Saucy Dog(サウシードッグ)「なつやすみ」の歌詞の意味を考察します。
5thミニアルバム「レイジーサンデー」(2021年8月)の収録曲。
石原慎也さんが作詞、Saucy Dogが作曲した「なつやすみ」の歌詞の意味を紐解きましょう。

なつやすみ 歌詞考察
夏休みとなつやすみの違い
蚊取り線香がジリジリと
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
白く燃えて落ちていく
僕は縁側、蝉の大合唱聞きながら
“あぁ足が痒いな”
「なつやすみ」という曲名どおり、いかにも「夏休み」っぽい風景が描かれています。
語り手の「僕」は「縁側」に座り、「蚊取り線香」を焚いているのに蚊に刺されてしまったようです。
「蚊取り線香、縁側、蝉」の3つが「夏休み」っぽさを象徴していて、3つとも、あるいは3つのうちどれかは実際には関わりがないリスナーでも、日本の原風景として懐かしさを感じるのではないでしょうか。
スイカの種を空に飛ばして
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
午後は何をしようかな
特に予定があるわけじゃないけど
今夜も課題は後回し
ノスタルジックな「夏休み」を象徴するものといえば、「スイカ」や「宿題」も定番でしょう。
ただ「宿題」ではなく「課題」になっているので、「僕」は小・中学生や高校生ではなく、大学生か社会人かもしれない雰囲気が漂ってきました。
あるいは学生時代を回想しつつ、「宿題」も含めて「やらなければいけないこと(課題)を後回しにしている」とも考えられます。
誰かのデータなんかじゃないよ
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
チートも魔法も使えない
「データ(情報)」と「チート(不正行為)」と「魔法」でやんわりと韻を踏んでいるのでしょうか。
いずれもゲームや漫画、アニメを連想させる用語で、実際には社会人の平日だとしても、学生気分や「夏休み」っぽさが感じられます。
これまでに提示された「夏休み」の風景は「誰かの記憶」ではなく、「後回しにした課題」をクリアするのはリスナー自身で、その際には「不正もできず、魔法も使えない」という話のようです。
どこか遠くの街で 独りで生きながら
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
愛する事を学んだり
そんなありふれた日々に 抱いた憧れも
当たり前じゃないと知った
「後回しにした課題」の答えは、どうやら「目の前の現実」だったようです。
これまでは意図的に「ありふれた夏休み」の風景が描かれていましたが、それは「当たり前」ではありませんでした。
私たちがそのことに気づいたのは2020年の春以降、つまりコロナ禍になってからだったかもしれません。
曲名の「なつやすみ」がひらがな表記になっていたのは「2020年の春以降のコロナ禍」をあらわすためだった、とも考えられます。
この謎解きのような「課題」の答えが「後出しされた」のではないでしょうか。
痛みも悲しみもリアルで
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
もっと上手に生きていたい
もちろん「なつやすみ=コロナ禍」と具体的に表現されたわけではなく、あくまでも想像止まりで「課題は後回し」のままですが、「混沌とした日々をどうにか生き抜きたい」という切実な願いが感じられます。
生き方を選ぼう!
瞼を閉じて開いたらもう
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
夕焼けのチャイムが鳴り
“あの夏の日にはもう戻れない”
そう言われた気がしたのさ
やはり1番の「定番の夏休みの風景」は回想だったようです。
相変わらず抽象的な表現に留められていますが、おそらく「コロナ前には戻れない」という意味でしょう。
ゲームや漫画、アニメではない現実社会では、過去にタイムスリップすることができないことを誰もが認識しているはずですが、コロナ禍で世界が一変してしまい、それ以前のような「ありふれた日々」は続かなくなりました。
そのうち「コロナ前を知らない世代」が活躍する時代も訪れるでしょう。
「こうなるとわかっていたら、もっとありふれた日々を満喫しておけばよかった」と後悔しても、「チートも魔法も使えない」ので「時を戻す」ことはできません。
時間が無いなんて言い訳さ
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
僕がよく分かってるよ
思い描いた日々が眩しすぎて
今が真っ暗に思えてくる
過去を振り返ると、何かと「言い訳」して、「やりたいこと、やるべきこと(課題)を後回し」にしていた人もいるのではないでしょうか。
「コロナ前にやっておけばよかったこと」を考え始めるとキリがないかもしれません。
ある意味「真っ暗な時代=なつやすみ」ともいえるでしょう
“ああだったこうだった”
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
って悩んでいたら勿体ないぜ
そうモノクロだったコントラスト
色付けしていくこれから
しかし「現在から過去を振り返った場合」だけでなく、「未来から現在を振り返った場合」も同じように「後悔先に立たず」と思うはず。
要するに「今悩んでばかりいると、将来後悔することになる」という予測です。
そこで「モノクロ」のように感じる「真っ暗な今」をカラフルにしようとしています。
そこが天国だって地獄だって
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
もうどうせ後には戻れない
だからどうやって どうやって生きて行くのか
死に方は選べ少年
物理的な時間移動は不可能ですが、「過去について後悔したり、未来について心配したり」しているときは「心ここにあらず」で「現在を生きていない」とも考えられるでしょう。
それより時間は「現在の連続」で、「今に全力を注ぐ」うちに誰もがいつかは亡くなると捉えると「課題の後回しや前倒し」による悩みは減るかもしれません。
「死に方」は「生き方」と同じニュアンスで使われているでしょう。
遠くの街で 出会った人達や
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
愛する人と笑ったり
そんなありふれた日々が 堪らなく愛しいって
なんか泣きそうになったり
ただ「本当にありふれた日々には戻れない」と考えると、1番の「定番の夏休み」のようなノスタルジックは気分になるでしょう。
酸いも甘いも噛み締めて
出典:なつやすみ / 作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
シナリオなんてひとつもなくていい
ゲームや漫画、アニメには「シナリオ」がありますが、「リアル」な現実はすべてアドリブです。
現実に「シナリオ」がない点については、コロナ前もコロナ後も変わりません。
「覆水盆に返らず」状態を改めて認識すると気が遠くなるかもしれませんが、どのようなときでも「今を楽しむ」ことを心がけたいものですね。

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さいごに
考察中にも言及しましたが、「なつやすみ」に「コロナ禍」を重ねているのかどうかという「課題」については「後回し」のままで、答えはありません。
いずれにしても「シナリオ」のない予測不可能な日々を楽しく生き抜きましょう。