今回は2017年11月22日にリリースされたアルバム「mothers」の二曲目に収録された「熱狂を終え」の歌詞考察をしていきます。
「熱狂を終え」は、ヴォーカル・ギターの椎木知仁さんが作詞作曲を手掛けました。
では早速歌詞の考察を始めていきましょう!

熱狂を終え 歌詞考察
青春を取り戻す

ここでの登場人物は主人公とその彼女です。
冒頭、恐らく主人公がティーンエイジャーの頃に何度も繰り返し聴いていたCDに埃がかぶっている様が描かれています。
昔好んで聴いていた音楽も最近は聴かなくなったということがわかります。またそれは恐らく音楽に対する当時の熱も今では醒めてしまっている、と解釈できるでしょう。
そんな主人公は天気予報が外れることを願っています。恐らく、雨の予報だったのでしょう。主人公には晴れてもらわないと困る事情があるようですね。
「なんか少し可哀そうね。」という彼女に、「確かにそうだね」と肯定の返事をしますが、とりあえず否定はせず肯定をしておく、といった感じを受けます。

主人公が晴れて欲しいと願うのは「今夜」のようです。
そして登場人物は主人公を含めた「僕ら」つまり主人公の仲間のようです。
ここでは自らを鼓舞するようなフレーズがたたみ掛けられていきます。
「大正解」な答えに対して疑ってかかり、「悟る経験」=色々と諦めて大人になっていくこと、に対しては反抗し、「冷静」な感情は何処かに捨ててしまう様に自らに言って聞かせているようです。
「永遠の途中」も前述の「悟る経験」と同じく、諸々諦め妥協して大人になっていく途中、ということでしょう。
いつまでも子どもではいられない、かと言って成熟した大人にもなりきれてない中途半端な年齢の「僕ら」に、諦めず、妥協せず青臭いティーンエイジャーの頃、つまり青春時代の反骨精神を取り戻すよう語りかけているのです。
現実と夢の狭間

ここでの登場人物は「地元の友」である「あいつ」と主人公です。
以前主人公が足繫く足を運んでいたお店は恐らく「閉店」の文字が書かれている「紙」が貼られているようです。
その閉店したお店は、冒頭の「盤」の描写を踏まえ、CDショップだと推測されます。
未だに主人公が諦めきれずに追いかけている夢は音楽と解釈できそうです。
昔は営業していたお店も閉店となり、商店街もシャッターが降りて寂れた様子の地方の町は増える一方です。恐らく主人公の地元もその様な町のひとつかも知れませんね。
そんな地元の友人である「あいつ」とお酒を飲み、「子供ができた」ということを知ります。
「あいつ」は主人公とは異なり、夢を追うことを諦め色々と妥協もしてきた大人だと思われます。いわゆる普通の身近な安定した幸せを送っている人物です。
さらに「あいつ」は次に子供ができるのは主人公かもしれない、と続けます。
それに対し、主人公は否定することなく「確かにそうだね」と返事をしています。しかし、主人公は本当にそう思っているかは大いに疑問です。
これまでと同じく夢を追いかけているけれど、子どもではありません。ですが、大人でもない状態のどっちつかずの主人公は、大人になってしまった友人に熱く夢を語ることもできず、お茶を濁すように、なんとなく「そうだね」と返事をするしかなかったのではないでしょうか。

冒頭に「今夜、最前線に舞い戻れ」とありますので、主人公が昔の様に夢を取り戻そうとしているのでしょう。
しかもそれは「今夜」とあります。天気を気にする程大事な事情は、音楽の夢を追いかける、つまり音楽活動をするということで、その時が今夜ということなのです。
また「先制」を「奪い取」り、「劣勢を逆手に取」り、「危機的な展開に飛び込」み、更に「熱い偏見を持ち込」むように、自らを鼓舞するようなフレーズをたたみ掛けています。
熱くてパワフルな雰囲気が伝わってくるようなフレーズですね。
そんなティーンエイジャーだった頃の主人公が、その仲間たちと共有した様々な事を思い出しているようです。
無常な時間の経過


ここでは「一瞬」「時計」「時間」など、”時”に纏わる言葉が散りばめられています。
時間だけでなく音楽も前に進んでいくだけで後戻りをしたり止まることもありません。またそれを無理やり戻させたり止めることも不可能なのです。
夢を追いかけ続けなかった、中途半端にしていた時間の経過に対して後悔の念を抱いているようにも感じられる箇所です。
また、主人公の実家には止まった時計がある様ですが、同時に昔の写真も飾られているのでしょう。
ここで出てくる「彼」というのは、「写真に」「写っていた」主人公を指していると思われます。
過去の自分から、時は永遠に刻み続けるものだけれど、人間はいつかは最期を迎えてしまう、という現実を突きつけられています。
それに対しても「確かにそうだね」と納得せざるを得ないという感じで返事をしているのです。
時間の経過の無常さを感じさせる部分ではないでしょうか。
前向きな決意表明

ここでは、主人公の後悔や迷いのようなものが消えて非常に前向きになっている心情が描かれています。
「決戦」「決意表明」「思い通り」といった言葉に力強さを感じます。
また、「迷路」の様に複雑な道をあちらこちらに「彷徨」うことになっても、「決断」を迷ってしまっても、ポジティブでいるように自らに言い聞かせています。
そのような困難すらも「楽し」み、「面白」ろがろうとしています。
中途半端な状況から抜け出す兆しが見て取れる箇所ですね。

ラストは主人公の揺れ動く中途半端な心情が、漸くしっかりと定まった様が伝わってきます。
人の一生は限りあるもので「永遠」ではありませんが、それでも夢を追いかけ信じて、素敵な未来を想像して進んで行こうと決意しています。
とても明るくポジティブな主人公の心情が伝わってきますね。

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さいごに
本楽曲「熱狂を終え」の「熱狂」という言葉の意味はなんでしょうか?
広辞苑によると”狂うばかりに夢中になること。”とあります。
まさに「熱狂」はイコール主人公の青春時代ということでしょう。
しかし、タイトルはその「熱狂」の後に「終え」とあります。主人公が音楽に夢中になり高い熱量で音楽と向き合っていた大切な時間が過ぎてしまった、という解釈になりそうです。
それはつまり音楽への熱が醒め、中途半端な状況から音楽活動をする今夜を控えた現時点の主人公を指しているのではないでしょうか。
最終的に、主人公は周りに流されることなく自らまた夢を追いかけようと前向きに頑張ろうとします。
本楽曲「熱狂を終え」は、もう一度挑戦しようとしているけれども躊躇って一歩を踏み出すことが出来ずにいる人たちの背中を押したい、と言う願いが込められていると同時に、My Hair is Badのずっと青春時代と同じ熱量で音楽を続けていきたい、という姿勢が伝わる作品となっています。
My Hair is Badの今後の楽曲にも是非注目していきたいですね!