ずっと真夜中でいいのに。(ずとまよ)の「マイノリティ脈絡」は、2ndミニアルバム「今は今で誓いは笑みで」(2019年6月)の収録曲。
ACAねさんが作詞・作曲した「マイノリティ脈絡」の歌詞の意味を紐解きます。

マイノリティ脈絡 歌詞考察!
本当は話したい?
実は僕は こう見えて強引に
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
ビリビリに包装紙 破ける
切らした無添加の味噌 選んで
朝ごはんの支度で忙しい
かっこつける 君の日々の文脈も
可愛がれてしまう日々は
きっと 父さんも 姉ちゃんも 誰も
何も知り得ない
邪に はみ出した純粋から
タイトルの「マイノリティ脈絡」は「少数派の道」といった意味でしょう。
語り手の「僕」は「他人から見た自分像」を意識していて、「自分が思う自分像」とはズレがあると認識しています。
自分では「大胆な面と繊細な面の両方がある」と思っていますが、他人には素の自分を見せていないので、「誰も本当の自分を知らない」と感じているようです。
消え去りたいね
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
捏ねくり回して塞いだって もうっ
割り切りたいよ
客観的な言葉で操れられんよ
気づかれたくて でも冷静でいるんだ
帰れなくなる前に痛んでよかった
家族にも本当の自分を見せない「僕」は、いなくなりたいと思い詰めたり、悩みを解決したいと願ったり、複雑な心境のようです。
自分で隠している素の部分に「気づいてほしい」という思いもあり、かなり葛藤していると考えられますが、それでも「冷静」なふりをしているのでしょう。
ひとくちに「多数派」と「少数派」の違いといってもさまざまありますが、「僕」の悩みは歌詞のうえでも明かされません。
ただ、心の「痛み」を感じることにより、いなくなるなどの最悪の状況にはならずに済んだことが伝わってきます。
紛らわして紛らわして 距離を取るほど
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
一方的を貫くなら
触れたい=凌ぎたい=口にはしない
散々 確信しているから
話さないよ 離せないよ
見つめ合う時 僕でいられるなら
足りない=繋ぎたい=全て成らない 方が
仲良しだね、よかった
サビの前半です。
「他人(多数派)から距離を取ってまで自分らしさ(少数派)を貫いているものの、本当は距離を縮めたい」と考えています。
しかし「本音を話すことも、距離を離すこともできない」という自己矛盾に陥るばかりです。
実際は「素の自分(少数派)のままで、他人(多数派)と接する」ことができるのが望ましいとわかっています。
それでも「一緒にいたい」気持ちを優先して、自分らしさを隠し、多数派のふりをして「仲良し」になる方法を選びました。
本当にこれで「よかった」のでしょうか。
悲しいたましい 晒しあえるとき
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
新しいはなし 交わしあえるとき
悲しいたましい 晒しあえるとき
新しい悲しい 交わしあえるとき
サビの後半です。
「たましい、はなし、新しい」や「晒しあえる、交わしあえる」で韻を踏んでいますね。
「悲しいたましい」とは「僕が抱える少数派の悩み」でしょう。
多数派を演じることで、多数派と新たに「話し合う」ことはできましたが、少数派の自分を隠したままなので「新しい悩み」が増えたように思われます。
本当はどうなるのが「少数派の道」なのかはわかっているので、まだ続きがあるでしょう。
悩みは解決できる?
最終地点に連れ出して?
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
自然な細胞に入れ替えて
想像破壊は辞めにして?
体内に早急に悩みたいのにな
「少数派の道」の「最終地点」は、「本当の自分(少数派)のままで、多数派と話す」ことでしょう。
無理して多数派っぽく振る舞うのは、「不自然な細胞」だらけのような気分に陥るほど違和感があるようです。
素の「僕」は「無添加の味噌」を好むエコ志向なので、自分の「細胞」を偽るような多数派のふりは「環境破壊」ならぬ「想像破壊」に値するのかもしれません。
「精神的に悩む」より「肉体的(物理的)に悩む」ほうが楽と解釈できますが、「遠回しな婉曲表現により、何となく悩みを察してほしい」というニュアンスが込められている可能性もありそうです。
確かめたくて
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
安心感を汚したって もうっ
割り切りたいよ
能動的な方程式を保ってられんよ
近づきたくて でも冷静でいるんだ
途切れてしまう前に素直でよかった
「多数派と話せる」ことを確認するために、「少数派らしさを隠す(安心感を汚す)」行為に出ましたが、まだ「悩み」は解決したわけではありません。
「方程式」というのは、これまで「=」で表現されてきた解決策のことでしょう。
ひとまず多数派と「近づく」ことはできましたが、「冷静さ」を保ち、本当の自分を偽ったままでは「最終地点」には到達していないことも自覚しています。
少しずつ「脈絡」つまり「筋道」を通している段階なので、「冷静」なままでも、少数派らしい「素直さ」は失っていない(途切れていない)ことが「よかった」と再確認しているようです。
この後サビが繰り返されます。
誰にも明かさずに超えてみたい
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
仮になる前に潤わせたい
今わかるなら問いときたい 喋ろ
ただ 自分になりたいの 一刻も早く
具体的な「悩み」については、やはり歌詞では「明かさない」ようです。
それほど繊細な「悩み」なのでしょう。
それでも「多数派のふりをした偽物状態(仮)が板についてしまう前に、悩みを解決したい」と願っています。
どうにか「少数派の自分のままで、多数派と話せる」といいですね。
まわりに溶け込もうとして無理をするより、「自然体」でいるほうが環境にも自分にも優しいでしょう。
紛らわして紛らわして 距離を取るほど
出典:マイノリティ脈絡 / 作詞・作曲:ACAね
一方的を貫くなら
触れたい=凌ぎたい=口にはしない
散々 確信しているから
話さないよ 離せないよ
見つめ合う時 僕でいられるなら
足りない=繋ぎたい=言葉にしちゃう から
ありがと、で良かった
サビ冒頭の「紛らわして~貫くなら」が繰り返された後に続くラストです。
「=」で表現された悩み解決の「方程式」が、ようやく「言葉にしちゃう」に変わりました。
つまり「仲良し」になりたかった身近な人には「悩みを話せた」わけですね。
しかも少数派の自分をさらけ出したことに対して、多数派の人は「感謝の言葉を口にした」という結末。
受け入れられて、本当に「良かった」ですね。
歌詞では「悩み」そのものが「言葉」にされなかったので、リスナーそれぞれに自分の少数派な部分を当てはめることができたのではないでしょうか。

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さいごに
まわりの人になかなか打ち明けられない悩みは、「マイノリティ脈絡」の方程式のように、少しずつ段階を経て解決に至るといいかもしれません。
多様性の時代になり、さまざまな少数派が存在するので、多数派も少数派もお互いに感謝し合う世の中を目指したいものですね。