宇多田ヒカルさん「SAKURAドロップス」の歌詞の意味を考察します。

SAKURAドロップス 歌詞考察
失恋を繰り返す相手は誰?
恋をして 終わりを告げ
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
誓うことは:これが最後のHeartbreak
桜さえ風の中で揺れて
やがて花を咲かすよ
渡部篤郎さん、深田恭子さん出演のドラマ「First Love」(2002年4月~6月)の主題歌「SAKURAドロップス」。
その曲名を「桜散る」と解釈すると「失恋」になり、サクマドロップスというアメにかけている点に着目すると「甘い恋」のような印象を受けます。
頭サビでも「恋が終わり、これが最後の失恋だと誓う」前半と、「花が散っても、風に揺れ、再び花を咲かす桜」が描かれた後半に分かれていて、つなげると「失恋を経て、再び恋をする」展開になりそうです。
降り出した夏の雨が
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
涙の横を通った すーっと
思い出とダブる映像
秋のドラマ再放送
「桜の花が咲いては散る春」が過ぎ、失恋のあまり泣き暮らしているうちに「夏」も終わり、気がつくと「秋」になっていたようです。
主題歌となった「First Love」は「春の新作ドラマ」だったので、「秋のドラマ再放送」とは重なりません。
「ドラマの再放送」のように失恋相手との過去の「思い出」を繰り返し振り返っているうちに、季節が巡っているようです。
また「First Love」は、高校教師の藤堂直(渡部篤郎さん)と生徒の江沢夏澄(深田恭子さん)が淡い恋に落ちるものの離れ離れになり、夏澄の姉・江沢朋子(和久井映見さん)の婚約者として再び直が現れ、姉妹で直を取り合う禁断の恋物語。
その内容に照らし合わせると、直と夏澄の再会が「再放送」につながるかもしれません。
どうして同じようなパンチ
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
何度もくらっちゃうんだ
それでもまた戦うんだろう
それが命の不思議
「散った花を再び咲かせる桜」は「命の不思議」といえるでしょう。
その「桜」に自らを重ね、失恋を繰り返しても、また直に恋する夏澄の心情を連想することができます。
また、朋子と夏澄姉妹には複雑な家族事情があり、その辺りが「パンチ」や「戦い」と表現されているのかもしれません。
あるいは「First Love」を踏まえつつ幅広く解釈すると、失恋や挫折を繰り返しながらも再起する人間の生命力の強さが感じられます。
恋をして 全て捧げ
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
願うことは:これが最後のHeartbreak
桜さえ時の中で揺れて
やがて花を咲かすよ
頭サビに続き、1番のサビでも「これが最後の失恋だと誓ったり願ったりしているのに、どれほどダメージを受けても、時間が経つとまた恋をする」印象を受けます。
「失恋を繰り返しても、また新たな相手と出会う」のであれば、いつか「花を咲かす(恋する)だけでなく、実る(結婚する)」可能性もあるでしょう。
しかし夏澄の場合は高校教師・直の生徒という立場で恋に落ち、姉・朋子の婚約者として直と再会し、禁断の恋に走ります。
つまり失恋を繰り返す相手は、ずっと直です。
いったいどうなるのでしょうか。
それとこれとは関係ない?
繰り返す季節の中で
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
くつが擦り減ってく
「くつが擦り減るほど、季節が繰り返された(時間が流れた)」ことは伝わってきますが、それにしても「くつ」という表現が出てくるのは少々唐突な気がするのではないでしょうか。
実は、「First Love」には夏澄の高校時代の同級生・木葉清一(池内博之さん)が重要な役回りで登場し、「くつ」にまつわるエピソードも盛り込まれています
その辺りがさりげなく反映されているようです。
あるいは「心身が擦り減る(身も心も疲れ果てる)」様子を「くつ」になぞらえているのかもしれません。
姉妹で1人の男性を取り合うという混乱した状態が長続きするのは、やはり気苦労が絶えないでしょう。
もっと肩の力抜いて
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
過去はどこかにしまっておけ
ここからそう遠くないだろう
観たこともない景色
夏澄は初恋相手の直に執着するあまり、力んでいるとも考えられます。
高校時代のことは「過去の思い出」として封印するほうがいいことは、夏澄自身がよくわかっているはずです。
きっぱり未練を断ち切れば、「そう遠くない」未来に新たな出会い(観たこともない景色)が待っているかもしれません。
このように自分に言い聞かせているようですが、果たして失恋の連鎖から抜け出すことはできるのでしょうか。
止まらない胸の痛み超えて
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
もっと君に近づきたいよ
一周りしては戻り
青い空をずっと手探り
どれほど傷ついても、「過去」を忘れようとしても、結局「君に近づきたい」という思いに「戻る」ようです。
「First Love」の内容そのままとは限りませんが、再会後も直に一途な夏澄の心情と重なります。
「姉・朋子の婚約者なので直をあきらめる」という展開では落ち着かず、家族にもさまざまな事情があるところが問題なのかもしれません。
もちろん直の優柔不断な態度こそ、なかなか共感しにくいでしょう。
純粋に一途な恋というわけではないところが、さまざまな味のあるサクマドロップスとつながる可能性もあるでしょうか。
どうにか問題が解決するといいのですが、どうなるでしょうか。
恋をして 終わりを告げ
誓うことは:今日が最初のgood day
桜まで風の中で揺れて
そっと君に手を伸ばすよ好きで好きでどうしようもない
出典:SAKURAドロップス / 作詞・作曲:Utada Hikaru
それとこれとは関係ない
とうとう「今日が最初のいい日になるように誓う」と失恋の未練を断ち切ったのでしょうか。
ところが頭サビや1番のサビと同じように、ラストのサビでも前半の「誓いや願い」と後半の「思いや行動」が矛盾していて、「君に手を伸ばす」という結末を迎えました。
しかも「好きで~」と思いがあふれ、「それとこれとは関係ない」と締めくくられています。
どうやら「それ=誓いや願い」と「これ=思いや行動」とは「関係ない=矛盾していることはわかるが気にしない」という話のようです。
「結局どうなったのか?」については、ドラマ「First Love」に照らし合わせると納得のラストといえるでしょう。

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さいごに
「SAKURAドロップス」独自の歌物語とすると、「失恋の未練を断ち切って、別の誰かと新たな恋をする」話のようにも解釈できます。
その場合「過去の失恋=桜散る初恋」はサクマドロップスのように「甘い恋」だったといえるかもしれません。
「First Love」の内容になぞらえると、「桜のアメ」のように「甘いまま散らない」可能性もあります。
どの考察がしっくりくるでしょうか。