Perfume(パフューム)「さよならプラスティックワールド」の歌詞の意味を考察します。

さよならプラスティックワールド 歌詞考察
プラスティックワールドとは?
グッバイ プラスティックワールド 不自然な世界で
出典:さよならプラスティックワールド / 作詞・作曲:中田ヤスタカ
息苦しいわ ここから逃げたい
さよなら プラスティックワールド どれだけ慣れたら
ハローって暮らしテックワールド
素敵な未来で生きていたいわ
頭サビから始まる「プラスティックワールド」。
その曲名どおり「現在のプラスティックワールドから逃げて、素敵な未来で生きたい」という内容になっています。
つまり「プラスティックワールドとはどのような世界なのか?」がポイントになるでしょう。
まず考えられるのは「プラスチックごみがあふれた現代社会」です。
石油を原料とするプラスチック(合成樹脂)は、「自然分解(生分解)せず海洋汚染の原因になる、燃やすとCO2(二酸化炭素)が排出され地球温暖化の原因になる、ダイオキシンが発生する場合もある」など地球環境問題の大きな要因となっているため、「脱プラスチック」や「資源循環」などの対策が取られています。
Perfumeの「ポリリズム」は、曲名どおり「複数の異なるリズムの同時進行」という音楽技法が取り入れられたことでも注目を集めました。
さらに、その曲名はプラスチックの一種ポリエステル(PET)にもちなみ、NHKとACジャパン(当時:公共広告機構)のリサイクルキャンペーンソングに起用されたという背景があります。
その「ポリリズム」に続く、地球環境にまつわる楽曲なのでしょうか。
あるいは、マスクやアクリル板でソーシャルディスタンスを保つ「コロナ禍の状況」をあらわしているのかもしれません。
「不自然な世界」という表現からPerfumeの「不自然なガール」を連想する人もいるでしょうか。
恋愛関係で悩み、ナチュラルな自分を見失うところが「プラスティック(人工的)」とも考えられそうです。
いずれにしても「暮らしていく」を「暮らしテック」ともじりつつ、「プラスティックワールド=テックワールド」とも受け取れるようになっているところがヒントでしょう。
「テックワールド」と「(プラス)ティックワールド」で韻を踏むために、わざわざ「プラスチック」ではなく「プラスティック」にしているところも芸が細かいですね。
「テック」は「技術、科学技術」を意味する「テクノロジー」の略ですが、IT(情報技術)分野の企業を「テック企業」、その開発者や技術者などを「テック系」といいます。
さまざまな想像がふくらみましたが、正解は「プラスティックワールド=テックワールド=情報化社会、ネット世界」でした。
幾千のレビューを見て体験しないより
出典:さよならプラスティックワールド / 作詞・作曲:中田ヤスタカ
たぶんもっとワクワクする瞬間があるでしょ
「レビュー」とは「再調査、批評、評論」のこと。
ネットで簡単にレストランなどの店舗、商品、旅行、映画や音楽などのエンタメ、スポーツ関連といったさまざまな「レビュー」を「見る」ことができますが、実際に「体験しない」場合もあるのではないでしょうか。
疑似体験で満足するようになると、「体験することによって得られるワクワク感」を忘れる危険性がありそうです。
実際にこの記事も「レビュー」に相当しますが、読むだけでまだ「さよならプラスティックワールド」を聴いていない人は「ワクワクを体験していない」ことになるでしょう。
無尽蔵に次から次へと来るオススメ
出典:さよならプラスティックワールド / 作詞・作曲:中田ヤスタカ
迷い込んだ迷宮の森 感覚を信じて
ビッグデータとAI(人工知能)などの活用により、スマホのプッシュ通知が大量に表示されたり、ネットで何かを検索するだけでも関連する「オススメ」が表示されたりする世の中になっています。
スマホやPCなどの使いすぎで脳が疲れる「情報過多シンドローム」も問題になっていて、こうした現象をひっくるめて「プラスティックワールド=迷宮の森」と表現し、警告しているのでしょう。
たしかに「自分の感覚を信じる」ことが大切です。
本来のハーモニーを忘れずに!
当然だって思ってた運命が 変わる 変わる 変えるよ
出典:さよならプラスティックワールド / 作詞・作曲:中田ヤスタカ
もちろん、スマホやPCなどにあふれている情報が世界のすべてを網羅しているわけではなく、ネットに乗らない情報もたくさんあります。
それでもネットがまだ普及していなかった時代と比較すると飛躍的な進化で、こうした「テックワールド」から「逃げ出す」ことはもはや不可能ともいえるでしょう。
ただし、使い方次第では自分を見失うような「プラスティックワールド」に「迷い込む」ことにもなりかねません。
「オススメ」されるままに何もかも受け入れていると、いつのまにか「本来の自分」なら選ばないものだらけになってしまう可能性もあります。
そこで大切になってくるのが「自分の感覚」。
「受け身で当然だと思っていた運命を、能動的に変える」必要がありそうです。
こわいほど最適化された中毒性
出典:さよならプラスティックワールド / 作詞・作曲:中田ヤスタカ
たぶんいつか考えることすら忘れちゃう
違うもっと別のことに気がつかなきゃと
ほらそう 想像して本来のハーモニー
ただし、ネットの「オススメ」は「こわいほど最適化」されているので、「たしかに自分にぴったり合う」と思う確率が高いでしょう。
たとえば通販でトップスを購入したら「それに合うボトムスはこれ」と「オススメ」され、いつのまにか着る機会のないファッションアイテムで部屋が埋め尽くされていたといったこともあるかもしれません。
おざなりになりがちなのは「自分で考える」ことでしょう。
「ハーモニー」は「調和」という意味の一般的な言葉ですが、「和声(コード進行など)」をあらわす音楽用語でもあります。
「自分で考え、自分で気づき、本来の自分らしく調和した未来の響きを想像しよう」といったニュアンスでしょう。
ラストに「当然だって~変えるよ」と頭サビが繰り返されます。
「素敵な未来」には「脱プラ」の「環境調和型社会」も含まれるかもしれませんね。

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さいごに
「テックワールド」の最前線のようなPerfumeが「みんなのうた」でネット依存に警鐘を鳴らすところに大きな意義があるでしょう。
さらに「さよプラ=脱プラ」と深読みすることもできるようになっていて、中田ヤスタカさんらしい「持続可能な社会」の提案といえるのではないでしょうか。