Mr.ふぉるてのデジタルシングル「さみしいよるのうた」(2020年7月)の歌詞の意味を考察します。
ライブバージョンは1st EP「Carpe diem」(読み:カルペ・ディエム、2021年8月)のパッケージ作品にも収録。
ボーカル&ギターの稲生司さんが作詞・作曲した「さみしいよるのうた」の歌詞の意味を紐解きましょう。

さみしいよるのうた 歌詞考察!
この歌を届けたい?忘れてほしい?
寂しさ誤魔化せない
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
君のところまで
届いてくれ
僕のさみしいよるのうた
タイトルにもなっているとおり、「孤独を感じる夜が描かれた歌」です。
作詞をした稲生司さんが「この歌をリスナーに届けたい」と願っているようでもあり、主人公の孤独な思いが大切な「君」に届くよう願うラブソングのようにも受け取れます。
いずれにしてもなかなか寝つけない夜に「寂しい」と感じることもあるものです。
誰かしらまわりにいる昼間は気が紛れていても、夜ひとりになると涙が出る状況も考えられます。
もしかしたら失恋したのかもしれませんし、人間関係がうまくいかないなどさまざまな理由が当てはまるでしょう。
「なぜ孤独を感じるのか?」という背景は明らかにされていませんが、「孤独感をこの歌で共有したい」という思いは伝わってきます。
幸せだと思えたら
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
こんな歌忘れてくれ
幸せだと思えたら
そんな夜忘れられるようにさ
「この歌を届けたい」と願った直後に、「この歌を忘れてほしい」と畳みかけています。
矛盾するようですが、「孤独を感じる人には届いてほしいけれど、幸せになったら忘れてほしい」という条件つきです。
つまり「孤独な夜を象徴するこの歌を忘れることで、孤独な夜そのものも忘れられるはず」との思いやりが込められています。
要するに、孤独を共有するうちに「幸せ」になることを願っているのではないでしょうか。
悲しみで崩れそうな
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
君のところまで
届いてくれ
僕のこのメロディよ
語り手の「僕」自身、孤独を感じているのは、Mr.ふぉるての奏でる音楽がたくさんのリスナーに届くかどうか不安だからかもしれませんね。
自分もリスナーも「幸せ」なほうがいいものの、「僕」自身が「悲しい」気分なので、その思いをリスナーの「君」と共有したいのでしょう。
「この歌を届けたいけれど、忘れてほしい」と心が揺れ動くことで、「僕」の不安定な精神状態が表現されているようです。
リスナーも「元恋人に未練が残ったままだけれど、幸せになってほしい」など、矛盾する感情を持ち合わせているときに感情移入しやすいのではないでしょうか。
幸せだと思えたら
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
こんな歌忘れてくれ
悲しみはずっと
続くもんじゃない
再び「この歌を忘れる」ことで「悲しみも忘れる」という流れになっています。
「悲しみは続かない」と「君」に語りかけながら、「僕」自身にも言い聞かせているようなイメージです。
もしリスナーが失恋後に「悲しみ」を抱えているとすると、「この歌」を聴いて孤独が癒され、未練を断ち切ることができるのではないでしょうか。
「悲しみの歌」を聴く必要がある人には届いてほしいけれど、いつまでもネガティブな思いを引きずるのではなく、「幸せ」になってもらいたいという願いが感じられます。
泣くのはカッコいい?
聴こえてるかい?
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
夜の寂しい少年よ
泣いたっていい
君はカッコ悪くなんてない
「この歌を届けたい」相手は「夜の寂しい少年」だったことが明らかになりました。
おそらく「僕」自身、「寂しい夜」に涙を流した経験があるのでしょう。
そのとき「泣くなんてカッコ悪い」とさらにみじめな気持ちになったのかもしれません。
だからこそ似たような経験をしている「少年」に語りかけ、勇気づけようとしているようです。
さらに「僕」自身、「この歌」が自分と似たような「少年」に届くかどうか不安で、涙を流す「夜」もあるほど、現在も孤独なのではないでしょうか。
それでも「カッコ悪くない」と自分を鼓舞しているようにも受け取れます。
明日の自分を想像して
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
楽してるやつよりも
今で心を揺らせる君はカッコいい
「明日の~楽してるやつ」というのは独特な表現ですね。
「時間が経てば今夜の孤独感は消えるはずだから、悩むのをやめようと考える人」という意味でしょうか。
あるいは「問題が解決した状態を想像して、今の矛盾する感情を直視しない人」といったニュアンスかもしれません。
いずれにしても「過去、現在、未来」という時間軸で、未来の「想像」という現実逃避に浸るより、現在の悩みに向き合うほうが「カッコいい」と主張しているようです。
眠れないかい?
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
夜の寂しい同志よ
泣いたっていい
僕はそう思うよ
「同志」という表現に熱い思いが込められていますね。
「僕」自身、この歌詞を書いている今「眠れずに涙を流す寂しい夜」を過ごしているのかもしれません。
どうにも「カッコ悪い」と感じているからこそ、むしろ「カッコいい」と自分を鼓舞しているように感じられます。
おそらく誰かに「泣いたっていい」と言われたい気分なのでしょう。
明日の自分を想像して
出典:さみしいよるのうた / 作詞・作曲:稲生司
楽してるやつよりも
今で心を揺らせる
君はカッコいいじゃんか
カッコいいじゃんか
1番で「この歌を届けたい、忘れてほしい」と「揺れる心」が表現され、2番では「カッコいい」までが繰り返された挙句、「じゃんか」の語尾が加わり重ねられるという結末でした。
翌朝には恥ずかしく感じがちな「夜の泣き言」をさらけ出したことになるので「忘れてほしい」ものの、「同志」と自己肯定し合いたい部分は本音なのではないでしょうか。

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さいごに
「さみしいよるのうた」で伝えたかったことは、ジャックスのボーカル早川義夫さんのソロ1stアルバム「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」(1969年11月)の逆で、「カッコ悪いことはなんてカッコいいんだろう」といったところでしょう。