『夜に駆ける』で一世を風靡したYOASOBI。
柔らかく透明な歌声のikuraとボーカロイドプロデューサーAyaseによる新鋭のユニットです。
『もう少しだけ』は2021年5月にリリースされ、フジテレビ「めざましテレビ」の主題歌に起用され、多くの人の朝にふさわしいさわやかな楽曲に仕上がりました。
小説世界を楽曲にするYOASOBIは『もう少しだけ』の制作にあたり、小説投稿サイト「monogatary.com」にて原作小説を募集する「夜遊びコンテストvol.3 withめざましテレビ」を開催。
「おはよう」をお題に集めた約5,000以上の作品の中から千春さんの『めぐる。』という作品が選ばれ、その小説世界を忠実に描かれたのが『もう少しだけ』となりました。
今回はこの『もう少しだけ』の歌詞を考察していきます!
小説『めぐる』
『めぐる』は、千葉県の高校教師・千春さんによって執筆された小説。
『夜遊びコンテストvol.3 withめざましテレビ』で5,605作品の中から満場一致で対象に選ばれました。
『めぐる』はコロナ渦での何気ない日常のワンシーンを切り取った作品。
主人公は
・朝のテレビ番組での占いを見た娘の父親
・「不要不急の外出は控えましょう」という政府からのメッセージに寂しさを覚えるおばあさん
・中止になる試合を乗り越えて夢の全国大会に挑む女子高生
この3人が朝の占いをきっかけにして、いつもの言動を変え、不思議な幸せが連鎖していくというお話です。
『もう少しだけ』歌詞考察
もう少しだけの「何か」
『もう少しだけ』のもとになっている小説『めぐる』は、コロナ渦の日常を描いた作品になっています。
未曾有の事態に追い込まれた私たちを襲ったのは、今まで当たり前だったことがが奪われた悲しみ、苦しみ、悔しさ、苛立ちではないでしょうか?
そんな負のスパイラルを打破するために必要なのは、ちょっとした心の余裕、他者への優しさです。
『めぐる』の中では、朝のテレビ番組の占いを通して、主人公たちの喜びがめぐる様子が描かれています。
「もう少しだけ」動く勇気、これを読めばあなたの心にもきっと湧いてきます。
いつもはしないこと
朝はいつも大忙し。出勤や登校の準備で、心の余裕はありません。
”慌ただしく過ぎる朝に いつも通り過ぎる朝に”
この歌詞からは、私たちがいかに朝をせわしなく過ごしているかがありありと想像できますね。
小説『めぐる』ではそんな慌ただしい朝を過ごす父親が娘に「ケーキを買ってきてほしい」とお願いされます。そんな時にテレビから聞こえる占い。
「いつもしないことを」
この父親はなんとなくその占いを頭の片隅に置いて出かけます。
その日何の気なしに耳にした言葉が、後になって心に響く経験はないでしょうか?
もう少し、いつもとは違う行動を
「いつもしないこと」を頭の片隅に置いている父親の男性を例に考えてみます。
父親は娘にケーキを買っていく約束を叶えようとします。それは今朝の「占い」が心に残っていたからでしょう。
普段自分が行わない選択を「占い」を通じて、背中を押されて行ってしまうことはきっと誰しも経験があると思います。
ちょんと背中を押されて誰かの幸せを叶えようとする。
そういう気持ちになった時「もう少しだけ」というタイトルの持つ意味が明らかになるでしょう。
もう少しだけ、誰かのために頑張ってみる。実行してみる。祈ってみる。
そんな行動が、めぐりめぐって喜びの実を結ぶのです。
あなたに会いたい気持ち
2番の歌詞に重なるのはおばあさんの主人公。
コロナ渦で遠くに暮らす家族となかなか会えない寂しさが描かれています。
感染者数の増加、不要不急の外出制限…。子どもたちや孫との距離もますます遠くなっていくことに辟易している模様。
「今は会うのを我慢しよう」と、孫たちに言われていくうちに”自分は「いらない」存在?”とマイナス思考が心の中をいっぱいにしてしまいます。
そんな時、おばあさんは朝の「占い」を見聞きします。
「いつもしないこと」に背中を押されて、もうこの世にいない夫のお墓参りに行くことに。
”あなたに会いたくなったんだ”とは、おばあさんが占いの言葉によって思い出した大事な気持ち。
おばあさんの中にも「もう少しだけ」という些細な我慢と、夫への温かな愛情が生じていきます。
喜びはめぐる
ここの歌詞に重なるのは3人目の主人公の女子高生。
部活を頑張る彼女は、試合の中止を余儀なくされてきた辛さを乗り越えてとうとう大会に向かいます。
彼女もまた、2人の主人公と同様に「いつもはしないこと」をおすすめする占いを目にし、”いつもより早く家を出”ます。
そんな彼女を待ち受けていたハプニング。
しかしそれを助けたのは、2人目の主人公・墓参りに行く途中のおばあさんでした。
名前すら知らない初対面の人に助けられる「人と人のかかわり」。
そんな時、人々の心の中の喜びはめぐります。
どれだけ「不要不急」だと言われていても、喜びはいつも起こりうるもの。
そんなあたたかな事実を歌っています。
誰かの一日を特別に変える
ここでは”もう少しだけ踏み出せたことが”と「過去形」になっていますね。
主人公の3人は「いつもはしないこと」というアドバイスの占いに基づき、もう少しだけ踏み出した結果、名も知らない人へ些細な幸せを届けたのです。
占いがきかっけだったかもしれませんが、主人公それぞれがもう少しだけ誰かのためを思って行動したことで、誰かの一日を照らすことになりました。
私たちの中にあるほんの些細な勇気が、誰かの一日を特別なものにする可能性。
その秘められた力が確信に変わる時です。
厳しい状況下だからこそ優しさはめぐりやすい
”あなたから私”
”僕から君”
コロナ渦で辛く厳しい日々を送っていたであろう小説内の三人。そして今を生きる私たち。
そんな中「もう少しだけ」誰を思って、その人の幸せを祈る。
辛く苦しい中でも他人を思いやることが、新しい幸せを生み出すのです。
厳しい環境・心情だからこそ、余計に誰かの優しさはより光り響きます。
「もう少しだけ」には、小説の読者へ、また、リスナーへと贈られる、優しいアドバイスなのではないでしょうか?
コロナ渦だからこそ「もう少しだけ」
『めぐる』の中の父親、おばあさん、女子高生。
初めて出会った人同士が、相手のためを思った行動で幸せを運んでいく。
こんな昨今だからこそ”小さな幸せを見つけられますように”という願いは、暗くなっている人の心の光りになりますね。
コロナ渦は暗いことばかりではありません。
「もう少しだけ」私たちも相手を思って行動に移せば、あたたかな喜びは川のようにめぐっていくのでしょう。
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おわりに
いかがでしたか?
コロナ渦で誕生した『もう少しだけ』。
聴く人の心にさわやかなエールを送る背中押しソング。暗い気持ちになった時、きっと『もう少しだけ』はあなたの心に優しい風を通してくれます。