今回は2020年7月15日にリリースされた「シーグラス」の歌詞考察をしていきます。
本楽曲「シーグラス」は、ギター・ヴォーカルの石原慎也さんが作詞を、Saucy Dogが作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

シーグラス 歌詞考察
二人のはじまりと思い出
あのね、海岸線 憶えてる?はじまりはそこから
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
猫被って黙ったまま海を眺めていたんだ
歌詞の中の登場人物は主人公と「君」の二人です。
まず冒頭で「海岸線」「海」とあり、タイトルである「シーグラス」との関係性が垣間見られます。
ちなみに、「シーグラス」とは、英語ではSea glassまたはbeach glassにあたるもので、海辺などに見られるガラス片のことを指します。
波に揉まれることにより、ガラスの角が取れて曇りガラスのような状態になったものです。
主人公は「憶えてる?」と「君」に二人の出会いについて問いかけるところから始まっています。
これから二人の思い出が導き出される予感がします。
君のうなじに見つけたアルビノ
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
白く透き通った窓のよう
ある日の欠伸と綺麗な横顔
ここでは主人公目線で「君」のことが描かれています。
「アルビノ」という言葉がありますが、これは生まれつき皮膚や毛髪等の色素が不足している状態をさします。
続く「白く透き通った窓のよう」というフレーズとも相まって、「君」は色白で全体的に透明感のある人物だということがわかります。
主人公にはその透明感と「綺麗な横顔」が印象に残っているようで、その容姿に惹かれたのかも知れませんね。
ふたりで見上げたアルミ格子の
吹き抜けとすじ雲
休日の眠たそうな君におはよう瞼を閉じたままで理由なんかは無くていいよ
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
カーテンの隙間から差し込んだ朝が
ここでは「休日」の朝のひとこまが描かれています。
「眠たそうな君」に主人公は朝の挨拶をしているので一緒に暮らしていると推察されます。
二人の親密な関係性が垣間見られます。
眩しすぎて瞑った瞳 そのまま眠りに落ちて
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
夢現 微かに聞こえる寝息さえも
愛しくて 儚いね 忘れたくない事が多過ぎて
胸の中大切に仕舞っておくよ、ずっと
このまま
このサビ部分では、「忘れたくない事」「胸の中大切に仕舞っておくよ」とあり、主人公が二人の思い出を捨てたり忘れ去ることはないと明言しています。つまり二人はこれから別れてしまうということが仄めかされています。
その思い出というのは、例えば何処かに旅行をしたとか映画を観たといったイベントではなく、何という事もない日常のちょっとした「君」の表情や行動のようです。
「瞑った瞳」「寝息」といった言葉が羅列されており、それらを「愛おしく」感じ同時に「儚」さも感じている主人公。
別れてしまうという時に大切な「忘れたくない」思い出が数多くあるようで、切なさが伝わってきます。
忘れたくない儚い記憶
寝ぼけたままでシーツに包まるミノムシ
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
拗ねた顔も愛しい
昼過ぎの朝飯の後は海へ行こう
2番も引き続き二人の日常の何気ない思い出の描写が続います。
「君」がシーツにくるまり「ミノムシ」のような状態で「拗ねて」いる表情も、主人公にとっては「愛しい」忘れがたい思い出のひとつのようです。
海にほど近い場所に住んでいるのでしょう。遅い朝ごはんの後に「海へ行こう」と主人公は「君」を誘っています。
近づく潮風 ベタついた手と手
髪の毛はパサパサ
そんなの気にしないのも君らしいね波止めの上の君を 落ちない様に握った手
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
危なげな横顔に 何故か胸がつまる
海に出かけると「潮風」を感じたり、手は「ベタついた」り、「髪の毛」も「パサパサ」になったりしますが、この二人も例外ではないようです。
二人の日常には「海」が当然のように含まれており、それ故に思い出は「海」にまつわるものが多いのがわかりますね。
風を切って羽ばたいて見せる 無邪気な君を見上げて
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
あの日から今日までを思い返しているけど
なんだか 儚いね 忘れたくない事が多すぎて
胸の中大切に仕舞っておくよ、ずっと
サヨナラ
2番サビ部分では「君」が鳥の様に「風を切って羽ばたいて見せ」て、子どものように「無邪気」に振舞っています。
その様子を主人公は見つつ、二人の出会いから「今日までを」振り返っています。
そして「サヨナラ」で締められており、大事な二人の思い出を抱えたまま別れようとしています。
思い出はやはり「儚い」もので、ともすれば直ぐに消えてなくなってしまいそうなるものです。それらはすぐに忘れてしまうもの故、「大切に仕舞っておくよ」と主人公自らに言い聞かせているようですね。
最後の海と君
“あのね、海岸線 憶えてる?はじまりはそこから
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
猫被って懐かしいね、全部大切なの”
でもね、私たち今日まででお別れ。またいつかね。
夕日の影 君は最後 どんな顔してた?
ここでは楽曲冒頭が問いかけていた言葉が「君」によりリピートされています。
更に、二人の最初の出会いを懐かしみ「全部大切なの」と語っています。
これまでの思い出を「君」は慈しんでいるようですが、それでも「今日まででお別れ。またいつかね。」ときっぱりとした別れの言葉が「君」の口からついて出ています。
このことから、別れを切り出したのは「君」からという印象を受けます。
主人公は「君」との「最後」を思い出しているようですが、「どんな顔してた?」とあり、表情を見ていたにもかかわらず忘れてしまったのか、まともに「君」の顔を見ることができなかったのかは定かではありません。
主人公にとってこの別れはかなり辛く哀しいものであることは間違いないでしょう。
「じゃあね」これからふたり別々を歩むけど
喧嘩した日々すらも薄れてしまうくらいにさ何度も振り返る君と 最後の海を重ねて
出典:シーグラス / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
幸せな日々だけを思い出してしまうんだ
愛しくて“儚いね”忘れたくない事が多過ぎて
胸の中大切に仕舞っておくよ、ずっと
このまま
「じゃあね」という言葉を最後に二人は別れてしまいます。
恐らく印象深かったであろう「喧嘩した日々」ですら、これから記憶から無くなって行ってしまうのだろう、と主人公は沈鬱な気分でいるのが伺えますし、別れを実感していると推察できそうです。
二人は別れて「君」は主人公の方を「何度も振り返」って見ています。
主人公は「君」と二人の「最後の海」と最後の「君」の姿をオーバーラップさせ、これまでの二人の幸福だった思い出だけに浸っています。
恋人や夫婦が一緒に暮らしたり、親密な付き合いをしていると、良いことばかりではありません。
しかし、主人公はこれまであったであろう「喧嘩」等の辛い哀しい出来事は思い出すことはないようです。
このことから、二人はとても素敵な関係性を築いていたのではないかと想像できそうです。
しかし、思い出というものは、辛く哀しい事だけでなく嬉しかったり幸せを感じた事すらも記憶から無くなってしまう非常に「儚い」ものです。
それ故に主人公は全てを忘れてしまわないようにと「儚い」思い出を繋ぎとめようとしているのでしょうね。

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さいごに
主人公と「君」との日々の何気ない記憶の断片が散りばめられた歌詞は、本楽曲タイトルである「シーグラス」と重なります。
海辺にある角のとれた美しい小さなガラス片の「シーグラス」は二人の思い出の象徴と言えるでしょう。
本楽曲「シーグラス」は透明感のある爽やかな印象が残りますが、そこはかとなく憂いを帯びた切ないラブソングとなっています。
本楽曲を手掛けたSaucy Dogの今後の曲にも是非注目したいですね。