今回は2019年マクドナルドのCMに使われたマカロニえんぴつの「青春と一瞬」の歌詞を考察したいと思います。
制作当時のはっとりさんは20代半ば。
青春時代から卒業したばかりのはっとりさんから見た「青春」とは、どんな世界に見えていたのでしょうか。楽しみですね。
マカロニえんぴつとは
2012年、ボーカルのはっとりさんを中心に結成され、6月16日に初めてライブを行った為にこの日が現在も正式な結成日として扱われています。
インディーズで長期間活動を行い、2020年11月4日にシングル「愛を知らずに魔法は使えない」でメジャーデビューを果たしました。
2021年には日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞、メンバーの入れ替わりはあったものの長い時間をかけて着実に経験を重ね花咲いたバンドとして、この先長く音楽界を引っ張てくれる存在になるのではないでしょうか。
ちなみに作詞を担当している、ボーカルのはっとりさんは奥田民生さん率いるユニコーンの大ファン。
はっとりの名前もユニコーンのアルバム「服部」から付けたそうです!
楽曲 青春と一瞬
「青春と一瞬」は配信限定1stシングルとして2019年3月6日にリリースされ、マクドナルド「500円バリューセット」のCMの為に書き下ろされた楽曲です。
決まってからレコーディングまで2週間弱というタイトなスケジュールが組まれたのも関わらず、マカロニえんぴつらしい遊び心は忘れずに制作できたと、はっとりさんがインタビューで答えていらっしゃいました。
また青春にスポットを当てた作詞となっていますが、当時20代半ばであったはっとりさんは高校時代を俯瞰してみたらどうなるか、と考えて作詞したとの事です。
まだまだ青春時代から卒業して間もない頃と言えそうですね。
だからこそ、その時代の儚さだけでなく、もどかしさや青春時代特有の絶望など、歌詞からリアルに感じる事ができるのではないでしょうか。

青春と一瞬 歌詞考察
書いて 消して 悩んで出した定理は
居眠りの午後三時半に見失った
全部ぜんぶ 学んでド忘れしたい
無限の宇宙を自転車で駆け抜ける語り合ったりたまに泣いたりできるくらいの
出典:青春と一瞬 / 作詞・作曲:はっとり
すばらしい日々をくれ
授業の説明が理解できないから、教科書を丸暗記する形で必死に出した定理も午後の最後の授業で力尽きて寝てしまったら、すっかり忘れてしまった。
1時間目の授業の内容など、6時間目の頃には忘れている。高校生あるある・・・・ではないでしょうか??少数派?
勉強の内容はすぐに頭から抜けるのに嫌な事は頭から離れない。忘れたいのに。
そんな事を考えながらいつもの帰り道、自転車を走らせるのでしょう。
その時感じる風も空気も、空腹感も何もかもが果てしない宇宙のように、淡々と永遠に続くと感じる高校生活。
深く話し合ったり、たまに泣いたりするぐらいの刺激が欲しい、というのが現役の望みなのでしょう。
つまらない、くだらない退屈だけを愛し抜け
出典:青春と一瞬 / 作詞・作曲:はっとり
手放すなよ若者、我が物顔で
いつでも僕らに時間が少し足りないのは
青春と一瞬がセットだから
だけどね、と大人目線の歌詞が歌われます。
淡々と続くかのような、もどかしい日々こそが大切な日々。
そんな日々こそ、愛して欲しい、と大人になった、はっとりさんは伝えたいのではないでしょうか。
繰り返すだけの意味を見いだせない、くだらない毎日を手放さず我が物顔で堂々と過ごせばいいのだと。
一日は長いのに3年はあっという間。大人とはまた違った意味で時間が少し足りないのは青春とは思っている以上に「一瞬」で過ぎてしまうものだからなのです。
覚えておいて、未来は転がるもの
この場所にずっと前からあるもの
全部ぜんぶ 眩しいね
友よ 声よ 昨日よ 僕自身よつまらない、埋まらない退屈だけを愛し抜け
出典:青春と一瞬 / 作詞・作曲:はっとり
