今回はback numberの楽曲で冬にぴったりなバラード「思い出せなくなるその日まで」の歌詞を考察します。
back numberとは
back numberは2004年に群馬で結成されたバンドで2009年インディーズデビューしました。
バンド名の由来は、「付き合っていた女性をバンドマンに取られた。彼女にとって自分はback number(型遅れ)だから」という意味で付けられました。
名付け親はボーカル・ギターの清水依与吏さん。
切ない恋の歌中心に沢山の名曲を生み出し、2011年メジャーデビューを果たしました。
楽曲「思い出せなくなるその日まで」
3rdシングルとして2011年10月5日にリリースされ2ndアルバム「スーパースター」にも収録されています。
地方局「bbt music selection」のエンディングテーマに起用され、CD発売か日からの出荷枚数が10万枚を超えると認定されるゴールドディスクに選ばれました。
今なお名曲として愛されていて2016年のアルバム「アンコール」にも収録されています。

思い出せなくなるその日まで 歌詞考察
世界で1番大事な人が
出典:思い出せなくなるその日まで / 作詞・作曲:清水依与吏
いなくなっても日々は続いてく
思い出せなくなるその日まで
何をして何を見て
息をしていよう
悲しい事や苦しい事があったとして、良くも悪くも世の中と時間は当たり前の様に留ることなく流れていきます。
主人公は大切な人を亡くしたのでしょうか。
失った人が大切であればあるほど、心の傷は深くて、穴を埋める事は出来なくて、誰も代わりになれないのです。
そして深い悲しみの中でも生きていかなければなりません。
大切な人が「思い出」になるまで、どうやって生きていけばいいのか分からないと呆然と立っている主人公の姿が思い浮かびました。
ひらひら輝くこの雪も季節も
出典:思い出せなくなるその日まで / 作詞・作曲:清水依与吏
せめてあなたがそばにいれば
今ではただ冷たくて
邪魔くさいだけね
寒いねって言ったら
寒いねって聞こえる
あれは幸せだったのね
子供の頃は純粋に喜んでいた雪の舞う街の景色も、大人になったらつい通勤・帰宅・交通機関などの心配をしてしまいますね。
それでも大切な人が傍に居れば、少しだけ子供の頃のはしゃぐ気持ちを思い出せたのでしょう。
後に大切な人は冬が好きだったとあるので、もしかしたらその影響で主人公も雪を好きになれてたのかもしれません。
居なくなってしまった今、また雪はただの厄介なものになってしまいました。
寒いと言えば答えてくれる。
自分の発した言葉に反応がある事は幸せな事だったと、主人公は想いを巡らせます。
たとえばあなたといた日々を
記憶のすべてを消し去る事ができたとして
もうそれは私ではないと思う
幸せひとつを
分け合っていたのだから私の半分はあなたで
出典:思い出せなくなるその日まで / 作詞・作曲:清水依与吏
そしてあなたの半分は
私でできていたのね
それならこんなに痛いのも
涙が出るのも
仕方がない事だね
もしも大切な人と過ごした時間と想い出を全て忘れてしまえれば、この苦しさや悲しみから解放され楽になるかもしれません。
しかし、主人公はそうすると自分自身ではなくなる、と言っています。
それはきっと、一緒に過ごした時間や想い出が主人公を創りあげているからでしょう。
それほどに二人の時間はかけがえのないものであり、お互いに成長したり救われたりしてきたのではないでしょうか。
そして、それは決して一方的な想いではなく、大切な人もまたそう思っていたことが「あなたの半分は私でできていたのね」で分かります。
あなたの好きだった冬の上で
出典:思い出せなくなるその日まで / 作詞・作曲:清水依与吏
いつかしたケンカを思い出してる
春になればまたきっと
花は咲くんだけど
もう何も何も
出来ないままで
誰も誰も
悲しいままで
主人公は思い出の場所に足を踏み入れたのでしょうか。
ここで喧嘩をした想い出に意識を巡らせます。
当時は真剣に言い合ったのかもしれませんが、今となれば大切な想い出の一つ。
ここの、春になれば花は咲くという部分は、主人公の気持ちを表しているのではないでしょうか。
悲しみに暮れる今が冬だとして、いつかは時間が解決しきっと春が来て花が咲く事も主人公は知っているのです。
それでも、今の自分ではその花をどうする事もできないという、深い悲しみを表しているのではないでしょうか。
また、悲しんでいるのが主人公だけでなく「誰も」悲しいままとあり、大切な人は友人も多く沢山の人に慕われる素敵な人だったのでは、という事も考えられますね。
たとえばあなたといた日々を
記憶のすべてを消し去る事ができたとして
もうそれは私ではないと思う
悲しみひとつも
分け合っていたのだから私の半分はあなたで
出典:思い出せなくなるその日まで / 作詞・作曲:清水依与吏
そしてあなたの半分は
私でできていたのね
それならこんなに痛いのも
涙がでるのも
きっと私だけじゃないね
ここでサビが先ほどと少し歌詞を変えて使われています。
先ほどは幸せを分け合って、ここでは「悲しみ」を分け合っていたと歌っていますので良い事だけではなく、悪い事も二人で共に抱える二人だったのかなと感じます。
そうやって二人で支え合い、分かち合い時間を共にしてきた二人だからお互いの半分が相手で出来ていると思えるのでしょう。
そしてこんなに悲しいのは自分だけでなく、主人公を残して旅立ってしまった大切な人もまた、同じであると空を見上げ思うのかもしれません。
ちなみにこの歌詞は、明確には死別したと書かれているわけではありません。
すれ違いで別々の道を選んだと解釈する方もいらっしゃる事でしょう。
私はこの歌詞からは、二人のすれ違いに対する後悔は感じられなかった事、今も二人が想いあっている事が伝わる事、悲しみの大きさが痛みに変わっている事から死別した二人の歌だと考察しました。
それが楽曲名にも繋がり、「思い出さなくなる」ではなく「思い出せなくなる」という表現になっているのではないでしょうか。
思い出さなくなる、というのは無意識な行動であり思い出せないというのは自分の意識の上で起こした行動による結果です。
つまり無理して忘れてしまうのではなく、思いだそうと行動を起こしても顔がぼんやりしていたり、記憶の端が鮮明によみがえらなくなるまで、大切な人を思い、歩みを止めてしまう主人公の計り知れない悲しみを表しているのが「思い出せなくなるその日まで」という言葉になったのだと考えられますね。

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さいごに
いかがでしょうか。
今回はback numberの切ないバラード「思い出せなくなるその日まで」の歌詞を考察してみました。
大切な人を失う悲しみは大きな心の傷になります。
その傷を歌で言葉にしてくれた事で、身を委ね、救われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
悲しい時、誰かを想う時に聴きたい楽曲の一つだと思いました。