星野源さん「折り合い」の歌詞の意味を考察します。

折り合い 歌詞考察
隠し事がばれた!
君の着信に 開く封筒は
出典:折り合い / 作詞・作曲:Gen Hoshino
踊り叱る 赤い絵文字が
あの日隠し事 したのばれたから
謝り方 考えなきゃな
「折り合い」はTBSラジオ「バナナマンのバナナムーンGOLD」の恒例企画で、日村勇紀さんのバースデイソングとして星野源さんが披露した後、デジタルシングルとしてリリースされました。
新型コロナの自粛期間中に、星野源さんが1人でプロデュースから、作詞、作曲、編曲、ボーカル&コーラス、楽器演奏&プログラミング、レコーディングまで自宅で行い、ミックス以降はエンジニアが担当。
バナナマンの日村勇紀さんが妻の神田愛花さんに、ある「隠し事」をしたエピソードが元になっています。
妻にばれたら謝らなければいけない「隠し事」といえば浮気でしょうか。
しかし、そのような事実は発覚していませんし、誕生日プレゼントとして贈る歌にはふさわしくない題材です。
日村さんのエピソードを元にラブソングへと発展させたとしても、浮気ネタでは笑えないでしょう。
冒頭では隠されたままの「隠し事」とはいったい何なのか、気になりますね。
いつもの 僕らを
出典:折り合い / 作詞・作曲:Gen Hoshino
見ればまあまあ 平和なんだろう
可愛げのある危機と
そうじゃない方 胸に抱いて
夫婦にしてもカップルにしても、関係性は常に良好とは限らず、ときにはケンカしたり、我慢が必要だったりすることもあるでしょう。
それでもストレスがたまる一方でなければ、「まあまあ平和」といえそうです。
ただ「2人の危機」には「可愛げのあるものとないもの」の2種類があるとのこと。
「語り手の僕の隠し事が、君にばれた」ことは、もしかしたら「深刻な危機」なのでしょうか。
愛してるよ君を
探してるよいつも
他人のようで違う
2人の折り合いを愛してるよ君を
出典:折り合い / 作詞・作曲:Gen Hoshino
探してるよいつも
家族のように映る
2人の折り合いを
1番のサビです。
「愛してる」とのことなので、少なくとも「君以外に好きな人ができた」といった浮気のような問題ではないでしょう。
「夫婦はもともと他人同士」とか「夫婦といえども他人同士」といった考え方もありますが、「家族」より「他人」を強く意識しなければならないときは「深刻な危機」に近づいているのかもしれません。
「家族と他人の折り合いをつける」ことができれば「まあまあ平和」が継続しそうです。
2人とも対立する主張を曲げず、「折り合う」ことができなければ「可愛げのない危機」になるでしょう。
さて、歌物語の2人は「折り合う」ことができるでしょうか。
折り合いはつく?
こんな時さえも 誕生日は来て
出典:折り合い / 作詞・作曲:Gen Hoshino
祝うだろう 日々は続けと
バースデイソングなので、日村さんの「誕生日」を意識した歌詞になっています。
「こんな時」というのは、やはり「隠し事がばれた」という危機状態をあらわしているでしょう。
これは恋愛がらみではなさそうなので、どうやら「可愛げのある危機」ではないかと推察できます。
「そうじゃない方」つまり「可愛げのない危機、深刻な危機」とは新型コロナのことかもしれません。
「隠し事がばれた自粛期間中でも、誕生日は祝う」という話のようです。
どれほど危機的な状況でも、あるいは危機的な状況だからこそ、日常生活が途切れないように、たとえば「誕生日を祝う」といった、いつもどおりのことをするだけ、とも考えられます。
「うん、ごめんなさい」
出典:折り合い / 作詞・作曲:Gen Hoshino
から始まるStyle
バカ極まる毎度のことだが
慣れてるわけじゃない
藁をつかめ テレビとかね
気分変えるのに最適だ
えー
多分漏れずクソみたいな話題
観るくらいなら君と喧嘩していたい
神へアーメン君への謝罪
まだ隠れラーメン食べたのしょない
曲名の「折り合い」はもともと競馬用語ですが、慣用句の「折り合いをつける」は「お互いに譲り合って、妥協点を見出す、解決する」という意味で用いられます。
このラップパートでは「僕が謝る」解決策が実行されました。
「僕が折れる」のはいつものパターンのようですが、決して「謝罪」に慣れているわけではなく、「溺れる者は藁(わら)をもつかむ」ほど切羽詰まった最終手段とのこと。
あるいは「w(笑)をつかめ」つまり「笑いで乗り切れ」という話でしょう。
ラジオ番組の企画ソングなので、日村さんを意識した「テレビ」を引き合いに出しつつ、「まるで藁みたいに頼りにならない」とディスったのかもしれません。
そして「アーメン」と「ラーメン」、「謝罪」と「しょない」で韻を踏むというオチにたどり着きました。
元ネタは「日村さんが神田さんに隠れてラーメンを食べた」というエピソードだったのです。
「ご多分に漏れず(例外なく)」の直後に「クソ」とつなげる下ネタ、あるいは「神田さんだから神?」や「しょないはしょうがない(しょうもない)の略?」とか、そもそも「オチは隠れラーメンかよ!」など、ツッコミどころ満載な点まで含めて、「ごめんなさい&クソ&しょない」なのでしょう。
どこへ行くの僕ら
いがみ合うよ彼ら
空は晴れて風は
髪を撫でていくわ家の中で僕ら
出典:折り合い / 作詞・作曲:Gen Hoshino
道の上で僕ら
空は晴れて風は
心撫でていくわ
「隠れラーメンがばれた」という「可愛げのある危機」は「僕が謝る」ことで「折り合いがつく」でしょう。
そもそも神田さんは日村さんの健康を願っているはずです。
ただ、ラップの様式美に則って「藁のようにすがったテレビをディスる」という「謝り方」で、「ケンカしているほうがマシだ」と考えているようなので、仲直りには時間はかかるかもしれません。
それでも空は晴れ、風が髪(神?神田さん?)や心を浄化してくれることでしょう。
ラストに1番のサビが繰り返されます。
どうにか「2人の折り合い」がつき、「まあまあ平和」が続くといいですね。

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さいごに
日村さん&神田さん夫妻にとっては「ラーメンを食べる、食べない」が問題で、星野源さんにとっては「歌もの(ポップミュージック)とラップ(ヒップホップ、ブラックミュージック)」で「折り合い」をつけるのが大変かもしれません。
ただ、世の中全体がコロナ禍や紛争といった危機的な状況に陥り、物騒な出来事も増えているので、風のように目に見えない音楽がケンカ腰の闘争心を洗い流してくれるといいですね。