Vaundyさんのデジタルシングル「世界の秘密」(2020年12月)の歌詞の意味を考察します。
大学生SNS「Dtto」(ディット)のWEB CMソング、WOWOWオリジナルドラマのショートショート劇場「こころのフフフ」主題歌、マルハニチロ冷凍食品の新中華街シリーズ「こだわりが、見えてきた」編テレビCMソングに起用されました。
Vaundyさんが作詞・作曲した「世界の秘密」の歌詞の意味を見ていきましょう。

世界の秘密 歌詞考察!
悲しみのなかにも笑顔を見つけよう!
きっと僕ら何かに追われてる
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
漠然としてるけど
四六時中グダグダと
チクチクが流れる
波に乗せて
ネットサーフィン
「世界の秘密」はコロナ禍が始まった2020年に制作されました。
不要不急の外出を控えるように呼びかけられるなど、家で孤独に過ごす人が増えた時期です。
またコロナ以前から、若者のネット依存は社会問題になっています。
そこでVaundyさんは「時間に追われ、不安に駆られ、ネットサーフィンせずにはいられない若者たち」の様子を取り上げたのではないでしょうか。
世の中的な社会情勢も、それぞれの日常生活も、混乱状態(グダグダ)で悲しみ(チクチク)に沈みがちなので、若者に限らず、漠然とした不安からネットに依存する人が増えている状況を指摘しているようです。
何か、これはあーだこーだ言って
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
古臭いな
それはそれで、なんだかんだ言って
新しいな
そんな無駄な繰り返しを、また繰り返して
僕ら、生きていくうちに
「僕らが追われている」ように感じる「何か」は、「時間」というより「トレンド=流行」のほうがしっくりくるかもしれません。
あるいは「話題、人気」やSNSの「いいね」などの承認も当てはまりそうです。
ネット上で膨大な情報を受け取り、「新しい、古い」などと反応することは、ある意味「無駄な繰り返し」ともいえます。
ただ、ネットやSNSに深く関わりながら日常生活を過ごすうちに、語り手の「僕」には何らかの変化が起きたようです。
続きを見ていきましょう。
アイムソーリー
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
気づいちゃったよ
アイムソーリー
気づいちゃったよ
世界のこと
「僕」は「世界のことに気づいてごめん」と謝っています。
曲名の「世界の秘密」にも通じる「世界のこと」に「僕」自身は「気づいた」とのことですが、具体的に「世界のこと」が何をあらわしているのかについては明言されていません。
そのため想像することになりますが、「僕が気づいた」のは「世界のシステム(仕組み)、成り立ち、構造、動向」といったところでしょうか。
子どもの頃にはわからなかった「世界のこと」が、大人になってわかってきたことに対して、申し訳ない気分になっているようです。
ステップだけ、置いてきちゃってよ
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
僕ら、涙に合わせて
リズムに乗っている
はず
ステップだけ、置いてきちゃっても
僕ら、笑顔の数だけ
ブレイクできるはず
だから
アイムソーリー
気づいちゃっても
アイムソーリー
忘れといてよ
1番のサビです。
わかりやすい言葉が並んでいるはずなのに、幅広く解釈できる表現になっているため具体的な話はわかりにくく、若い世代の感性で時事的な社会問題に切り込んだのかと思ったら、音楽の話を巧みに混ぜ込むという自由さがVaundyさんらしいのではないでしょうか。
「ステップ(足踏み)、リズム(律動)、ブレイク(停止、ヒット)」というダンス&音楽用語を用いながら、等身大の自分を含め、音楽と共に生きる若者たちにメッセージを投げかけています。
メッセージは「足踏み状態の停滞や途中段階(ステップ、コロナ)を脇に置けば、悲しみのなかにも笑顔を見つけられるはず。だから世界のことに気づいても忘れておこう」といったニュアンスでしょう。
世界の秘密とは?
今日どっかで悪者が死んだらしい
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
でもたくさんの命が救われたらしい
正義と倫理と命を天秤にかけて
量った声明で
難しいことはもう分からない
けれど
実は僕らが悪者だったかもしれない
なんて考えると
彼の気持ちが分かるかもしれない
「コロナ禍などの悲しい日々でも、音楽などの楽しいことを見つけていこう」というメッセージは伝わってきましたが、「僕」が「忘れて」と言いつつ語り続けている「世界のこと」も気になります。
その「世界のこと」が徐々に明らかになってくるのが2番です。
「悲しみのなかの笑顔、楽しみ」という対義語によるメッセージも伏線になっていました。
端的にまとめると「善悪の判断や区別は相対的なものであって、絶対的ではない」というのが「世界の仕組み」だと気づいたと考えられます。
アイムソーリー
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
気づいちゃったよ
アイムソーリー
気づいちゃったよ
自分のこと
1番で「気づいた」のは「世界のこと」でしたが、2番では「自分のこと」に変わりました。
「世界」というマクロな視点の縮図が、「自分」というミクロな視点にも反映されていることに「気づいた」という話でしょう。
子どもの頃は「善悪の判断基準は絶対的」で、「正義が勝つ」のが正しいことだと思いがちですが、大人になると「悪者」とみなされた側にも「正義」が存在する場合があることがわかってきます。
「悪者が死ぬことで大衆が救われた」という「倫理観」が選択された場合、「生命の平等」という人権問題との兼ね合いは難しくなるでしょう。
こうした「世界」全体の矛盾は「自分」のなかにも存在します。
ステップだけ、置いてきちゃってよ
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
僕ら、涙に合わせて
リズムに乗っている
はず
ステップだけ、置いてきちゃっても
僕ら、笑顔の数だけ
ブレイクできるはず
そうだろ?
2番のサビは1番のサビとほとんど同じですが、「だから~忘れといてよ」の部分が「そうだろ?」に変わりました。
探してた未来に追いついて
出典:世界の秘密 / 作詞・作曲:Vaundy
その時初めて気づいたんだ
これが良い事か悪い事か
これが「世界の秘密」ってやつか
「世界の秘密」とは「善悪は相対的なものであり、世界は正義・倫理・命を天秤にかけて回っている」といったところでしょうか。
この後、2番のサビが繰り返されます。
「ステップ」には「階段」という意味もあるので、「大人の階段を上っても、世界の秘密に気づいていない子どものように、悲しみのなかに笑顔を見出し、音楽を楽しみながらブレイクスルーしよう」という祈りが込められているのかもしれません。

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さいごに
「ネットサーフィン」すると「世界のこと」がわかる時代になり、かえって混乱するばかりという人も多いのではないでしょうか。
悲しい出来事が続く日々に拍車がかかっている気もするので、音楽による気晴らしはますます重要ですね。
どのような状況でも、楽しみを見つけ出していきましょう!