられますが、同時に勇敢さも感じ取れるようです。
歌詞にもあるように、スタートからのつまずきが主人公に孤独を感じさせるようになったという事は明白ですが、そこから脱却していこうとするのは一人ではなく「君」と一緒だということは救いであると言えるでしょう。
ドラマの作風とも相まって、ミステリアスでアンニュイな雰囲気が醸し出されているものの、ラストでは希望も込められている「STAND-ALONE」。
本楽曲を手掛けたAimerさんの今後の曲にも注目したいですね!