目次
今回は「オオカミくんには騙されない」の主題歌に起用されたRADWIMPSの『そっけない』の歌詞について考察していきます。

『そっけない』歌詞考察
試されているのか、本気なのか

MVは、大勢の大学生がサークルのような仲間たちと、ホームパーティーをした後の真夜中と思しきシーン。
主人公は神尾楓珠(かみおふうじゅ)演じる「俺」。その恋の相手が小松菜奈演じる「君」。
皆が寝静まり二人は隣り合って寝ています。少しドキッとするようなシチュエーションですね。
そこで急に主人公に触れてきた「君」。主人公は一体何が起きたのかわからず静かにパニックに陥ります。
”試されたりするのかな それなら望むとこだけど
遊ぶだけの相手欲しさならば 他を当たってよ”
いつもそっけないくせに今日ばかりは誘ってくるような「君」の態度への喜びを隠すように、強がった発言をする主人公。
いつも振り回されていることへの苛立ちとの葛藤で胸がいっぱいになってしまいます。
もどかしい恋心

”君の分厚い恋の履歴”
この歌詞からは「君」が恋多き女性であるのが分かりますね。
「履歴」とは着信履歴のようにどんどん消せるような軽い恋のイメージにつながります。
主人公は、「君」がモテて男性を虜にするのが上手な小悪魔的な存在であることを重々に承知。
一方の主人公は、それでも「君」にまっすぐ恋をしている堅実で真面目な人物像だと読み取れます。
恋の不条理は、真面目な人ほど恋に慎重になって悲しい思いをするのが多いという事実。
それでも主人公は「君」の特別な存在になることしか願っていないのです。
そんな折に、急に「君」が近づいてきたら主人公も「自分にもチャンスがあるのではないか…」と思ってしまっても仕方ありません。
強気と弱気のはざまで


「君」から誘ってきたにもかかわらず、その気が無さそうな様子を見て「そっけない」と形容されたものが実はタイトルに由来しています。
もうその気になっていた主人公にとっては、ふっと向こうを向いてしまった「君」のあまりの仕打ちに”ちょっとひどいんじゃない”と怒りすら覚えます。それほどまでに恋心が強いからです。
でも、ここで「君」に「じゃあいいよ」なんて去られたら、主人公はもっと辛くなるでしょう。
”いいよって君が言うなら 暇はいくらでもあるから”
これは主人公の女々しい「強気発言」です。
はじめは”そんなに暇じゃない”と言いつつも、翻って”暇はいくらでもあるから”とすぐに意見を変えているのが印象的。
主人公が猛烈に「君」に振り回されているのが分かりますね。でも主人公も自身の今の惨めな立場を痛いほどに分かっているのです。
わかりたいこととわかりたくないこと

2番に入るとMVでは、「君」が主人公の手に何気なく触れていきます。
弄ばれているのか、本気のアプローチなのか。主人公は分からないまま静かにパニックになっていきます。
「君」に好意があることは”わかることなどいくつもない”と表現され、もし遊ばれていればそれは”わかりたくない”事実。
どちらが正解か分からない現状を”絡まったイヤホン”と表現されているのは、非常に秀逸ですね。
この絡まりを解くのは「君」次第なのです。
君との気持ちの差

ころんと振り返り「君」の方へ顔を向ける主人公。
”恋の核心”とは、つまり「君」に好意があるかどうか、ということでしょう。
恋多き「君」は全く自分に興味を持っていないのか、それとも、実は好かれているのか?
核心に迫ったところで、全く興味を持たれていなかったらそれほど辛いことはありません。
主人公は自分の強い恋心とは裏腹に、「君」が全く好意を持っていない場合の温度差に恐怖すら覚えているのです。
主人公がこんなにも一生懸命考えているにも関わらず、何事も無かったような顔をしている「君」へ少し苛立ちや呆れすら覚えてしまうのです。
そっけなくなかった「君」に騙されて


2番のサビは1番と同じです。
しかしMVは佳境を迎えます。
突然誰かの携帯が鳴り、現実に引き戻されるような静寂に包まれます。
これを見越したかのように「君」は主人公にキスをします。とても官能的で甘美なシーンです。
”暇はいくらでもあるから”の言葉に、「君」へ全てを捧げてしまいそうになっている主人公の気持ちがぎゅっと詰まっているかのようです。
本当のことを言えないのは

キスをされて本気度が高まってしまった主人公。
いっそのこと酔っ払って「君が好き」と伝えようとしています。
しかし主人公はそんな勇気がないのを自覚しています。
なぜなら「君」は全く自分に好意を持っていないのが確実であると予感しているからです。
恋心の結末は


「君が好き」と伝えられなかった分、気持ちが高まって仕方が無くなってしまった主人公。
MVでは「君」はケロっと立ち上がって何事もなかったように去ってしまい、主人公は「やっぱりな」という表情で天を仰ぎます。恋心はたった一人、散っていきます。
でも歌詞を見ると、その現実とは真逆。
”こっち向いてよ こっちおいでよ”
「君」へ衝動的な求愛が止まりません。
「君」がたとえ主人公を一瞬弄んだだけだとしても、主人公はその瞬間を尊いものとして抱いています。
主人公の恋心の在り方の方がよっぽど立派で、泣けるような真っ直ぐさではないでしょうか?
揺らいだ感情が確固たる恋心に変わり、しかし悲しい結末を迎えてしまうラストです。

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おわりに
いかがでしたか?
小悪魔的な女性の魅力と、誠実な恋心を非常に緻密に描いた楽曲『そっけない』。
繊細な心の機微が描かれた絶妙な楽曲。恋に葛藤している人にこそ聴いてほしい一曲です。