STUTS(スタッツ)さん率いるMirage Collective(ミラージュ・コレクティブ)「Mirage」の歌詞の意味を考察します。

Mirage 歌詞考察
燃え盛るのは報道魂?
あなたに巡り合い奇跡に触れて
鼓動はずっと強く走り出した
この道の先に悲しみが待っていようと
未来より 昨日より
一層燃え盛る魂can’t stop the fire
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
長澤まさみさん主演のドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」(2022年10月~12月)のエンディングテーマ「Mirage」。
アーティスト名のMirage Collectiveを直訳すると「蜃気楼の集団」という意味になり、プロデューサー、サンプラーのSTUTSさん以外のメンバーが徐々に明かされていった経緯をあらわしているようです。
あるいはドラマ主題歌「Mirage」のために集まった集団という意味かもしれませんし、サンプラーのEnsoniq Mirage(エンソニック・ミラージュ)も連想できます。
YONCEさん(Suchmos)、butajiさん、長岡亮介さん(ペトロールズ、東京事変)、ハマ・オカモトさん(OKAMOTO’S)、荒田洸さん(WONK)さんらの参加に加え、tofubeatsさんらによるリミックス、出演者の長澤まさみさんと眞栄田郷敦さん、劇伴を担当した大友良英さんがフィーチャーされたバージョンも展開されるなど、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌「Presence」と似た流れにワクワクした人もたくさんいたでしょう。
ドラマのタイトル「エルピス」は、ギリシャ神話に出てくる「パンドラの箱」の中身。
女子アナウンサー浅川恵那(長澤まさみさん)、若手ディレクター岸本拓朗(眞栄田郷敦さん)、チーフプロデューサー村井喬一(岡部たかしさん)らが、真実を明らかにすると災いが起きるかもしれない冤罪事件(真実、犯人ともに蜃気楼)を巡って奮闘します。
その3人らと異なる不穏な動きをするのが、浅川恵那の恋人でエース記者の斎藤正一(鈴木亮平さん)。
ラブソングのように解釈できる歌詞になっているので、基本的に語り手は浅川恵那、「あなた」は斎藤正一になぞらえていると思われます。
「真実を明らかにしたい」という「報道魂」が「燃え盛る」ものの、「パンドラの箱」を開けると「悲しみが待っているかもしれない」という予感も漂います。
届きはしない月に手を伸ばし もがく横顔
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
欲望の形をしたビルディング 歪なワルツだ
「届き、月」や「横顔、欲望」や「歪(いびつ)、ワルツ」で韻を踏んでいます。
この韻の踏み方が「もがいた結果の歪なワルツ」なのかもしれません。
あるいは「欲望」に目がくらんだように見える斎藤正一、「届かない真実に手を伸ばしもがく」浅川恵那ら3人の姿も重なります。
誰にだって口に出せないことがあって塞いでいる
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
自分で着けたリードを噛み切った獣
「誰にだって」とあるように、冤罪事件の関係者も、報道する立場の人々も「口に出せないこと」を抱えています。
「自分で~噛み切った」を「自制心を失った」と解釈すると、「真実を追求するあまりに暴走した獣」になりそうです。
斎藤正一が道を踏み外して「獣」になったという意味なのか、「口に出せない真実」を明らかにしようとする浅川恵那や岸本拓朗や村井喬一が「獣」なのか、さまざまに想像できるでしょう。
二人は近づくほど遠ざかって
日毎に孤独が深まっても
決めたことなんでしょ
どうでもいいことよ
傷ついた分 輝いたら
何もかもが新しいcan’t stop the fire
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
信じたいんだ
基本的に「二人」は浅川恵那と斎藤正一でしょう。
斎藤正一が「決めた」道を進むことで、浅川恵那は「孤独」を感じながらも「信じたい」と葛藤している様子が伝わってきます。
あるいは浅川恵那と岸本拓朗の「二人」かもしれませんし、その他の登場人物の思いを重ねることもできそうです。
謎かけになっている?
忘れられはしないから
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
時が止まってしまった
宇宙の謎かけをふと
全身で理解するように
もしかしたらこの楽曲自体が「謎かけ」になっているのかもしれません。
基本的に語り手は浅川恵那になぞらえていると思われますが、「忘れられない」過去がある点に着目すると岸本拓朗の可能性も浮上します。
躊躇っている粘膜が楽しんだり悲しんだりしたら
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
指先が綻んで絡まり合ってく
求めていたのか求められていたのか、わからぬまま
触れたくて もう止められない
消せない炎のよう
「粘膜、絡(から)まり合う、求める、触れたい」など、大人っぽい恋の「炎」が燃え上がっているようなので、浅川恵那と斎藤正一のラブソングと解釈したくなります。
ただ、ドラマ内の冤罪事件のように楽曲自体が「謎かけ」になっているとすると、「触れたいと求めている」のは「真実」かもしれません。
涙がこぼれるほどに抱きしめて
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
二人だけの世界で火を灯そう
夜が明けなくてもあなたがいるならば
どんな罪を背負い込んでも
生きてゆける
「あなた=斎藤正一」なら浅川恵那との「二人」だけのラブソングになりますが、「あなた=真実」と解釈することも可能ではないでしょうか。
その場合は岸本拓朗が語り手かもしれません。
あなたに焦がれる胸を仕留めてくれ
灯された場所で誓い交わそう
あまりに強い火に身を滅ぼす異教徒
運命に返事はしないでよ
きっと下される裁きcan’t stop the fire
出典:Mirage / 作詞:Mirage Collective 作曲:STUTS・Mirage Collective
信じたいんだ
報道人として「真実」を追求しようとする浅川恵那たちからすると、別の道に進んだ斎藤正一は「異教徒」でしょう。
あるいはラブソングではなく、「あなた=真実」に焦がれて身を滅ぼす「異教徒=浅川恵那たち」とも考えられそうです。
いずれにしても「異教徒」は、頭サビの「悲しみが待っていようと」の「いようと」と韻を踏んでいます。
この韻も「歪なワルツ」なのかもしれません。

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さいごに
少なくとも「Mirage」という楽曲では、「真実」は「蜃気楼」のままだったといえるでしょう。
それでも魂の炎は絶やさず、「信じたい」と強調されていました。
つまり「信じる」ことさえできれば、魂の炎を絶やさずにいられるという話でしょう。
メインボーカルは男性のYONCEさんで、女性の長澤まさみさんがゲストボーカルのバージョンもある点が「謎かけ」のヒントになっていたのかもしれませんね。