今回はASIAN KUNG-FU GENERATION(通称:アジカン)の『ソラニン』の歌詞を考察していきます。
『ソラニン』は浅尾いにお原作の映画「ソラニン」の主題歌に起用され、映画内でも重要な位置を占めている楽曲。
宮崎あおい演じる芽衣子、高良健吾演じる恋人の種田の切なくもうるわしい青春ストーリー。
ネタバレになってしまうので控えますが、映画内では大きな「喪失」が描かれており、そこから強く生きる主人公を励ます楽曲として『ソラニン』が登場します。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・後藤正文さんは、
「『ソラニン』の登場人物たちには否応無しに感情移入してしまいます。彼らと同じような大学生活を送り、ぼんやりとした不安に包まれたまま社会に放り出されて、「ロストジェネレイション」なんて呼ばれている世代の我々。それがそのまま描かれているように思えて、何度読んでも私のセンチメンタルは加速します。『ムスタング』は『ソラニン』を読んで、自分の内側から湧き出た叙情を歌にしたものです。『ソラニン』と同時進行の、私なりの想い。反対に、『ソラニン』は作品そのものの中に潜り込んだつもりで旋律を紡ぎました。」
とコメントしています。
映画とかなりリンクした思い入れの強い作品だと感じます!では早速歌詞を考察していきましょう。
『ソラニン』歌詞考察
ずっと一緒にいられると思っていた
「思い違い」とは「実際と違うことを事実と思いこむこと」を意味します。
何を思い違いしていたのでしょうか?映画に沿って考えれば、芽衣子は恋人・種田とずっと一緒に居られると信じていました。しかし二人はお別れを余儀なくされるのです。
そうした背景から”思い違いは空のかなた”と歌われています。
芽衣子は「ずっと一緒に居られる未来」を少しばかり予感していたにも関わらず、その予感はあっけなく打ち砕かれてしまうのです。
”さよならなんだ”には深い喪失感と悲しみが込められています。
時の流れは無常にも進んでいく
大切な思い出が刻まれた場所には、深い思い入れがあるもの。
なつかしさに駆られ、昔を回想しているのがうかがえますね。あんなにたくさんの思い出を残した部屋なのにもう他人が住んでいる事実を受け止めることができない感覚が伝わってきます。
当時「無駄」だと感じていたことも、失われてしまった今になっては貴重だと感じるもの。
後悔や無念。時の流れの残酷さに打ちひしがれていくのです。
”ソラニン”の意味
サビ部分です。
”たとえばゆるい幸せがだらっと続いたとする”
これは芽衣子が望んでいた未来です。
しかしもしその未来を生きていたとしても”さよならなんだ”と想像しています。
つまり、お別れせずにずっと一緒にいたとしても「お別れ」はやってくるのだということ。
ここで初めて「ソラニン」の意味が露わになります。
ソラニンとはジャガイモの芽で強い「毒」を持っています。その点から、
「ゆるい幸せに浸かっているうちに毒に蝕まれて二人の関係は終わってしまう」と解釈できます。
もう一方で大事なのは、ジャガイモはソラニンがなければ成長できないということ。その点から、
「別れや孤独感は恋愛において必要不可欠で、苦しさを通じて人は成長できる」と読み解くこともできます。
この2点から、ソラニンは①関係をダメにする毒、②人を成長させる不可欠な痛み だと解釈できないでしょうか。
喪失を乗り越えるために、辛さを肯定する。それが「ソラニン」の意味するところなのです。
「思い出してみる」過去
主人公はここで恋人との昔のシーンを回想します。
寒い冬に二人であたたまった情景が目に浮かびますね。
一緒に歩いたであろう道を、孤独感を抱きながらも小走りで進む。
主人公が振り返るわけでもなく、止まるのでもなく、確実に一歩一歩進みながら颯爽と回想しているのが分かる描写です。
”思い出してみる”との言葉から、自分がどれくらい心の傷を痛めているのか確認しているようにも思えます。自発的に思い出そうとしているところに、二人のお別れが過去になっていく様子もうかがえます。
何度も「さよなら」をかみしめる
2番のサビは1番と同じです。
主人公が「さよなら」を懸命に認めようとしているようです。
孤独や喪失感を抱えながらも、精一杯進もうとしているのが伝わる歌詞です。
お別れのあとにも希望はある
”さよなら それもいいさ”
人生に「さよなら」があったっていいと、肯定する歌詞が一縷の希望になります。
お別れをしたって、それぞれの道は進んでいくもの。
一瞬でも愛し合えた時間を尊び、次に進んでいく希望が垣間見れるラストで締めくくられます。
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おわりに
いかがでしたか?
映画とセットで見るとさらに『ソラニン』の楽曲の深さに触れることができるのでおすすめです!