女優・声優・歌手など幅広く活躍している森七菜さんの3rdデジタルシングル「深海」は、2021年8月に配信リリースされました。
YOASOBIのコンポーザー(作曲家)Ayaseさんが作詞・作曲・編曲・プロデュースを担当しています。
20歳の誕生日(2021年8月31日)直前のリリース。
10代最後の等身大の森七菜さんの気持ちが込められた「深海」の歌詞の意味を考察します。

深海 歌詞考察!
どうして魚になったの?

大阪生まれ、大分育ちの森七菜さんは2016年、中学3年生のときに芸能活動を始め、新海誠監督のアニメ映画「天気の子」(2019年7月)やNHKの朝ドラ「エール」(2020年3~11月)などで活躍。
映画「ラストレター」の主題歌「カエルノウタ」(2020年1月)で音楽活動を始め、ホフディランのカバー「スマイル」(2020年7月)もヒットしました。
2020年、高校卒業後に家族と共に上京するまでは、大分の家と東京の仕事場を行き来する日々だったそうです。
森七菜さんの希望により「深海」のプロデュースがAyaseさんに決まり、楽曲制作にあたってミーティングが行われたため、森七菜さん自身の背景や気持ちが反映された歌詞になっています。
中学・高校時代は家族となかなか一緒にいられず、上京してからは故郷の友だちとあまり会えなくなったという森七菜さん。
体が「帰る場所」は東京の家ですが、心が「帰る場所」は大分の故郷なのかもしれません。
「君」は故郷の友だちや「深海」を聴くリスナーなど、「身近にいない誰か」が当てはまります。

「深海」というタイトルは、森七菜さんの気持ちを汲み取ったAyaseさんがつけたそうです。
「寂しい、会いたい」などの孤独感を抱える森七菜さんを「深海」で泳ぐ魚にたとえたのでしょう。
ご時世的に「深海」を聴くリスナーや「リスナーが会えない誰か」も、どこか寂しさを感じているはずです。
暗く深い海の底に沈むような状況だとしても、水面の先で光が輝いていることは知っているでしょう。
感染防止のソーシャルディスタンスにより、誰もが深海魚と化したような気分に陥っているので、それぞれの孤独に共感しつつ、明るい光が差す方向を目指そうとしています。
「どうにかコロナ禍が収束してほしい」という祈りなのかもしれません。

「深海に差し込む光」は「星や夢」とつながるところが詩的ですね。
2020年以降は全世界的に「太陽が輝く昼」ではなく「星のまたたく夜」みたいな時期。
上京とコロナ禍が重なった森七菜さんとしては、東京で友だちを作ることもままならなかったでしょう。
深海魚と化して泣いている森七菜さん自身が、同じように孤独を感じている誰かに「共感しよう。光を見つめよう」と呼びかけています。
しかし離れた場所から声が届くのかどうかはわからず、願うことしかできない虚しさも抱えているようです。
会えない君のために願うこと

「闇から光を目指そう」といっても、実際に暮らしている街には「明かり」があふれています。
どれほど大変な状況でも(あるいは大変な状況だからこそ)社会は回り、忙しさだけを痛感する無力感。
気心の知れた人と会うなどの息抜きや楽しみは「不要不急の外出」なので控えなければいけません。
じわじわとしたストレスがずっとかかり続けているような状態です。
孤独感を口に出したところで、まわりに気に留める人がいなければ、なおさら気心の知れた人と会いたくなりますね。

2020年以降、在宅勤務(テレワーク、リモートワーク)が推奨され、テレビ電話やビデオ通話の利用が増えました。
遠距離でも顔を見ながら話せます。
まるで生存確認でもするかのように、何気ない日常の出来事を伝え合うだけでも楽しいですね。
ただ「実際に会えたら、どれほど楽しいだろう」という思いも募ります。
叶わない「君」のために、森七菜さんが「深海」をとおして語りかけているイメージです。

深海魚となって泳いでいるあいだに「星のまたたく夜」が明け、「太陽が輝く朝」の兆しが見えてきました。
森七菜さん自身、東京で忙しく暮らしながら大分の友だちとの思い出を振り返り、懐かしさで涙を流すことがあるのかもしれません。
悲しくて仕方がないときでも、命のありがたさを意識すると、光のような希望を感じられるのではないでしょうか。

孤独にとらわれすぎると、負のスパイラルから抜け出せなくなる可能性があります。
そもそも人間は他人の気持ちに共感することはできても、意識を共有することはできず、1人で生まれて1人で亡くなる孤独な生き物です。
星や太陽など、恐ろしく長い年月を孤独に生き抜いている存在もあります。
「命がある、生きている」ということは、それだけで有り難い奇跡の連続ともいえるでしょう。
森七菜さんが会えない「君」のために願っているのは、笑顔で穏やかに暮らすこと。
大分の友だちにも会えるといいですね。

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さいごに
「深海」はパートごとに変わるリズムやアクセント(強弱)の効いたメロディなど、サウンドも秀逸。
林響太朗監督によるスタンダードサイズ(アスペクト比4:3)のMVもノスタルジックと評判なので、併せてご覧ください。