夢が増えればハラが減る、若者であれ
いつでも僕らに時間は少し足りないのだ
青春と一瞬はセットなんだぜ
ここでの「未来は転がるもの」というのは、未来は同じところにとどまっていない、刻一刻と変わっている物だし、自分のやり方でいくらでも動かす事ができる、という意味ではないでしょうか。
そして隣にいる友人、溢れる声、辛かった昨日、この場所に永遠にとどまっているのではないかと感じてしまうものたちも、後で思い返せばまぶしく輝く宝物になる、と歌っているのではと思います。
そんな過去の思い出に自身を投影させたはっとりさん。
自分が過ごしてきた青春も、きっと当時は辛かったけど今思うと輝く宝物だと思える事が「僕自身よ」から伝わりますね。
小さな悩みも青春時代現役の若者達には一生を左右するのではないかと思う程に深刻な悩み。
つまらないと感じたり見えない答えにもどかしさを覚えたり、そんな不安定な毎日こそ大切にして欲しい。
「夢が増えればハラが減る」というのは、やりたいことや好きな事が見つかった時は盲目的に没頭するといい、というメッセージだと感じています。
没頭し、頭と体と心を使えば自然に健康的にお腹が空くものです。
そんな風に必死に生きている青春時代は一瞬で過ぎていく。
染まりたいね
使い切っていたい 黄金色に咲く春
よだれまみれ 出来心の恋も剥き出しで誰にも僕らのすばらしい日々は奪えない
出典:青春と一瞬 / 作詞・作曲:はっとり
そしてまた、青春時代に思いを馳せているのでしょうか。
染まりたい、はその時代を思い切り生き抜きたいという意味かなと感じました。
一生懸命生きぬいて、自分に与えられた青春時代という時間存分に生きて、不器用な恋にも全力でぶつかって悔いなく使い切りたいと願っています。
はっとりさんは少し青春時代に悔いが残っているのでしょうか?
大丈夫です。さらに年を重ねた私から言わせると、その残った「悔い」さえ良い思い出になっていくのが、青春なんだぜ?
どんな形でも、その時できる事を精一杯したのであればあの素晴らしい日々は誰にも邪魔できない確かな思い出として残るのです。
つまらない、くだらない退屈だけを愛し抜け
手放すなよ若者、我が者顔で
ずっと埋まらないくらいでいい
時間は少し足りないのがいい青春と一瞬はセットなんだぜ
出典:青春と一瞬 / 作詞・作曲:はっとり
間違いだらけの正義なんだぜ
風と友に贈る歌だぜ
高校生のみる大人の世界は自由で気ままで、うらやましく見えるかもしれませんね。
自分たちの過ごしている毎日はつまらない、くだらない、退屈だと感じるかもしれないが、その日々こそが愛すべき時間。
安易に手放さず、このもどかしい気持ちこそが今を生きる自分たちの特権だと言わんばかりに胸を張って生きて欲しい。
わけもなく抵抗したり反抗したり、大人の作った世の中全てが間違っているように感じる事もあるのではないでしょうか。
だけどその声は大人の世界では間違いであっても、青春時代ではゆるぎない正義。
そこから学んでいくのです。
青春とは・・・そんな風に思うんだけど、どう?と「風」が吹くように聞き流してくれてもいいけど、良かったら聞いてみてよ、というはっとりさんらしい照れ隠しが「風と共に贈る歌だぜ」という歌詞に込められているのではと感じる歌詞ですね。

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さいごに
いかがだったでしょうか。
マカえんが青春時代を生きる若者たちに贈る応援歌であり、青春時代を思い返す人たちに贈る鎮魂歌といったところではないでしょうか。
私は思い返す部類の人間ですが、聴きながら「確かにあの時は必死だった」と思い返しながら嬉しいやら切ないや、温かな気持ちになれました。
確かに一瞬で過ぎる青春ですが、その時の想いは一生胸に残ります。
少し照れくさもある青春時代をテンポ良く、そして遊び心も仕込ませて応援している素敵な楽曲ではないでしょうか。