今回は2019年2月1日にフル配信された「ニガツノナミダ」の歌詞考察をしていきます。
ソフトバンクCM「バレンタイン」篇のために書き下ろされた本楽曲「ニガツノナミダ」は、尾崎世界観さんが作詞・作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!
ニガツノナミダ 歌詞考察
ソフトバンクCM「バレンタイン」篇について
本楽曲「ニガツノナミダ」を手掛けたクリープハイプは「♬SoftBank Music Project」のコラボレーションアーチストに選ばれました。
そして「ニガツノナミダ」が広瀬すずさん登場の「バレンタイン」篇CMに起用されました。
この「バレンタイン」篇は30秒のCMで、クリープハイプの4人も本楽曲の演奏で登場しています。
CMのストーリーですが、広瀬すずさん演じる女の子が想いを寄せる大学生の先輩の為にバレンタインのチョコを手作りするも、渡すことができません。
そのことが悲しすぎて「やけ泣き」をしながら街を歩き、悲しさを紛らわすために動画(クリープハイプ演奏)を観ようとするのですが、「速度制限」で上手く観ることができません。更にSNSも無理で、遂にWi-Fiを求めて大雪原にまで行ってしまう、という少し大袈裟でコミカルな内容となっています。
バレンタインと動画視聴あるある
この歌詞の部分が30秒のCMで使用されています。CMの広瀬すずさんの姿や様々な場面が思わず目に浮かぶ部分ですね。
「チョコ渡せなくて」とあるので、2月14日のバレンタインデーの出来事だと言う事がわかります。
好きな人のためにバレンタインチョコを用意しても、その人とあまり親しくなかったり、そもそも好きすぎて緊張したり恥ずかしかったりといった気持ちが前面に出てしまい渡せなかった経験のある女の子はきっと全国に大勢いるのではないでしょうか。
主人公もそんな女の子の一人で、好きな人にチョコを渡せなかったのです。
そして、渡せなかったことを「忘れたくて」気を紛らすためにスマホで動画でも観ようとするのですが、「速度制限」で動画が上手く観れない状態になります。
YouTube等の動画がスムーズに観られない時は、イライラしますよね。それでも動画が観たい主人公は、Twitterなどの「SNS」を開きますが、やはり「速度制限」で観ることができません。イライラも悲しみもマックスです。
このあと主人公は「やけ泣き」しながらふらふらと歩きます。そして「Wi-Fiスポットを探して」見知らぬ場所まで彷徨ってしまうのです。
主人公はチョコも渡せず動画も上手く観られず、モヤモヤとイライラが混ざったような何とも言えない気持ちではないでしょうか。
そこから、”やけくそ”になっているのと悲しみが合わさって泣いている状態を「やけ泣き」という言葉で表現しているのも巧みですね。
客観的に「やけ泣き」は少々大袈裟に思えますが、主人公からしたら前述した気持ちをぶつける術もなく、やけになって泣いてしまう他ないのでしょう。
大人になったらバレンタインは行事のひとつといった位置付けの人も多いのではないかと思います。ですがティーンエイジャーからすれば、やはりバレンタインは一大事でしょう。
日本でのバレンタインは女性から男性へチョコを渡して告白をする、という行事になっています。また、その様な女性から男性への本命チョコだけでなく、職場や学校で恋愛感情とは関係なく義理チョコを配ったり、友達同士で友チョコを渡しあったりと、バレンタインは多様化していますね。
いわゆる本命チョコを渡したいとまで思う人がいる女の子からすれば、チョコを準備するところから渡すところまでワンセットでかなり重要なイベントです。
このバレンタインに重きを置いている女の子にとっては、チョコを上手く渡せなければネガティブな感情になってしまうのも無理はないでしょう。
しばられるなにしばられて
ここから趣が変わっています。
「やりました よくできました」は何に対してでしょうか?
その後、「30秒」とありますが、これはソフトバンクのCM放送時間が30秒であることから、前半CM放送部分の歌詞に対してでしょう。
これを踏まえて、「残りの余生」はCM放送部分以外のこの部分からの歌詞のことを指していると言えます。
そしてCMのコンセプトでもある「しばられるな」がリピートされていますが、これはCMソングとして起用される際の制約に対する言葉とも取れそうです。
また「「しばられるな」にしばられてる」というフレーズは、そのCMコンセプトを過剰に意識していたと思われる、楽曲制作中の尾崎さんの精神状態を自虐的に、また皮肉っぽく表しているようにも思えます。
ここの「締切に抱きしめられて 制約にくるまって眠る」も面白いフレーズです。制作には「締切」も「制約」もあり、色々と「しばられ」ている状態です。
尾崎さんは諸々のしばりの中本楽曲を作った訳ですが、「それはそれで悪くないから」とありますので、「しばられる」こと自体はOKだと思っているのでしょう。
タイアップものも「悪くない」ものだ、というのが尾崎さんの制作スタンスだと解釈できそうですね。
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さいごに
本楽曲「ニガツノナミダ」は、CM放送部分の歌詞に関しては切ないバレンタインの出来事が凝縮されたものになっています。
CM放送部分以外は、まさに「使い放題」といった感じで、制約にしばられることなく楽しく作って演奏するよ、と大っぴらに宣言しているようで、思わずニヤリとしてしまいます。
一癖も二癖もある本楽曲「ニガツノナミダ」。
クリープハイプの今後の楽曲にも是非注目したいですね!