今回は、日本を代表するミクスチャーロックバンド・King Gnuの【三文小説】の歌詞の意味を考察していきます。
【三文小説】はドラマ「35歳の少女」の主題歌として書き下ろされた曲で、ドラマの内容とリンクさせつつ、人生を小説になぞらえて表現した楽曲です。
35歳の少女のあらすじ・タイトルの意味を紹介しながら考察していきます。
ドラマ「35歳の少女」の主題歌!
ドラマ「35歳の少女」は、十歳のときの事故で昏睡状態になってしまい、25年ぶり(35歳)になって目覚める主人公を柴咲コウが演じます。
精神的には10歳のままで、自分が眠っている間に変わってしまった世界と向き合っていくというストーリーです。
ドラマのテーマである「過ぎていく時間の中でどう生きるか」にフォーカスし、ドラマスタッフと話し合いを繰り返し書き下ろされました。
この楽曲について、作詞作曲を担当している常田大希さんは以下のようにコメントしています。
2020年、我々King Gnuはアルバム「Ceremony」をリリースして以降、1曲たりとも新曲をリリースせずに、じっくりと自分たちの生き方を見つめ直してきました。
そんな中でこの「35歳の少女」という素敵な作品と巡り会い、また新たな一歩を踏み出すわけです。ご期待ください。
【三文小説】とは
三文は、江戸時代のお金の単位で、現代で言うところの30円ほどの価値です。
たった三文の価値しかない低級な小説のことを指します。
曲の中で、主人公の人生が三文小説であると表現されているので、なんの面白みもない見るに堪えない人生であることを指しています。
また【三文小説】はドコモのCM曲として起用された【千両役者】との両A面シングルとして発売されました。
包み込むようなバラードの【三文小説】とは真逆の、スピード感溢れるロックの【千両役者】。
「千両」は現在の価値に換算すると1億円以上にもなるそうで、「三文」と「千両」の対比も面白いですね。
【千両役者】の考察記事もぜひご覧ください!

【三文小説】歌詞考察!
それでは早速歌詞考察をしていきます!
君と過ごしていくことを決めた僕

冒頭の歌詞には、ドラマのストーリーと絡めた表現が多く出ています。
眠りから覚めると、20年以上経ってしまっていた少女。
自分は何も変わっていないのに、世界だけがどんどん変化していき、置き去りにされているような不安を感じています。
しかし、主人公はそんな彼女に対して、すべての人が忘れたとしても「老けたね」と笑って受け入れずっとそばにいると伝えています。

歳を取るたびに増えていく皺に不安を感じている彼女。
主人公は「そのままの君でいいんだよ」と語りかけます。
皺を数えるという表現からは、皺さえも愛おしく感じ、これからも一緒に過ごしていきたいという主人公の思いが伝わってきますね。
三文小説の人生の続きを描く

ここでタイトルの「三文小説」が登場します。
自分たちの人生が、ありきたりで価値のない小説であったとしても、売り払うつもりはなく、君との思い出を書き足して、自分たちだけの小説を作っていくという気持ちが表現されていますね。

誰しも愛に身を任せ彷徨っている世の中で、物語の続きを書き続ける主人公が描かれています。

自分の置かれている状況(真実)を知るためには、社会から離れ孤独にならなければならない、周りの人から見ると過ちに見えたとしても、これから先も物語を紡いでいくために向き合わなければならない真実があると歌われています。
君の存在に救われる主人公

サビに登場する「三文芝居」も「三文小説」と同じような意味で、お金を払う価値のないつまらない芝居を意味します。
駄文が書かれた脚本も見るに堪えないありふれたものでしょう。
けれども、ありきたりであるからこそ、ずっと見ていたい、付き合っていきたいと思っています。

三文芝居を演じている不器用な君ですが、彼女の何気ない言葉や表情に「僕」は救われています。
支えてくれた君への励まし

二番では君を励ます内容の歌詞が歌われます。
歳を重ねるにつれて、若い頃の輝きがなくなっていったとしても、二人で寄り添い笑い合いながら過ごしてくれる人がいるならば、幸せを感じることができます。

老いに悲しむ君に対して、「そのままの君が良いんだよ」と語りかけます。
刻一刻と過ぎていく時間の中で、だんだんと衰えていくことへの悲しみや、虚無感は誰もが感じることですが、老いも人生の一部です。
「過ぎゆく秒針」は人生の時間を表しているのかもしれません。
結末が近づいてくる小説の中で、最後のページをめくるまで君と一緒に過ごしたいという主人公の強い思いが伝わってきますね。
人生という小説の中で貫き通さなければならないものとは?

長い人生の中で、涙を流すことは何度もあるでしょう。
その涙が、人生という小説の区切りになり、一章一章新しい物語を始めてくれます。

愚かだとわかっていても足掻き続けなければいけない人生。
自分で選択し書き始めた物語は、途中にどんな困難に直面したとしても、貫き通さなければならない、というKing Gnuからのメッセージが込められていますね。
君とのこれからを想像する

頼りない背中が彼女のものなのか、自分の背中なのかは書かれていませんが、大事な場面で躊躇し立ち尽くしてしまった背中を押して、応援してあげると歌われています。
押せなかったあの日から、今日まで君と一緒に過ごしてきたことで、踏み出す勇気を手に入れた主人公の姿が浮かびます。

一番では、君の表情や言葉に救われた僕でしたが、今では僕も君を支えられる存在になっています。
くだらない三文小説・三文芝居を隣で微笑んでくれる君と一緒に過ごしていきたいという主人公の強い思いを感じることができます。

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まとめ
いかがでしたか?
他人から見れば、三文小説のようなありふれた人生でも、僕にとってそれは、君との思い出が描かれた大切なものです。
君と一緒に紡ぐかけがえのないストーリーを優しく表現した素敵な楽曲ですね。
King Gnuの今後の活動にも注目です!