King Gnu「Overflow」の歌詞の意味を考察します。
家入レオさんへの提供曲のセルフカバーで、3rdアルバム「CEREMONY」(2020年1月)の収録曲。
常田大希さんが作詞・作曲した「Overflow」の歌詞を紐解きましょう。

Overflow 歌詞考察!
限界を超えている

「幸せを手に入れるために、どれほど価値があるものを犠牲にしなければいけないのかはわからないし、知りたくない」という宣言です。
もっとわかりやすくまとめると「幸せはお金で買えるものではない」といったニュアンスでしょう。
この世にはお金を使うこと、稼ぐことで得られる「幸せ」より、もっと「確かな幸せ」があるはずだと考えていることが伝わってきます。

King Gnuは「白日」(2019年2月)の大ヒットで一気に国民的バンドになりました。
常田さん自身、「売れたからといって調子に乗ってはいけない」と「自分」を戒めているようです。
とくに「対価」や「替え」という言葉から、何かを得れば何かを失うものであり、得る人がいれば失う人もいることを肝に銘じておきたいという信念が感じられます。

常田さんにとって、売れるために作る音楽は「確かなもの」ではないのでしょう。
脇目も振らず、「命を燃やす」ように作り上げた音楽が、結果的に多くの人に受け入れられることが「幸せ」につながるイメージです。
ただ、アルバム「CEREMONY」は全12曲中、7曲がタイアップ曲。
締め切りに追われながらの楽曲制作は、まるで「刃を振り回す」ような心境だと受け止められます。

タイトルにもなっている「オーバーフロー」とは川の氾濫や水などが溢れ出ることで、限界を超えている様子が表現されています。
毎日の予定がびっしり埋まっていて、自由な時間がまったくないほど限界を超えているという話でしょう。
締め切りに間に合わないかもしれない、本当に完成するだろうか、納得できる音楽に仕上がるだろうかなどと、怖気づく前にしなければいけないことがあるようです。

1番のサビの中盤です。
ここで一気にラブソングのようになりました。
あまりにも忙しくて「君」と会う時間が取れず、自然消滅のような形になっていたのでしょうか。
詳細は不明ですが、とにかく「もう一度やり直そう」としています。
あるいはラブソングの形を取りながら、売れた「対価」として「音楽愛」を見失わないように、音楽の本質とか昔ながらのリスナー(君)に会いに行こうとしていると深読みすることもできそうです。

1番のサビの終盤です。
別れた相手によりを戻そうとすがりつくのは「みっともない」ことかもしれません。
それでも「愛」が溢れ出ている(オーバーフローしている)という展開でしょう。
もしくは結局ラブソングになることが「みっともない」とも考えられます。
「Slumberland」(2018年12月)の「所詮ロックンローラーは愛と人生しか歌えない」という自嘲気味な歌詞にも通じるところがありそうです。
「音楽愛」を忘れず「ガムシャラ」に作っているので、「昔からのリスナーも見捨てないで」といったニュアンスも感じられます。
愛が溢れ出す

「戯言」(たわごと、ふざけた話)と断りを入れつつ、切羽詰まった状況で音楽を作らなければいけなくても、常に「今を愛したい」というのは本音でしょう。

「泥仕合」とは、醜い争いや歌舞伎の大立ち回りのこと。
「頭が回らず、問題が起き、争う結果になりそうなときほど、素直なラブソングに限る」といったところでしょうか。

「ガムシャラ~」のパートが繰り返された後に続く、2番の1回目のサビの序盤です。
1番で束縛され、自由が利かない状態(雁字搦め)になっていたのは「日々」でしたが、2番では「君」になりました。
じゅうぶんに前置きがあったので、後はもう「素直なラブソング」全開です。

1番のサビの中盤では「あと一度」でしたが、2番の1回目のサビの中盤では「もう一度」に変わりました。

2番の2回目のサビの序盤です。
結局「愛こそ数少ない大切なもの」という結果に落ち着いたのでしょう。

2番の2回目のサビの中盤です。
仕事が忙しいのは「欲張りすぎた」せいだと反省しているのでしょうか。
そのため「愛」を失うことにならないように「探しに行こう」という結末です。
この後「1番のサビの序盤・中盤→2番の1回目のサビの序盤・中盤→1番のサビの終盤」が繰り返されます。
サビ単体でも序盤・中盤・終盤とてんこ盛りで、2番は1回目と2回目があり、さらにラスサビでこれほど繰り返されるという「オーバーフロー」っぷり。
まさに限界を超えるほどの「音楽愛」に溢れていますね。

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さいごに
King Gnuのメンバー4人を筆頭に、millennium paradeやPERIMETRONのクルーたちも、お互いの才能をリスペクトしつつ、クリエイティブな仕事を積み重ねています。
冗談を言い合いながら、根底に横たわるのは「愛」としか言いようがないでしょう。
どれほど忙しさが「オーバーフロー」状態のときでも、「溢れるほどの愛」を忘れずにいたいですね。