セカオワことSEKAI NO OWARI「周波数」の歌詞の意味を考察します。
周波数 歌詞考察
テーマは目に見えない音楽の力
額縁の中で笑うギター少年の君に
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
僕らの歌が 届かないなんて
誰も説明出来ない
TOKYO FM開局50周年アニバーサリーソング第3弾（2020年6月～）「周波数」は、Saoriさんが作詞・作曲を手がけ、初めて蔦谷好位置さん（agehasprings）が共同プロデュース＆共同アレンジで参加した楽曲です。
曲名の「周波数」は「単位時間あたりの波動や振動の回数」のことで、単位はヘルツ（Hz）。
「空気などの振動」の「音」そのものにもあるもので、ラジオ局ごとに割り当てられていて、楽曲では「目に見えない音楽の力」がテーマになっています。
冒頭では「セカオワの歌がギター少年に届かないことについて、説明できる人はいない」と主張しているようです。
ただし「ギター少年」は「額縁の中で笑っている」とのことで、写真か絵だろうと推察できます。
「歌が届かない」ことが前提になっているので、おそらく「ギター少年」は亡くなっているのでしょう。
一般的に「故人には歌が届かない」と考えられますが、「本当に届いていないのかどうか」を確かめる方法はありません。
たとえばジミヘンの少年時代の写真の前でセカオワが音楽を奏でた場合、すでに亡くなっているので「届かない」と考えるのが常識的ですが、「届いていない」ことを「証明」する方法もないので「誰も説明出来ない」と主張しています。
どんなに偉い科学者さえも
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
宇宙人の存在を
否定できない「証拠が無い」は
無いことの証明じゃない
「故人には歌が届かない」のと同じように「宇宙人はいない」ことについても「証明」する方法はありません。
もちろん「故人に歌が届いた」ことも「宇宙人はいた」ことも「証明」されていないので、厳密には「どちらともいえない」が正解でしょう。
目に見えないものを
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
信じるようになった
もう会えない人たちが
日に日に増えていくから
「故人も宇宙人も音楽も、目に見えないもの」です。
音楽家が「音楽を信じる」のは一般的にもわかりやすいでしょう。
さらに、「周波数」は新型コロナの影響によりリモートでレコーディングされた点を踏まえると、「会えない人たちが増えていく」という表現が腑に落ちるのではないでしょうか。
「生きている人にも会えない、目に見えない」状況が続き、それでも「音楽や目に見えない相手を信じたい」ところから「故人も宇宙人も含めて、目に見えないものを信じる」という考え方にたどり着いたのかもしれません。
Baby 砂漠で待ち合わせしよう
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
奇抜な色の虎になって
走ってきてよ 僕の場所まで
手を広げて待っているからさ
1番のサビ前半です。
「砂漠」も「奇抜な色の虎」も「目に見えないもの」に含まれるでしょう。
ファンタジックに想像をふくらませると「目に浮かぶ」かもしれません。
セカオワのメンバーが「虎」になって「砂漠」で待っている状態なので、同じようにリスナーも「虎」になって「砂漠」に来てほしいという呼びかけです。
僕らが会えない理由を
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
説明出来る人にはノーベル賞
あげたいくらいでしょ？
だから言わせてよ「See you again」
1番のサビ後半です。
2020年の2月頃からソーシャルディスタンスを保つ必要が生じ、レコーディングでも「会えない」など、世界中の人々がそれぞれに異様な孤立状態を体験したことでしょう。
中止や延期になったライブもあり、アーティストとリスナーが「会えない」事態にも陥りました。
その後も状況は改善されたわけではなく、「慣れるしかなくなった」というのが正直なところかもしれません。
結局「なぜこんなことになったのか？」という根本原因はわからないままです。
その「理由」を解明し、解決の糸口を見つけることはたしかに「ノーベル賞もの」でしょう。
「会って、またねと言いたい」と思った人も多かったはずです。
綺麗事だとわかっている？
靴箱みたいだと思った
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
あの場所で眠る君と
二度と話が 出来ないなんて
誰も説明出来ない
「靴箱」にたとえられているのは1番冒頭の「ギター少年」が眠る「棺桶」あるいは「お墓」でしょうか。
もしかしたら「遺影の額縁」だった可能性もあります。
たしかに「故人と話せない」ことについても「証明」はできないでしょう。
目に見えないものを
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
信じていたいと思う
もう会えない人たちと
今でも会いたいから
「故人、宇宙人、ソーシャルディスタンスを保つ必要がある相手」などに現実的に「会えない」ことについては一般的な考え方を受け入れていると考えられます。
その結果、「目に見えないものを信じる＝想像力を働かせる」方法で「会えない人と会う」という話でしょう。
あるいは「目に見えないものを信じる＝音楽を信じる」方法もあります。
Baby 明日も待ち合わせしよう
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
魅惑の深海魚になって
泳いできてよ 朝の海辺に
こっちもクロールで向かうから
2番のサビ前半です。
「深海魚になって朝の海辺で待ち合わせる」というセカオワらしいファンタジーの世界観が展開されました。
僕らが会えない理由を
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
説明できる人には大拍手
あげたいくらいでしょ？
だから言わせてよ「See you again」
2番のサビ後半です。
1番の「ノーベル賞」が2番では「大拍手」になりました。
大変な状況でも癒される、温もりのある表現になっています。
あの話をしたいけど
「あの」「あれ」ばかりで誰も
分からなくてさ 君がいないと
全部悲しくなるからだから言うんだ 綺麗事だと
出典:周波数 / 作詞・作曲:Saori
分かって信じてるのさ
セカオワらしいファンタジーの世界観はたしかに「綺麗事」かもしれません。
それでも「会いたい人に会えない」と嘆いているばかりでは「悲しくなる」はずです。
そのため「現実的なことはわかりながらも、目に見えないものを信じている」という結末でした。
ラストに1番のサビ（「Baby」なし）が繰り返されます。
この楽曲に「周波数」を合わせると、豊かな想像がふくらむのではないでしょうか。
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さいごに
大変な状況ばかりが重なる混乱した時代に、ネガティブな音楽は聴いていられないと感じている人も多いのではないでしょうか。
不自然にポジティブな音楽も気分ではないかもしれませんが、リスナーは音楽がゼロからの創作であることを理解しながら聴くので、闇より光に「周波数」を合わせたいものです。
