今回は2022年1月26日にリリースされるアルバム「星の消えた夜に」に収録される「ONE AND LAST」の歌詞考察をしていきます。
映画『あなたの番です 劇場版』主題歌の「ONE AND LAST」は、aimerrhythmさんが作詞を、飛内将大さんが作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

ONE AND LAST 歌詞考察
映画『あなたの番です 劇場版』について
田中圭さんと原田知世さんW主演の大ヒットドラマ「あなたの番です」の劇場版について簡単にご紹介しましょう。
ドラマではこのお二人演じる新婚夫婦の引越し先マンションでの「住人会」に原田さん演じる菜奈が出席し、その後「交換殺人ゲーム」がバックにあると思われる動機不明の連続殺人がマンション周辺で繰り広げられるのです。
しかし、この劇場版では、ドラマの真逆の設定と仮定するなら・・・つまり、もし住人会出席者が菜奈ではなかったら、もし交換殺人ゲームが始まらなかったら、という「もしもの世界」が、ドラマとは別バージョンの展開が見られます。
クルーズ船を舞台にドラマとはまた異なるミステリ―が繰り広げられています。
不穏な夢と過去と今

歌詞の登場人物は主人公と「あなた」の二人です。
ここでは「夢」と現実(「今」と「過去」)の描写が見られます。
まず冒頭では「夢の中」そして、次に「過去の嘘」「今 遠くの街」とあります。
「ひび割れた声」「吐息の欠片」というフレーズがあり、ネガティブな印象の「夢」を見ているようです。
そして、主人公は「過去」に「嘘」をついたのでしょう。その「嘘」は胸に「秘めて」おり、「過去」にいた場所から「今」は「遠く」離れた「街」にいて祈りを捧げている様子が描かれています。
何だかいわくありげな雰囲気の歌詞です。

「探した線を描いて」とあり、ここでは過去に「失くした物」を取り返そうと試みているのでしょうか。
しかし、”覆水盆に返らず”といったことわざのように、過去に起こったことは元には戻らないのです。
そして、「本当の事はわかんない」とあり、真実は不明のままで、さらに「その答えに意味もない」と、真実を知ったところで無意味だと語っています。
どことなく不穏な雰囲気があり、主人公は物事が曖昧なままであることを望んでいるようです。

更に、「不安の渦 溢れだす」とあり、主人公の不安感は増してきており、「ONE AND LAST」つまり最後に約束したことが実は「間違いだらけ」ということに気付きます。
過去にした事に不安を抱き、更にそれは間違っていたという事実を突きつけられている主人公。
不穏な空気感は更に高まっていると言えるでしょう。

ここで漸く「あなた」が登場します。
「もし生まれ変われたら」という言葉発する「あなた」に対して、主人公は否定しています。そして「凍えそうな」状態の「あなた」を主人公は「抱きしめ」ます。
「幸せを願うこと」を恐れて、「壊れそうな世界から背を向けて」いるのは「あなた」で、非常にネガティブな状態にあるようです。
そんな「あなた」は、過去に主人公に向けて「さよなら」と言っています。
そのことも「また叫ぶの?」「ただ叫ぶの?」と言っており、「あなた」が過去に「叫んだ」「さよなら」をまた今繰り返すのか?と問いかけています。
最後に(ONE AND LAST)「誓った」というのは、(結婚式での)二人の愛の誓い、という事を意味しているのがわかります。
更に、主人公は「二度と離さない」「守ってみせる」と非常にポジティブな姿勢を見せています。
今にも別れを告げそうなネガティブな「あなた」とは対照的です。
そしてラストで更に「笑って見せてよ」とたたみ掛けています。
非常にネガティブで後ろ向きになっている状態の「あなた」を何とか繋ぎ留めたい、という切実な主人公の心情が表されています。
最愛と子守歌

主人公と「あなた」は「この部屋」に「息をひそめて」ひっそりと居るようです。
部屋の外からは何か物音や人の声など「微かに聞こえて」いるようですが、例え何か聞いたとしても「知らない」「何もない」と外界と関わり合いになることを拒んでいます。
部屋の外では何やら不穏な動きがあるのがわかり、これは劇場版「あなたの番です」とオーバーラップしている部分といえるでしょう。
また唯一知りえるのは二人の「最愛」の気持ちだけで良い、と提示しています。
愛する二人の最後の誓いを思い起こさずにはいられない様子が伝わってきます。

「時を巻き戻すような夢」とあり、主人公は過去に舞い戻るかのような嫌な夢を見る事を拒んでいます。
また、「零れ落ちた言葉」というのは、ネガティブな言葉を指しているのでしょう。
嫌な思いをするような「夢」や「言葉」は聞かなかったかのようにスルーしたいという思いが見て取れます。
「絡みつく記憶の帳」とありますが、「帳」(読み:とばり)とは、広辞苑によると”室内に垂れさげて、室内を隔てるのに用いる布帛(ふはく)。たれぎぬ。たれぬの。と定義されています。
体に布がまとわりつくように、嫌な過去の記憶が主人公や「あなた」にまとわりついているのが現実のようです。しかし、そんな記憶は捨て去りたい、と思っているようです。
更に主人公は「あなた」に向けて「これが最後だと」一方的に「決めつけて」「さよなら」を言うのか?と問いかけます。
そして「何も変わらないままの子守歌(ララバイ)」を「歌ってあげるよ」とあり、不安でネガティブな状態の「あなた」をなだめ、不穏な状況から「あなた」を守りたい、という主人公の「あなた」に対する愛情溢れる心情が見られます。
あなたを守る

一番では「街」とあった言葉がここでは「朝」に変わっています。
ネガティブな「夢」や「過去」とは対極にあるであろう「遠くの朝」が来るのを主人公は「今」(=夜)願っているのです。
不穏で不安な夜を何とか切り抜け、夜が明けて全てが好転するのを「祈ってい」るのです。

ラストサビでは「二度と離さない」が「歌ってあげるよ」に変わっています。
ネガティブな「あなた」に対して主人公はなだめ、落ち着かせ、守ってあげようとしています。
「あなた」に対して、母親のような母性でもって愛情を注ぎ、毅然と守ろうとしています。
主人公の意思の強さや愛情の深さが伝わってきます。

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さいごに
本楽曲「ONE AND LAST」は、「もしも~」という仮定を否定し、現実をポジティブに生きたいという姿勢が見受けられる歌詞の世界観が広がっています。
そして、ネガティブで不安な思いを払拭してポジティブな思いで相手を思いやり、愛し、守ろうとしている姿は健気であると同時に母性本能的な強さも感じられます。
母親のような優しさと強さを感じさせる「歌ってあげるよ」や「守ってみせる」というフレーズが印象的な本楽曲「ONE AND LAST」。
本楽曲を手掛けたAimerさんの今後の曲にも注目したいですね!