今回は、米津玄師さんの「サンタマリア」の歌詞を考察していきます!
2013年5月29日にリリースされた米津玄師の1stシングル「サンタマリア」は、動画配信サイト等で“ハチ”名義でボーカロイド楽曲を発表していた米津玄師にとって、本人名義でのメジャーデビュー作品です。
また、これまでMVでは自作イラストやアニメーション作品を用いて楽曲を表現していた彼が、「サンタマリア」で初めてMVに出演したことでも話題になりました。
そんな米津玄師にとって記念すべき楽曲の歌詞にはどんな思いがつづられているのでしょうか。
早速考察していきましょう!
本人出演のMVが話題!
今作で米津玄師本人が初登場した「サンタマリア」のMVは、Perfumeやサカナクション、木村カエラや星野源など数々のMVを手掛ける関和亮が監督を務め、楽曲の世界観を表現した作品となっています。
映像作品は米津玄師が絵本をめくりながら楽曲の歌詞と連動したストーリーが繰り広げられていますが、本人は絵本の中に登場する人物に扮しているのでしょうか。
まだMVを見たことがない方は映像をご覧いただければ歌詞の理解も深まるかと思います。
衝撃的なエンディングが待っているので、是非チェックしてみてください。
そして「サンタマリア」のMVは、実は『「サンタマリア」めくる絵本MV』と題し、米津玄師のイラスト絵本を全編に収めたもう1パターン存在しており、こちらの映像は初回限定盤のみに封入されています。

サンタマリア 歌詞考察
タイトル解説
楽曲のタイトル「サンタマリア」について解説していきます。
サンタマリアとは一般的にイエス・キリストの母であるマリアのことを指します。
サンタ(Santa)はラテン語で「聖なる」という意味になりますので、サンタマリアは「聖なるマリア」ということになりますね。
ところがサンタマリアはスラングで「死ぬこと」を意味する言葉として使われることもあります。
このタイトルは楽曲の歌詞にどんな意味をもたらしているのでしょうか。
硝子ごしの二人

登場人物2人が硝子1枚で隔てられた面会室で物語は始まります。
お互いに手を重ね合わせても触れ合うことはできません。
いったいなぜ2人は硝子で遮られているのか、ここではまだわかりませんが、罪を犯した人との面会なのか、はたまた硝子は心の壁を表しているのか、いろいろな憶測が浮かび上がります。

向かい合って話をしている2人には呪いがかけられていることが明かされます。
2人にかけられた‟呪い”については、人間として生まれた以上、一生背負っていくことになる孤独への恐怖や、誰かに愛されていたいという欲求などが想像できます。
そしてその呪いのせいで相手にいくつもの嘘をついて、ついには本当の自分、本当の相手の姿さえ分からなくなってしまいました。
ここではお互いがお互いを愛するあまり、相手を傷つけたくない、失いたくない、嫌われたくない、一人になりたくないといった心情が、お互いを苦しめている様子を描いているのではないかと推察しました。
何が本当かもわからない、そして本当の自分をさらけ出すことで嫌われたくないが故に、とうとう2人はお互いを分かり合えなくなってしまったのです。
それでも信じていたい存在

どんなに分かり合えなくても一度は心を通わせた2人ですから、愛はそう簡単には消えません。
呪われた同士の関係をどこかで断ち切り、もう一度一つになりたいという願望が心のどこかにあって、希望を見出そうとしている様子が浮かびます。
嘘に嘘を塗り重ねて相手を傷つけるくらいなら、もう何も話さずにただあなたと一緒にいるだけでいい。
そんな2人の深い愛と信念をこのサビでは歌っているのではないでしょうか。

愛し合う気持ちには痛みも伴います。
仙人掌(サボテン)のトゲがお互いを傷つけることもありますが、そんな痛みすらも分かち合い、2人に隔たれた硝子を打ち砕くことを願っているのでしょうか。
それだけではなく、仙人掌の花には「燃える心」「燃えるような愛」「枯れない愛」「忍耐」といった花言葉があります。
文字通り、いつかまた仙人掌の花言葉のような熱い愛を取り戻して、硝子が砕かれることを暗示しているのだと考えられます。
再び襲いかかる恐怖

ようやく分かり合えるかのように見えた2人ですが、どことなく相手を失ってしまう恐怖を再び感じているようにも見て取れます。
分かり合おうとすればするほど、また相手に嘘をついて傷つけてしまう愛の呪縛に苛まれる様子がうかがえます。

「金色の朝日」とは希望の朝、新しい未来への第一歩とも受け取れます。
2人が追い求めた愛を手に入れて喜びの涙を流す。
そんな日が来たら2人にかけられた呪いは解けることでしょう。
これまでついてきた嘘も、犯してきた過ちさえもすべてを受け入れて、お互いに愛し合おうという決意のようなものが歌詞に込められています。
そして面会室のシーンへ

物語の舞台は再び面会室に戻ってきます。
真の愛を誓ったかのように見えた2人でしたが、お互いを遮る硝子はまだ壊れていません。
ところがその硝子を崩そうとすることはもうありません。
なぜならお互いを遮る心の壁さえも愛し合うことを2人は受け入れたからです。
硝子を壊す必要すらなくなり、ただ見つめあうことで愛を確かめ合っているのです。

お互いのすべてを受け入れて、本当の意味での愛を手にした二人は、一緒に光に向かって歩んでいくのです。

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さいごに
いかがでしたでしょうか。
相手を傷つけたくないあまりに優しい嘘をついてしまう気持ち、とてもよくわかります。
でもそれはお互いを思いやる愛情の表れでもあります。
2人の間に愛がある。それだけでいいとさえ思わせてくれる深いラブソングでした。