RADWIMPS「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」の歌詞の意味を考察します。
メジャー7th(通算9th)アルバム「ANTI ANTI GENERATION」(2018年12月)の収録曲。
野田洋次郎さんが作詞・作曲した「PAPARAZZI」の歌詞を見ていきましょう。

PAPARAZZI 歌詞考察!
息子の宿題

トラップっぽいダークなトラックに乗せて、「フィクション」のラップが始まります。
登場人物3人のうち、まずは「息子」が「父親の職業について作文を書く宿題が出た」ことを父親に報告しています。


2人目の登場人物はパパラッチを生業とする父親です。
ざっくり分類するとエンターテイメント業界に属し、特殊で「大変な仕事」だと「息子」に説明しています。
パパラッチの実態

ここから野田洋次郎さん自身を彷彿とさせる、パパラッチに取材された側の反撃が始まります。
正式な取材は事前にアポイントメントを取るものですが、パパラッチの場合は本人の承諾もなく、勝手に「盗撮~張り込み」まがいの行為をするので、たしかに「やりたい放題」です。

著名人に対する一般的なパパラッチ行為は法に触れず、肖像権・プライバシー権の侵害にもなりにくいものです。
そのため3人目の登場人物が焦点としているのは、法律ではなく「倫理」。
「倫理に反しておきながら不倫を記事にする矛盾」を突いています。

出版社に勤めることが「夢」だったとしても、パパラッチにはなりたくてなったわけではない人ばかりではないでしょうか。

必ずしもなりたい職業に就けるとは限らず、好きな「仕事」だけをしていればいいわけでもありません。
それでも自分の「仕事」には「誇りを持ちたい」ものですね。

タイトルには「フィクション」という但し書きが添えられていますが、ここからはとくに野田洋次郎さん自身の本音が語られているのではないでしょうか。
喜ばしいはずの「大ヒット」の裏で、嘆かわしいパパラッチ行為が行われていたようです。

「著名人なのである程度のパパラッチ行為は仕方がないと諦めるにしても、一般市民の家族に対しては許せない」という主張です。
これがまかり通るなら、パパラッチの「息子」に対してパパラッチ行為をしてもいいと認めたことになります。
「自分がしたことを逆にされたらどのように感じますか?」という意味で、「息子」に問い詰めているのでしょう。
父親を尊敬する息子

父親が自分の職業を美化して説明したせいで、「息子」はその言葉を真に受け、父親を尊敬するようになってしまいました。
幼い子供にとって父親は絶対的正義のような存在であり、間違ったことをするはずがないという思い込みも働いているでしょう。

パパラッチはやりたくてやっているわけではないという前提で考察を進めてきましたが、この父親はまさかの「自分の職業に誇りを持っている派」でした。
「求められている、楽しみにしている人がいる」というのが根拠です。
だからといってニーズがあれば何をやってもいいことにはなりませんし、下世話な記事を求めていない人のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。
パパラッチは堂々と生きていない

パパラッチされる側の反論です。
「倫理」的に悪いことをしている自覚がなく、むしろ「誇りを持って」働いている父親。
その時点で多くの人が理解に苦しむのではないでしょうか。
それでも3人目の登場人物はパパラッチを軽くいなし、「自信があるなら逃げたり、盗み聞きしたりする必要はないはずだ」と論理的に主張しています。

「悪いのはテレビや世間」と責任転嫁することでパパラッチ行為を正当化されたら、「人間不信」になるのも無理はありません。
ニーズ云々は違法アップロードや無断転載と同じ、「神様気取り」の言い訳ですね。

下世話な記事は瞬間風速的には話題になるかもしれませんが、パパラッチにとっても無数にあるネタの1つにすぎず、「世間」の人々にとっても一時の関心事でしかありません。
「その記事によって抹殺されるほどのダメージを被りながら生きる、数々の人生について思いを巡らせても、誇りを持てる職業なのか?」という問題提起でしょう。

言葉では何とでも言えますが、行動が伴っていないことを指摘しています。
アポを取った正式な取材なら、「逃げ隠れ、盗み聞き、目を逸らす」といった行為はあり得ません。
こうした「恥ずべきことをしている」以上、「堂々と生きている」ことにはならず、本当はやましい気持ちがあるはずだという結論です。
宿題の発表を阻止した

「息子」は父親の言葉を信じたまま、「宿題」を仕上げました。
最終的に父親は「学校を休ませる」という暴挙に出ました。
「息子」に父親の職業はパパラッチだと「発表」されては困るという「恥ずかしさ」は持ち合わせていたようですね。
ただ「先生に内緒で学校を休んでいい」はずがないことくらい、「息子」もわかるでしょう。
下世話な記事はむしろ嫌がられていることに、パパラッチの上司が気づいてくれるといいですね。

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さいごに
著名人の家族だけでなく、著名人に対するパパラッチ行為も不快に感じる一般市民のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。
下世話な記事を好む人に照準を合わせたところで、負の連鎖が生まれるばかり。
他人にしたことはいつか自分に返ってくるものなので、されて嫌なことはしない世の中になるといいですね。